第274話10-16小休憩

 10-16小休憩



 さすがに疲れた。

 この詰め所まででどのくらい時間がかかっただろう?


 「どう? コクの状態は??」


 シェルがあたしに聞いてくる。

 今のコクはクロさんとクロエさんを一時融合してそのダメージ修復を体内でしている。

 ダメージ自体はコクに来てしまうがコクの膨大なマナと魔力でそれを凌駕して二人の再生を行っている。

 しかしまだ小さなコクには元の力が完全に戻っていない。

 だからやはり荷が重いようでだいぶ消耗をしているようだ。


 「コク、どうですの?」


 「はい、主様。二人の再生は順調に進んでいますがまだ時間がかかります。それと‥‥‥」


 コクはそう言いながら最後の方を言いよどむ。


 「どうしたのですのコク、私に何かできる事があれば遠慮なく言ってくださいですわ」

 

 そうするとコクは一瞬明るい顔をしたけどまた下を向いていしまう。


 どうしたのだろう?

 あたしは心配になってコクの両肩に手をのせ、コクの目線までかがんでみる。


 「コク、どうしたのですの?」


 「あ、あの、その、実は魔力が足らなくなってきてまして‥‥‥」



 ん?

 魔力が足らない??



 「‥‥‥欲しいです。」


 「へ?」


 「主様のおっぱいが欲しいです!!」



 ええっ!?


 

 そう言ってコクはあたしに抱き着いてくる。

 胸に顔をグリングリンしておねだりをしてくる。


 「ごめんなさい! でも魔力切れでお腹がすいてすいて! 二人の再生に魔力使い切っちゃいそうでもうほとんど魔力が残っていないんですぅ!!」


 半泣きで上目使いであたしを見てくる。



 うっ



 少し赤くなってウルウルした目で懇願されるそれはあたしに似ているせいもあってものすごく愛おしく感じてしまう。

 でもこんな所でおっぱいだなんて。


 「コ、コク。前にも言いましたけどその、おっぱい以外からの魔力吸収は出来ないですの?」


 「いえ、主様、ここはおっぱい一択です。それ以外ありえません」


 瞳をきらーんとして「きりっ」とした表情で言い切る。

 

 「エルハイミ、あたしたちだって休憩取らなきゃ持たないよ。ここで一旦休もうよ?」


 シェルはそう言いながらその場に座ってポーチをあさり始めている。


 「そうだな、感覚的にはまだ十時間ちょっとだ、ミグロの事は心配だがこれから先まだまだ強敵が出てくる可能性もある。ここは一時間ほど休憩を入れよう。それと、俺は向こうへ行っているからコクに魔力を与えてやってくれ。小さい子が泣いているのは見るに堪えかねん」


 そう言ってショーゴさんは向こうへ行って背を向ける。


 「そういう事で、主様、おっぱいください!!」


 「いいなぁ、コクちゃん。あたしもお姉さんのおっぱい欲しい‥‥‥」


 元気におっぱいをせがむコク。

 どさくさに紛れて欲望丸出しのイオマ。


 確かにここまでかなり無理をした所もある。 

 あたしはため息をついてここで休憩をとることにした。


 「仕方ありませんわ。ここで休憩を取りましょうですわ」


 わーいっとシェルとイオマ、コクが万歳する。

 そしてコクはさっそくあたしにすり寄ってくる。

 あたしは仕方無しにそっと胸を出しその先端をコクに吸わせる。


 「んんっ」


 先端にコクが口をつけ魔力を吸い始める。

 こそばゆくそして温かいその唇が動く。

 

 「あんっ」


 思わず変な声が出てしまった。

 しかしそんな中コクは一生懸命に魔力を吸っている。

 そんなコクの表情を見ているとなんとなく暖かな気持ちになってくる。


 「あー、エルハイミ完全に母親の顔になってる」


 「いいなぁ~コクちゃん。ねねっ、後てちょっとだけおすそ分けしてくれないかなぁ~」


 あたしの授乳にシェルもイオマも見学に来る。


 見世物じゃないのに。


 コクはイオマに手だけでしっしっとお断りを入れる。

 今は真剣に魔力を吸っていて言葉で返すのが面倒と言うように。


 

 しかし‥‥‥


 

 「コ、コク。まだですの?」


 「ありゅひしゃま、もうちょっろ~」


 言いながらコクは今度は反対の胸に吸い付く。

 いや、魔力を吸うだけならそのままでいいんじゃないの!?

 なぜか先ほどの胸の先端にはコクの手が置かれて微妙な動きをしている。

 そしてこっちの胸には吸い付きながら舌を動かす。


 「ああんっ!」


 またまた変な声が出てしまった。

 

 「コク、まじめに魔力を吸いなさいですわ!」


 すると更に微妙な吸い方をしてくる。


 んんんっぅっ! 

 やばいっ!


 久しく感じていなかった感覚にちょっとうずいてしまう。

 しかしそれ以上にコクが吸う魔力の力が大きくなった。



 へっ?



 一気にごっそりと大量の魔力が吸いだされてしまいあたしの意識が遠のきそうになる。


 ぽんっ!

 

 「あんっ!」

 

 魔力を吸い終わったコクは満足そうに言う。 


 「ぷっはぁ~! 美味しかったぁ!! 特に最後は濃厚でしたよ主様!」

 

 うう、コクに魔力ほとんど吸い取られてしまった。

 あたしが胸をしまっているとシェルがそっとあたしに携帯食を渡して来る。


 「ほい、ご苦労様。これ食べて水分取って少し横になって寝なよ。あとで起こしてあげるから」


 あたしはありがたくその携帯食を取りシェルに渡された水筒の水を飲んでから横になった。

 



 そしてあたしの意識はすぐに途絶えるのであった。

 

  

 

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