第4話日々の成果ですよ

 あれからしばらく私は姉やお母様に頼んで監視の下基礎体力作りや初級魔法の練習をしていた。

 朝早くに起きたらすぐに着替えて家の周りを走る、終わったら剣の素振り、軽い筋トレなどをする。

 そのあとはシャワーを浴び、朝食を食べてから初級魔法の練習を午前中ずっとする。内容も魔力を練ったり、詠唱を覚えて使ったりして最後に無詠唱で使えるようにするなどやる、メニューは全て母が作ったものである、母強し。



「つ、疲れたぁ」


(自分が言い出したとはいえ3歳児にやらせていい量なんですかこれ……お風呂入りたい)


 思った以上にハードで疲れ果てベッドに倒れ込む、午後は自由にしていいのが救いになってるけど、ほとんど眠くて寝ちゃうんだよね。


 トントン


「はーい」


「ティナ様、お風呂の準備が出来ましたのでお着替えをお持ちしました」


「ありがとうございますセナさん、ってあれ?いつの間に私頼んでたんですか?」


「いえまだ何も、ただティナ様ならそろそろお風呂の準備出来ますかと頼みに来ると思いまして」


(このメイド心読めるんではないか?そういう能力?)


「あ、心は読めませんよティナ様、私の能力はもっと別のものです」


「……」

(本当に読めないの?)


「そんな疑う目で見ないでください、本当ですから」


「……そうですね、疑うのはよくないです。信じます」


「ありがとうございます」


 お礼を言うとメイドさんはお辞儀をする。

 この人は私より5歳上のメイドさんのセナさん、黒髪黒目でしっかり者、お父様から「何か用があったらセナに頼むんだぞ」って言われたので多分私専属メイドになるのかな?今までは、そんなに近くにいなかったが呼ばれたらどこでも顔を見せる凄い人だったんだけど、あの練習場での間違って使っちゃいました事件から常に近くにいる。


「セナさんも一緒に入ります?」


「え?い、いえ私は仕事がありますので入れません」


 頬赤くしながら断られた。一緒に入りたくないのかな?


(ん?なんで赤くなってるのかな?)


 そう思いながらお風呂場に向かった。

 我が家のお風呂は複数人で入れるように大浴場となっている。お湯はメイドさん達が魔法で作り出している、シャンプーや石鹸も好みに合わせて使えるよう色んな物が置いてあり壁には鏡があるがなぜか椅子がなく床に座る仕様、まあ特に気にしたこともないので大丈夫!

 お風呂から出ると部屋に戻りすぐに寝てしまった。


 体力作りと魔法の練習の日々が続いて1年とちょっと

 私、ティナ、現在4歳、あと2日で5歳になります、私は今魔法練習場に来てます。


「はあああ!」


 バシャーン


「はぁはぁ、や、やったー!お姉ちゃん見てた!」


「凄いじゃないティナ、無詠唱の中級魔法、しかも威力の調節まで出来るようになるなんて」


「えへへありがとうございます」


 日々の地道な努力の甲斐あって初めて使った魔法を無詠唱で撃てるようになりました、初めは体力や魔力量の問題あってか詠唱付きでも調節が難しく暴発したり変な方向に飛んだりして大変だったけど、やっと、やっと完璧に撃てるようなった、他にも初級だったらほとんど無詠唱、中級だったら詠唱有りで何とか使えるくらいにはなった。



「水が1番得意そうだねティナは、でも火は未だに初級でも詠唱なしだと撃てないのがなぁ」


「うぅ、なんででしょう」


「まぁ個人差があるからね得意不得意もあるでしょそのうち使えるようになるよ」


「わかりました努力します……」


「と、私はそろそろ時間だから行ってくるよ、練習とかしたかったら誰かに見てもらうんだよ」


「はい、わかりました、行ってらっしゃいお姉ちゃん」


「いってきます」


 姉は私に軽く手を振って練習場を出る、学校に向かったのだ

 そう学校、この世界にも学校があるのだ、8歳なる年から7年間通い、魔法、剣術、計算など色々習う

 姉の学校はここから近い場所にある大きな学校で主に魔法や剣術などをメインに教えているという。

 そんな姉は朝早く日が昇る前に起き走り込みや魔法の練習をしてから学校に行くのが日課になってる、それをたまたま見つけた私は真似をして姉が学校に行くまで姉と同じことをする、私もだんだん日課になってきてる、おかげで朝には強くなった……と信じたいセナさんに起こしてもらってるけど。


