第56話3‐31女子会

3‐31女子会




 ミロソ島のおすすめ料理伊勢エビづくしを堪能した俺たちは真っ赤な夕日が水平線に沈む様子を黙って眺めていた。



 いや、なんていうのかもの悲しさの中に神秘的な美しさを感じて完全に太陽が沈むまで見居ちゃったよ。

 他のみんなも同じで、水平線に沈む夕日は地平線に沈む夕日とまた違った美しさを見せてくれる。


 「きれいでしたね。」


 ぽつりとアンナさんが言う。

 

 「ええ、きれいだったわね。なんかちょっと寂しい感じもあったけど。」


 「ティアナもそう感じましたの?」


 「うんきれいなんだけどなんかさみしいって言うか。」


 「太陽は恵みを与え、月は死者を冥界に誘うと言いますからな、やはり太陽が沈むのは悲しく感じるのでありましょうな。」


 なんかロクドナルさんにしては興の深いこと言ってるな。


 みんなで沈む夕日を見てたら辺りがだいぶ暗くなってきた。

 アイミが指先に炎の明かりをともす。


 ぴこぴこっ!


 我に続けと言わん様子で暗くなり始める道をホテルへと誘導する。

 俺たちは笑いながらその後に続く。


 なんか平和だなぁ~。

 つい数日前までの学園長のシゴキが嘘みたいだ。


 ほどなくホテルに着く。

 明日はビーチででも行こうかとティアナが言っているのでアンナさんの水着が拝めるかな?

 そう言えば、水着持ってきていないけど、どこかに売っているのかな?

 

 なんてこと考えながらロクドナルさんたちと別れる。




 


 俺たち女子組は部屋へと戻る。


 既に部屋は明かりがともされていて、幻想的な感じの雰囲気にセットされている。

 流石VIPルーム、こう言ったところもぬかりないな。


 さて、とっとと風呂入って髪の毛の手入れして寝るか。



 ・・・ん?

 風呂??



 「ねえねえ、せっかく大きなお風呂があるんだからみんなで一緒に入らない?」


 ティアナ爆弾発言!!


 「そうですね、せっかくですからそうしましょうか?」


 アンナさんごちそうになります!!!!



 えっ?

 えっ??

 ほんとに良いの?

 マジ??

 そんな、心の準備がまだできて無いよ!!!



 「どうしたのエルハイミ?一緒に入らないの?」


 「是非ともご一緒いたしますわ!!!」


 力強く言う俺だった。





 月明かりがバルコニーを照らす。

 お風呂は三人が入ってもまだまだ余裕があるほど大きい。

 ところどころ泡のジェットが出ている。

 先ほど湯加減を確認したがちょうどいい温度だった。

 

 俺はいそいそと髪の毛をまとめて、服を脱ぎ、湯浴みしてから風呂に入る。

 純粋にいい湯加減の気持ちいいお湯につかるが、今は心に余裕がない。

 一番先に準備できた俺はそわそわしながらお風呂で二人を待つ。

 

 先にティアナが入ってきた。

 

 あまりガン見するつもりはないのにやはりついつい目が行ってしまう。

 まだまだおこちゃまだけど、スラリとした手足にスレンダーなボディーが映える。

 自分とあまり変わらないし、おこちゃまにそれほど緊張するはずもない。

 ティアナも湯浴みしてから風呂に入ってくる。


 「ふあぁ~、気持ちいいねぇ~。エルハイミ。」


 「ええ、気持ちいいですわね、ティアナ。」

 

 でも、思ったほど緊張してない自分にホッとする。


 最近ティアナのちょっとしたしぐさや言葉にドキッとさせられることが多い。

 ティアナのことは純粋に好感が持てるし好きだけど、それは恋愛の好きではないと思う。

 大切な姉?

 なんかそんな感じかな、今はまだ。

 そんなことを思いながらティアナを見ると気持ちよさそうに夜空を見上げている。

 二つの赤と青の月が俺たちを照らしている。


 

 ぴこぴこっ!


 

 ん?

 ピコピコだと?



 まさかと思ってそちらに目をやればアイミが風呂入ってる!?


 「あ、アイミあなたお湯に入っても大丈夫ですの??」

 

 なんとなくマシンドールなので水は厳禁ではないのかと勝手に思っていたがアイミは小首をかしげて耳をぴこぴこさせている。


 ぴこっ!


 どうやら大丈夫と言っているらしい。



 「もともと水陸両用に作ってますから問題ありませんよ。」


 声のする方を見て思わずボっと顔を赤くして頭から湯気が出てしまった!



 おお!

 まさに美の女神がおられる!



 おおきい。

 大きいのだ!!

 それはただ大きいのではなく美しい形をしている。

 ツンと上を向いたものが見事に映える。

 

 着やせするするとは思っていたがこれほどまでとは!!

