第27話
家に戻った
二人の疲労感はピークに達していた。
怒りと
「ねぇ、しゅうちゃん……」
光咲が弱々しく呟く。
「うちのお母さんがやったことはもちろん良くないことだよ。朝子さんのお父さんと関係持った挙句再婚したんだから。朝子さんがあの母に苦労するのも無理ないと思う。実の娘である私とお兄ちゃんも苦労したんだから。お父さんは本当に私とお兄ちゃんのことをよく考えてくれてた。
主に紫桜の生徒または近隣で何かしら
紫桜学院の保護者の中には両親共働きの家が少なくないので、夜遅くに行われる。そのため通常の保護者会になかなか出席できない父兄が来ることが可能である。
しかしその保護者会の男性の出入りが厳しい。
基本的に紫桜学院は異性の出入りを禁止しており、父か祖父か小学生以下の男性しか出入りが認められていない。保護者会も文化祭もそうだ。
紫桜学院は裕福な子女が集まる。保護者会にくる父兄は会社でそれなりの役職や地域の権力者や
母は裕福でそれなりの地位についている男性が集まることを分かってて保護者会に出席した。
通常の保護者会は日中でほとんどが母親ばかりだ。
女性ばかりくる通常の保護者会だと母はつまらないから来なかった。そもそも同性に敵対心持っている母が来る訳がない。来たのはいつも父だった。
「光咲のお母さん、なぁ……」
秀清は大きく
「お母さんがしたことが私たちに影響しているのよ。朝子さんとのお父さんの件もそうだけど、お母さん昔から色々やらかしてたから」
光咲の母である
それも何回もだ。
八重子は誰が好きか聞いてそれをわかった上で自分の彼氏にさせるのである。ひどいときは妻子がいる男性教師に手をだしていた。
そのため女子から
事情をよく知らない男子たちからはちやほやされていたが、それも段々なくなり、最終的には「小野寺八重子に恋バナとノロケ話するな」と学内で
教師と関係になった時は
――自分が好きになった男性がたまたま妻子ある方であって、私は悪くない。
――娘の恋路を邪魔するなんて先生方はご理解できないのですか。
教師は系列の学校へ移動した。この調子だと八重子は退学になるのではと噂されていたが、八重子の母がお金で解決させたのである。
学内で有名人になった八重子は、周りに疎まれようがどこ吹く風だった。
後に光咲の担任となる
「私の高校時代の担任である
光咲の目から大粒の涙が出てきた。
さりげなく秀清が光咲を抱きよせて安心させる。
井上夫妻の飯塚夫妻に対するあんまりな言い
あそこまで人格否定レベルのことを言われたのは初めてである。
よく言い返さなかったなと思う。
光咲が「同級生の保護者と不倫した小野寺八重子」の子どもである事実は消えない。
それがずっとついて回ってくる。
兄もそれは同じだ。
「私は親の
私は私。母は母。兄は兄。
――『親の因果は子に報いる』という
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