「疲れました、体洗って寝ましょう」


 私は本とタオルを持って自分の部屋に向かったあとお風呂場に行く、いつものようにセナさんがお風呂の準備をしてくれてすぐに入れるようになっている汗を水で流してから少し身体を見る、母のメニューに姉の日課とこの1年色々やってきたからか筋肉が付いてきていると思ったが、そんなに目立った凹凸はなくすらりとした細い身体になっている。


「んームキムキにならなくて安心です」


 お風呂に浸かりながらそんなことを呟いた、何となく嫌だからね筋肉ムキムキの幼女って、大きくなったらカッコイイとか想える、多分……

 十分にあったまったのでお風呂から出て着替える、パジャマではなく普通の動きやすい服、昔からドレスとかスカートは好きじゃないので生まれて着たことない、着替えたあとはベッドに横になりそのまま目を閉じた。





「おはようございますティナ様、もうそろそろ起きてください」


「ん、ふああ、おはようございますセナさん、今はお昼かしら?」


 寝ぼけていて辺りを確認せずに聞く。


「惜しいですね、夕方です」


「ふえっ」


 慌てて窓を見ると既に空は赤くなっていた。


(何が惜しかったのか聞きたいけど寝すぎたみたい)


「ってセナさんが夕方まで起こさないなんて珍しいですね」


「ティナ様の寝顔が可愛くて……コホンなんでもありません」


 何かを思い出したかのようにほっぺを抑えてうねうねとする。


「ん?今なんて言いました?」


「いえ何も、ただ1回起こしましたよ、起き上がって周りを確認してまたベッドに横になりましたが」


「えぇ……」


(まさかの2度寝ってしかも覚えてない)


「そのあとは気持ち良さそうに寝てましたので起こすのが申し訳ないと思ったので私は別の仕事をしに行きました」


(いや、頑張って起こして欲しかった)


「はぁー疲れ溜まってたのかしら」


「もう時期夕食のお時間になりますのでお着替えお持ち致します」


 そう言うとセナは頭を下げて部屋から出ていった。

 一日を無駄にしたショックで少し落ち込む私であった、普段だったら遅くても夕方より前に起きて勉強や読書などして過ごしていたのに……

 その日の夜は昼寝が堪えたのか、なかなか寝れなくて夜空を眺めてた。


「寒いです……」





 一方その頃国境付近の森を2人の男が駆け抜けていた。

 1人は杖を手に持ち1人は大剣を背負っていた。


「アルー疲れたぁ休憩しない?」


「ダメです、兄上が寄り道しなければ今頃森を抜けて近くの村で休憩してる時間帯なんですから、それに急がないとティナの誕生日会に間に合わない」


 男は焦ってるようだった。


「へいへい、けどティナ俺らのこと覚えてるか?小さかった頃だし俺は生まれたの見届けてすぐ旅に出たしお前だってティナが1歳になる前に王宮から呼び出しくらってそれ以降会ってないだろ」


「ティナは賢い子です。絶対に覚えてます、と兄上右前方200m先ダークグリズリー3体います。倒しますか」


 どうやって夜の暗い森で見つけたのかは分からないが確かに少し遠くにクマのような魔物がいる。


「ああそうだな、3体いるとなると繁殖期だろ増える前に倒す」


「了解です」


 そう言うと1人は剣を抜きもう1人は魔法を展開し魔物を狩る。


「む、他にも集まって来ます」


「んだよ、急いでる時に、めんどくさいなー」


 男達はしばらく森で魔物を狩るのであった。

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