 俺の男の子の心がおっきしてしまった。


 アンナさんはそのけしからんバディーを包み隠さずしたしたと歩いてくる。

 髪を結い上げピンをくわえてまだ数か所止めている。


 思わずサムズアップ!


 完璧な登場シーンではないか!!まさに理想の登場だ!!

 俺は思わずガン見してしまう。

 

 「どうしたのエルハイミちゃん、私の顔に何かついてるの?」


 そんな俺に気づいたアンナさん、あわてて取り繕う。


 「い、いえ、アンナさんがあんまり奇麗なので見とれてしまいましたわ。」


 「やだ、エルハイミちゃんったら。恥ずかしいじゃない。」


 「でも、アンナって着やせするのよね、脱ぐとかなり胸とか大きいし。」


 ティアナ、ストレートすぎ!

 事実だけど。

 アンナさんは湯あみしてからしずしずと入ってきた。


 とりあえずお湯につかってくれたので目のやり場に困ることはなくなった。

 すごい衝撃だったけど、好いもの見れました。


 「ふうっ、いいお湯ですね。月もきれいだし露天で湯浴みするのなんて初めてですね。」


 心底気持ちよさそうにするアンナさん。

 そんなアンナさんに近寄るティアナ。

 すぅ~っと近寄っていきなりアンナさんの胸をもむ!


 「きゃぁつ!殿下なにをっ!!」


 「いいじゃない、減るもんじゃないし!それにしても一度触ってみたかったのよね、アンナの胸。直に触って分かったけど、やっぱり大きいわね!しかもやわらかいし!」


 「ちょっ、殿下だめですって!あんっ!!」


 「あたしも大きくなったらこのくらいは欲しいわね、そうすればお母様のような服も似合いそうだし!」


 「ああんっ!殿下、そんなに揉まないでぇ!!さ、先はだめぇえぇぇ!!」


 うあー、うあー、うあーっ!!

 何この展開!!!

 これなんてエロゲ―!!?


 俺は一時もこの光景を見逃さないようにガン見するが急に鼻頭が熱くなってきた。



 ぽたぽたっ。



 「うわっ、エルハイミ!どうしたのよ!!」


 「きゃーぁっ!エルハイミちゃん、鼻血、鼻血!!」


 「え”っ?」


 そう思ったとたん視界がぐにゃりとする。

 あれっと思ったけど俺はそのまま湯船にぶっ倒れた。





 アイミがうちわであおいでくれている。


 あの後じゃれてたティアナとアンナさんが大慌てでお湯から引き揚げ、体をふいてベットに運んでくれた。

 どうやら長々と風呂に入っていたのと目の前のパラダイスに興奮してのぼせたようだ。


 女の子にあるまじき鼻に綿を詰められ、キャミソールを着せられぶっ倒れている。


 ぴこぴこぉ~?


 「うん、大丈夫ですわ、だいぶ落ち着いたみたいですわ。」


 心配してくれているアイミの後ろからティアナとアンナさんが来てくれた。

 二人ともキャミソールとネグリジェという寝間着姿だが、特にアンナさんのネグリジェは危険だ。

 透けてはいないものの、その破壊力はもう一度鼻血が出そうだ。


 「エルハイミ、大丈夫?冷たい飲み物持ってきたわよ。」


 アイミに助けられて起き上がり、ティアナから飲み物を受け取る。

 その冷たい器に頬をつけてから冷たい液体を飲む。

 すぅうぅ~と流れ込む冷たさが心地いい。


 「ありがとうございますですわ、ティアナ。もう大丈夫ですわ。」

 

 そう言って鼻から綿を取る。

 もう鼻血は出ない。


 「びっくりしました、エルハイミちゃんがいきなり鼻血出すのですから。」


 「まあ、ほかの人に見られていないからいいじゃない、かわいい子の鼻に綿詰まっているなんて他の人に見せられないもんね。」


 「全くですね。」


 けらけら、うふふふ、と笑う二人。

 

 「明日は自由行動で浜辺で海水浴というのをやるからそろそろ寝ましょ。」


 「そうですね、エルハイミちゃんもよく休んでもらわないといけませんからね。」


 そう言って二人はベットに上がり込んで来て俺の左右に陣取る。

 

 え? 

 ええぇぇぇ??

 なにそれ!?

 

 「へへへっ、こうして一緒に寝るのって初めてだね。」


 「そうですね、でもこのベット大きいですから問題ないですね。」


 りょ、両手に華っ!?

 何このハーレム状態!!?



 「そう言えばさぁ~」


 「ええ、そうなんですか??」



 なんか女子トークも始まった。

 しばらくきゃいきゃいやっていたのだが、誰となく眠りに落ちる。

 

 俺以外・・・



 ね、眠れんわぁあぁっぁ!!!





 俺はティアナとアンナさんに抱き枕にされ一人悶々と夜を明かすのであった。

 

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