九章 白のとかげ

九章 白のとかげ

1

 クロアが待ちかねた決行の日は予想以上に早かった。最初の作戦会議を行なった翌々日に決定する。即断の要因にはマキシが主張した希少な魔獣の保護があがったが、そのほかにも原因がある。リックの大食ぶりに対応しきれない料理人が音をあげてしまったという。早々に客分の役目を終えて退去してもらうため、片を付けることになった。

 当日、早朝に隊を率いて出発する。総数は百人余り。それ一つが小隊と言える規模だ。あまり人数が多いとリックが「巻き添えを食らわすかもしれん」と物騒な意見を述べたため、兵数は抑えた。

 討伐隊は五つの兵種に分けて、個別の隊とした。ひとつは戦場となる山林にて小回りの利く軽歩兵。指揮官はユネス。ここにリックとフィルが加わる。次は同じく歩兵の術官部隊。指揮官はプルケでタオが治療役に入る。タオの仲間二人もこの隊に付き添った。次は歩兵の武僧部隊。自身が武僧兵であるボーゼンが指揮を執る。残りはみな騎馬か飛獣に乗った兵である。ルッツが騎兵、クノードが弓の飛兵部隊を統べる。ルッツは初め指揮官の任を遠慮していたが、短期間で兵卒の信任を集めたのを理由に、客将として不足なしと見做された。

 クロアはどの隊にも含まれず、いつもの従者とマキシの四人で自由にしてよいという。ただ一点の決め事はあった。囚われのアゼレダはクロアが相手にする。招術士マキシがクロアに同行するのも、魔獣と相対するためだ。

 クロアたちは歩兵に歩調を合わせて進み、途中で隊を二分した。賊の居城の正面から行くものと、賊の逃走を予想される西側へ回り込むもので別行動をする。正面は軽歩兵と武僧兵の隊が担当し、クロアも向かう。それ以外の隊が所定の位置についたと連絡が入れば正面部隊が突入する。賊が住む洞窟に近い木陰で歩兵が待機した。

 あたりは傾斜が幾分平らであり、洞窟の周囲は開けた場所になっていた。洞窟から出て行く人影が見えるたび、クロアは賊を捕まえ損なうのではないかと気をもんだ。

 人の出入りを傍観していた一同が、急に息をのむ。洞穴から巨大な獣が現れたのだ。巨狼の毛皮を鱗に変えたような白い魔獣が、引き綱で制御されている。風貌はマキシがもつ招獣とそっくりだ。しかし奇声を発し、よだれを垂らす様子は正常に見えなかった。それでも綱を握る人間に大人しく従う。その理由は外的要因によって精神が蝕まれているからだろう。マキシが苦々しく「酷いな……」とつぶやいた。

 無残な魔獣がクロアたちのいる方向に吠え立てた。無情な飼い主は異変に気付き、住居の穴に向かって団員の集結を号令する。潜んでいたアンペレの将軍も隊員に呼びかける。

「兵は魔獣を相手にするな! 必ず二人以上で賊ひとりと戦え!」

 ボーゼンは味方全体に命令を下した。クロアもベニトラに魔獣の注意を引き付けるよう言い、足の速い招獣のあとを追った。猫の大きさだったベニトラは猛獣へと変わる。木の幹を自在に蹴って隊員たちの頭上を越えた。ベニトラが真っ先に白い魔獣に飛びかかり、敵の意識を自身に集中させた。ベニトラにおののいた飼い主は引き綱を放し、自身の腰に提げた剣を抜く。その切っ先はベニトラでなく襲来するアンペレの兵に向けられた。先陣を切るのはユネス。一刀のもと剣を弾き飛ばし、無防備な賊の腹を蹴った。

「お手本はこんな感じだ。三人がかりでもいいから敵をひとりずつ倒すんだぞ」

 ねらいは胴体と足だ、とユネスは兵たちに忠告する。剣を鞘にもどすと打倒した賊の足首をつかむ。そして引きずり、後方へ下がる。最前線を離脱する隊長を歩兵たちが見送った。

 クロアは賊の包囲をユネスたちに任せ、ベニトラを追いかける。朱色の招獣は兵たちを賊との戦いに専念させるために戦地を移していた。

『そっちの調子はどう?』

『爪や牙が通りにくい。やはり首輪と赤い石を破壊するが先決か』

『わかったわ。わたしたちがやる』

 クロアはすでに招獣の居場所を感じる技を会得していた。この数日、ナーマが町中でうろつくのをこっそり追って、確認した。接近された招獣も招術士の気配がわかるという。ベニトラの気配はなぜかクロアから遠ざかった。木々を抜けて招獣が留まった場に行くと

 見晴らしのよい川辺へ出る。ベニトラは人が戦いやすい場所へ魔獣を誘導したのだ。

『ありがとう。気を遣ってくれたのね』

 クロアは攻撃を仕掛ける前に後ろを確認する。ダムトはついてきていたがレジィとマキシの姿が見えない。ダムトが上空を指差した。空には上半身が女の人間に近い妖鳥が飛行し、その両腕に人が二人抱えられていた。


