第73話4-10機械人形試験
4-10機械人形試験
今俺たちの前にはアイミが提唱した劣化版の魔晶石核を使って女性型の試験マシンドールが出来上がっていた。
「なんかアイミににてるね~。」
マリアがマシンドールの周りを飛ぶ。
「それで、これがアイミ程では無いにしても従来のゴーレム兵よりずっと優秀と言う事ですのね、アンナ殿?」
お姫様モードのティアナも来ている。
これからアイミと模擬戦をしてみるため、マスターであるティアナに来てもらっている。
「して、このマシンドールは誰が動かすのですかな?」
模擬戦と言う事でロクドナルさんも来ている。
「そうですね、試験機なのでマスター登録も仮でします。ロクドナルさん、お願いできますか?」
アンナさんが適任者としてロクドナルさんを指名した。
確かに、体術での動作確認なのでロクドナルさんは適任かもしれない。
「わかりました、お受けしましょうぞ。」
そう言ってロクドナルさんはマシンドールの前に立つ。
アンナさんは呪文を唱え、ロクドナルさんとマシンドールの仮マスター登録をする。
すると、ゴーレムの時と同じくロクドナルさんに同調をしたマシンドールが動き出す。
「ほう、同調とはこういった感じなのですな!面白い!しかしずいぶんと自分の体が軽く感じますな。」
「ええ、体格的に女性の大きさなのでロクドナルさんからすると二回りくらい小さく感じるのではないでしょうか?」
確かに試作機はアイミと同じくらい百六十センチくらいしかない。
ロクドナルさんは大体百八十センチあるから、軽く頭一つ分以上小さくなるわけだ。
「基本はゴーレムの同調と同じはずなので、動作をするたびにコマンド魔力を送るようにしてください。」
ロクドナルさんは承知とひとこと言って試験機を動かし始める。
動き自体はなめらかで申し分ない。
反応速度や送受信状況も問題ないようなので基本的な稼働は問題ないようだ。
「うむ、だいぶ慣れてきましたぞ。アンナ殿、ティアナ殿下よろしいですぞ。」
そう言って、同調をいったん切る。
さてここからだ。
「それでは次の試験を始めますので、各闘技場へと移動します。」
俺たちは城にある各闘技場へと移動を開始した。
試験機はマスターであるロクドナルさんにくっついて歩き出す。
ここでロクドナルさんは試験機に魔力は送付していない。
自力で通常動作に支障がないかの確認を始める。
俺は感知魔法を使って試験機のモニターをするが、アイミに比べ魔力循環量はかなり少ない。
しかし通常稼働には支障は起こしていないようだ。
ほどなくして闘技場に着く。
「それでは始めましょう、アイミこちらへ。」
ティアナの声にアイミが動く。
「ではこちらも準備足しましょうぞ。マシンドールよこちらへ。」
仮マスターの声にちゃんと反応して試作機はロクドナルさんの前まで来た。
うん、ここまでは問題ないな。
そしてティアナとロクドナルさんは同時に同調を始める。
二体のマシンドールはともに目を一瞬輝かせ、同調を行う。
「殿下、今回は試験機の機能評価ですので、通常モードでお願いします。」
あ、アンナさんに先に釘指されてやんの。
ティアナのことだ、実際の手合わせでいつも負けているからここぞとばかりにアイミを使ってロクドナルさんに土をつけるつもりだったんだろうけど。
「わ、わかっております。では、行きますわよ!!」
あ、やっぱり動揺した。
アンナさんに見透かれているティアナは動揺しながらアイミを操作し始める。
「まずは通常攻撃!」
アイミが連打の正拳突きをする。
試作機のロクドナルさんはこれを手で裁くが、やはりアイミの性能が高いせいでパワー負けしている。
さばききれず拳が試作機のほほをかすめる。
「うむ、思い通りに動きはするものの流石にアイミは動きが速いですな!」
どうやら試作機自体の使い勝手は悪くないようだ。
しかし流石にアイミはもともとのスペックが高すぎる。
技では勝っていてもパワーで負けている。
「隙あり!」
ティアナがそう言って足払いをする。
それは見事に決まって試作機が足元をすくわれ状態を崩す。
「なんのっ!」
ロクドナルさんは試作機が身軽なのを利用して両手を地面につけてカポエラのように足技でアイミを弾き飛ばす!
アイミはよろけて大きな隙を作る、と、そこへ腕の力だけで飛び上がった試作機が追従攻撃をかける!
「そこまでですっ!」
アイミの喉元に試作機の手刀が入る寸前アンナさんの静止がかかる。
「くっ、参りました。」
ティアナの降参で試作機の勝ちが決まる。
横で手合わせをずっと見ていた俺たちはおおーっと歓声を上げる。
「うむ、何とか勝てましたがやはりアイミは強い。試作機も悪くはないですがやはりアイミにはかないそうもありませんな。」
ロクドナルさんは同調を解除して試作機に元の位置に戻るよう命令をする。
試作機はロクドナルさんの指示通り元の位置に戻る。
「流石ですね、ロクドナル殿。アイミならロクドナル殿に一本入れられると思ったのですが、まだまだ修行不足でした。」
「いやいや、殿下のあの足払いは見事でしたぞ!上半身に気を取られていたスキを突かれましたな。」
和気あいあいと話しているが、ティアナの後頭部におこのマークがついていたのを俺は見逃さない。
あれはきっとリベンジを企むぞ。
「しかし、いいデーターが取れました。同調時の操作性や反応速度、魔力消費の低燃費は素晴らしいものです。ロクドナルさん、魔力の消費感はどうですか?」
「ふむ、そう言えばそれほど魔力を使った感じがしませんな。まだまだいけそうですぞ。」
「素晴らしい、やはりそうですか!そうすると従来のゴーレム兵より同調時は魔力消費が少なく、機動力は抜群、さらに強度もアイミを相手にしながら問題無いとすれば確実にゴーレム兵を上まります!」
アンナさんは資料に何か書き込みながら試作機の各関節を調べ始める。
「でもアンナさん、今回は同調者がロクドナルさんでしたからこの結果が得られましたが、他の方では難しいのではないのかしら?」
するとアンナさんは我が意を得たりとその大きな胸を張って解説を始める。
「そこなんですよ!今回試作機には自己学習機能を充実させ、経験値を積めば積むほど最適化して戦闘が出来るようになっているのですよ!」
つまり、戦闘すればするほど強くなると言う事か?
それって、最終的には素人が操作してもそこそこ戦えてしまうって事だ。
「更に今回はそのデーターを容易に複製できます。ですので同型機を複製した時点で同等の能力を保有する事が出来るのです!」
なんと、すでに量産を視野に入れているのか!
こりゃあ、ゴーレム兵からマシンドールに総入れ替えかな?
「しかし問題も残ります。下級精霊の確保とその融合作業です。下級精霊は召還する方法で対応できそうですが、融合作業は私も頑張っても一日で一つ分しか作れません。」
そう言ってから俺を見る。
「ですので、大魔力を保有しているエルハイミちゃんに早急に【融合】魔法を覚えてもらい、魔晶石核の作成に協力してもらいたいのです!」
なんと、そう来たか!?
確かに俺なら一日に何個もできるだろう。
問題はあの難しい【融合】魔法の呪文を覚えなければならないって事だよなぁ。
うーん出来るだろうか?
そして俺の苦難な魔晶石核作成作業が始まるのであった。
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