第3話魔法ですよ
練習場はお邸からそれほど離れてないところにある建物の中にある。
ここに来るのは確か2回目かな、作りは単純だが、壁や天井、床は全て対魔法素材で出来ているため誤射で壊れることはほとんどない、が、人にあたると危ないことにはので、私は端の方で置いてあった初心者用の魔法が書かれた本を読む。誰が書いたのか分からないけど、今まで読んだ中でダントツにわかりやすいし面白い
「はあああああああああああ!!」
バァーン
凄い音と共に熱気がやって来る。
あれは確か、【フレイムショット】だっけ、炎の中級魔法だった気がする。
「ふぅちょっと休憩」
「ねぇね凄いです!」
「そうかい?照れるなぁえへへ」
姉は照れながら汗をタオルで拭き私の隣に座る。
努力家で負けず嫌いな姉は暇な日があれば魔法の練習をしているそうだ、そのかいあってか攻撃魔法は全て中級、治癒魔法と防御魔法は上級が使える、得意属性は【風】らしい、かっこいいよねぇね。
「ん、魔法入門の本か懐かしいなー、アル兄様の練習中によく読んだよ」
姉は、私が見ていた本を見て懐かしむように言う
「そうなのですか!!」
「うん、で、真似をして暴発させて怒られたりしてた」
「ほぇー以外です」
姉も失敗することあるんだ、失敗した所を見たことないからほんとに以外。
「私も器用ではないからねよく失敗するよ、それにしても懐かしいなぁ、アル兄様は元気にしているだろうか」
アル兄様ことアルベルト・ハートノース
この家の次男で姉より5つ上、私からだと12歳も離れた兄である、今は王宮で修行しており何か特別なことがなければ帰って来ない、だから私は1回もあったことはない、多分……というのもほんと目がちゃんと見えるようになるまでの記憶が曖昧なんだよね。
「ねぇね、アルにーさまってどんな人なんですか?」
「んーそうだね、髪色はティナと同じ色で他はお父様に似てる、あとは少しやんちゃしてたかな、あ、でもいいところもあるよ、魔法の才能があって陛下から直々に王宮で経験を積まないかって言われたくらいに」
「ほぇー凄いです!」
魔法の才能ありで王宮から声がかけられるって相当凄いじゃないですか、将来は宮廷魔導師確定ですかね。
「うん凄いよ、と、休憩出来たし私は練習に戻るよ、大人しくしてるんだよティナ」
十分に休憩が取れたのか立ち上がる。
「はーい」
そう言うと姉は練習に戻った。
その後ろ姿はいつ見てもカッコイイ!
「私も続き読みますか」
手に持った魔法入門の本を開きさっきまで読んでたページまでめくる。
「えーと魔法はイメージが大切、早く上達するにはまず詠唱をしてしっかりとイメージと感覚をつかむ、慣れてきたら無詠唱で使えるように練習をすることで上手く使えるようになる、か」
(んーやってみないと分からないしとりあえず試して見ますか、えーと火の魔法は失敗して燃えるの嫌だし水にしてみますか)
「えーと水の魔法はと、あったあった」
詠唱を確認すると右手を前に出し唱える
「えーと、なになに?【水よその姿を矢と変え敵を貫け】かな?」
唱え終わると右手から魔法陣が浮き出て水の矢を飛ばした。
ドガァーン
壁にあたると同時に大きな音が響いた。
「ティナ!大丈夫か!凄い音だったけど何があった」
「え、あ、えーと、あの、その、えーと」
思った以上の威力にびっくりしてパニックになりながら怒られると思い言い訳を探す。
「ティナ落ち着いて深呼吸して」
「スーハー、スーハー」
慌てすぎて声で深呼吸する
「落ち着いた?」
「うん」
「じゃあ何があったか教えてくれるかな?」
「うーんと、ここに書いてあった魔法を詠唱しました……」
と本を持ち詠唱が書いてあるページを指さす
「えっ」
「え?」
「ティ、ティナ……それは中級の水魔法だよ……」
姉は苦笑いをしながらそういった。私は何を言ってるのかよく分からなかった。
「え?」
思わず聞き返してしまう。
「うん……」
「ぇぇぇぇー!!!」
なんてことでしょう、この本の作者何を考えたのか初心者用の魔法本に中級魔法まで書いてあるではないですか、ほんとに何やってるんですか!