2

 妖鳥に運ばれるマキシが下りてきた。レジィは妖鳥から離れるが、招術士は自身の招獣に抱えられたままだ。

「アゼレダに物理攻撃は効きにくい。まず僕がレジィの招獣と一緒に撹乱しよう。きみはその隙を突いてくれ。弱点は赤い魔石だ」

 敵対する魔獣は首輪の下の胸元に、赤い石が埋め込んであった。

「首輪の効力は、アゼレダなら無効化できると思う。外すのは後回しだ」

 マキシが再度上空へ上がった。レジィは黄鼬を呼ぶ。

「マルくん、電撃をあの白い魔獣にぶつけて!」

 薄黄色の細長い獣が地面をとたとた走る。毛を逆立てたのち、雷光を放った。一筋の光が矢のごとく魔獣の胴に命中する。魔獣は雷術を当てた小動物をぎろりと睨んだ。黄鼬はびくっと硬直する。魔獣が標的を小さな招獣に変えた。魔獣が跳びあがったところを光の矢が降り注ぐ。空からの攻撃だ。体勢を崩した魔獣は着地の姿勢をとることに専念し、四肢を広げた。攻撃の意思が削がれた瞬間を狙い、クロアは杖を思いきり振るった。赤い石を砕き、魔獣の胸をも殴りぬく。相手は物理防御力が高いというので遠慮はしなかった。魔獣の体は吹っ飛び、大木にぶちあたる。木の幹にへばりつく魔獣が、ずるずると木の根元にずり落ちた。

「やり過ぎたかしら……?」

 クロアの心配をよそにダムトが素早く魔獣に接近する。魔獣は気絶しているようで、抵抗なく首元を触られていた。ダムトは隠し持った短剣で首輪を切る。これで魔獣を縛りつける道具はなくなった。

「じゃあレジィ、魔獣の治療を頼むわね」

「はい。念入りに治します」

 負傷した魔獣はレジィに託し、クロアはボーゼンたちがいた方角を見た。賊との混戦を避けるために戦地を隔てたせいで、剣戟の響きは聞こえない。

「公女! 空へ来てみろ、竜が飛んでいくぞ!」

 滞空していたマキシがさけぶ。クロアはベニトラの背に乗り、彼のいる空へ上がった。マキシが言うものは西の空、彼方にあった。青紫色の翼を生やした大きな爬虫類だ。その背に人を複数乗せて飛行している。

「剣王国に行く飛竜かしらね。それがどうかなさったの?」

「あれは賊の居住地から飛び立った飛竜だ! 賊が飛竜を使って逃走しているんだ」

「ええ? もう、あんなに遠いのに……」

 遠景の飛竜はみるみる小さくなっていった。

「嘘みたいに飛行速度が速いぞ。僕らの飛獣では追いつけないな」

「そんなに機敏にうごかれたら、お父さまの弓でも射止められないわ」

「ああ、賊の完全捕獲は無理だったな。アゼレダを救出できただけ良かったと思おう」

 クロアはほかの隊との合流を図る。気絶中の魔獣はベニトラの背に乗せ、徒歩で洞穴へもどる。付近には縛られた賊が数人固まっていた。そして治療中の兵もいる。その中にユネスとボーゼンがいたので、クロアは心底驚いた。この二人はやすやすと傷を負う武人ではないのだ。軽装のユネスは腹部におびただしい出血の痕が残る。

「ユネス! ボーゼン! どんなやつにやられたの?」

 クロアの問いには療術士に徹するフィルが答える。

「館の魔人、ヴラドです」

 フィルは居たたまれない様子で目を伏せる。恐れていた事態が、こうして現実になったのだ。

「じゃあ、さっき逃げていった竜はあなたの……」

「そうです、我が子が悪党に関与しているのです。『ヴラドが決めたことだから』と」

 クロアは杖を握りしめ「ヴラドも逃げたの?」と聞く。フィルは首を横にふる。

「いえ、場所を移して、リックと戦っているはずです」

「あなたの見立てだと、どちらが有利なの?」

「わかりません。実力は……互角だと思います」

「ではわたしたちが加勢するわ。案内してくださる?」

「よろしいですけど、公女たちがかなう相手とは……」

「やってみなくちゃわからないわ」

 クロアの強い押しによってフィルが了承する。クロアは気絶中の魔獣をベニトラの背から降ろし、空いた飛獣の背に乗る。ダムトもクロアの後方に乗った。マキシはどうする、とクロアは周りを見たところ、彼も妖鳥に抱えられた状態で待機している。クロアたちはフィルに先導してもらい、その後ろを追いかけた。フィルはおそらく、あるじの気配のするほうへまっすぐ向かっている。その感覚はクロアがベニトラを追跡したのと似た感覚だろうと想像できた。