〜その日の夜〜
「ハッハッハいつか誰かやらかすと思ったらまさかティナだったか」
父は練習場での話を聞き笑った。
「おとーさまきらい」
「えっちょっとティナちゃん、怒らないで、ねっねっ」
痛恨の一言を父に与えると父は、慌てて機嫌を取ろうとした。
「ふんっ」
「あなた笑い事じゃないですよ、中級魔法がいきなり使えたとなると才能云々よりこの子の身体が危ないですから」
「そうですよお父様、まだ基礎や身体の成長がしっかりしてない時期ですから暴走したりしたら大怪我になりますよ」
魔法の暴走、まだ基礎などがしっかりしてない時期によく起こる現象なのだが、それはかなり危なく、死んでしまうケースも少なくはないらしい。
「あぁそうだな、ティナよく聞きなさい、魔法は便利だけど大変危険なんだ、それにティナはまだ小さい、魔力があっても身体がついてこない、だからもう少し大きくなるまで勝手に魔法使ってはダメだよ、使いたい時は誰かと一緒に使うこといいね」
「はい、わかりました」
私は自分の失敗に少し落ち込みながらうなずいた。
そのあとはお母様と一緒にゆっくりお風呂に入ってから自分の部屋に戻った、広くもなく狭くもない部屋……いや自分の感覚がおかしくなってるのだろう、1人で使うには広すぎる部屋に鏡台とテーブル、ベッドにクローゼットしかない部屋だ。
小さな女の子の部屋にしてはそこまで面白みがなくお人形さんやぬいぐるみなどは置いていない、最近増えたとしたら図書室から持ってきた本ぐらいだろうか。
私は、ベッドに横になり天井を見上げて昼間の事を思い出す。本にあった魔法、しかも中級魔法を使えた、その威力や速さなど鮮明に覚えてる
「もしかして私、才能有り?」
いや、まだ確定ではない、今回たまたま使えただけかもしれないし、でも中級魔法ってたまたま使えて良いものなのかそう考えつつ持ってきた本を開いた。
「んー、確かにイメージはしっかりと出来たんですけど、それだけでいいのかどうか……そう言えば前世の記憶もないのにかなりすんなりとイメージ出来ましたね、なんででしょう?」
前世の私はそう言うことに関わってたのだろうか?思い出そうとするとすぐに頭痛がするので諦める。
ベッドから起き上がりベランダに向かう、この世界の夜空は年中星々が浮かびとても綺麗だ。
「いつ見ても綺麗だなぁ、いつまでも見ていたいけど……」
寒い!時期も時期で夜はすごく寒い、どこかの国は一年中この位の寒さらしい、よく耐えられるね。
「うぅ、明日から体力作りとか始まりますし風邪をひかないようにしなければ」
けど、まだ眠くはなかったので本を読む、この本はまだ私には使えないであろう上位魔法から聖天、混合魔法まで書かれている本である、流石医療と魔法の家系、こんなの置いてあると知った時は驚いたよ。
「あ、これ面白そう、混合魔法【氷】風と水の魔法を合わせた魔法かー、見た感じ氷の魔法は綺麗なの多いみたいだし使えるようにはなりたいなー」
その後も読み進めていくと、光の聖天魔法や混合魔法の【爆発】エンチャントについてなど、面白いのが沢山ありついつい読みすぎてしまった、どれくらいだったのだろうか、ただ夜遅いのは分かる、これ以上読むと明日に響くので本を閉じた。
明日は何をするんだろうと考えつつ、明日の服などを用意して再びベッドに潜ると灯りを消して静かに瞼を閉じたのだった。
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