3

 山の斜面を駆け抜け、フィルが到着した先にはリックがいた。地中に大部分が埋もれる岩に腰かけ、休んでいる。彼の肉体には外傷がなかった。

「リックさん、賊にくみする魔人と一戦交えたのではなかったの?」

「やつはすーぐ帰っちまったよ。ま、本気で勝敗を決めるときゃ、数日がかりになると思うがな」

「そんなに、お強いのね?」

「そらそうよ。むかーしの戦争で敵方を蹂躙した魔人だぞ」

「そんな魔人が、なんでチンケな賊の仲間になったのか、お聞きになりました?」

 リックはあご鬚をさすって「あいつも人さがしだとよ」と答える。

「貢ぎ物の女がいなくなったらしい。その捜索を賊が手伝ってくれるんだと」

「貢ぎ物の女?」

「あー、何年前だか知らねえが、もらったんだとよ。半魔で長生きする女だから、ナマモノでも受けつけたらしい。あいつは長いことカタチが残るもんを報酬に選ぶんだ」

「人をお金か物みたいに……」

「文句があんなら女を差し出した連中に言うんだな」

 リックは立ち上がり、フィルと肩を並べて歩く。クロアたちも兵が待つ場所へ移動した。

「その女を見つけて、ヴラドにくれてやりゃあいい。そうすりゃ賊なんざすぐとっつかまる」

「その女性のこと、リックさんはご存知ないの」

「知らん! ここ最近の話はワシもフィルも把握できてねえ。遊びに行ってもヴラドの部屋には入らねえで、やつの飛竜に会うだけだかんな」

 あいつは用もなく起こすと怒るんだ、と愚痴った。まことにリックはあてがないらしい。

「でしたら……女性の名前や外見の特徴をヴラドに聞いてみたらどうかしら? わたしたちが代わりにさがすと言えば、鞍替えするかも」

「さあてな。最悪、あいつも女の名前と顔を忘れてるかもしれんぞ」

「え、本当に? だって大事な貢ぎ物じゃ……」

「あんまりオツムは良くねえからよ。感覚で覚えてる部分でないと信用できんぞ、あいつ」

「そんなにバカなの……」

 ダムトが「クロア様が他人のことを言える義理はないですよ」と口を挟む。クロアは腕をぶんと振って、従者の正論に反抗する。

「とにかく! 次は館の魔人を調査するわ。ダムト、ヴラドの住処を調べてちょうだい」

「そのあたりは調べなくてもわかりますよ。有名ですから」

 ダムトはマキシに「貴君は知っておいででしょう」とたずねた。マキシは同意を示す。

「ヴラドの館は旅人が一夜を明かす宿の代わりになるらしいね。噂通りの場所にあったという証言はとれている」

「彼の館に手がかりが残っているか、さがしてみますか」

 ダムトが話をまとめた。一同はほかの隊との合流のため、きた道をもどった。

 負傷兵のいた場に近付くにつれ、ベニトラの移動速度が速まる。火急の用ができたのかしらとクロアが心中でつぶやくと『魔獣が起きたらしい』と返答があった。

「あの魔獣がもう目覚めたの? ベニトラのときは長い時間、寝ていたのに」

「衰弱しているとはいえ兵に危害を加える危険があります。急ぎましょう」

 ダムトが巨大トンボの飛獣を呼び、トンボの背に飛びうつった。彼は飛獣を高く上昇させ、木のうえまで上がる。クロアもベニトラを上空へ飛翔させた。


 クロアが見下ろした大地には白い巨獣と二人の戦士がにらみ合っていた。戦士側の後方には捕縛した賊たちがいる。ボーゼンらは虜囚を守っているようだ。ダムトがそっと着陸したのを真似て、クロアも穏便に着地する。白い魔獣はクロアをじろっと見た。

「わたしたちにはあなたを痛めつけるつもりはありませんわ。威嚇はやめて──」

「助けてくれてありがとよ」

 魔獣は自身の突き出た口をクロアに向けてしゃべった。謝辞を述べられて、クロアの警戒心はうすれる。だが周囲に待機する兵と賊たちはなぜか戦々恐々とした。

「だがオレに好き放題したバカどもにはケジメをつけてやらにゃならん」

「それはわたしたちが法で裁くことですわ。私刑は認められません」

「魔獣に法も規則もあるか!」

 獣ががなった。ボーゼンが杖を構えなおす。

「きさま、クロア様に楯突く気か!」

 怒号を飛ばす宿将を、腹部の出血痕がのこる歩兵隊長がなだめる。

「ちょいと待った。クロア様はあいつの言ってることがわかるみたいだ」

 クロアはユネスの発言が瞬時に解せなかった。そばにいるダムトが察して「たまにあることです」と告げる。

「魔獣は高い魔力によって人語を話します。魔力は精気を消費して内外に影響を及ぼすので、弱っている状態では会話機能がうまく働かない場合があるのです」

「ではなぜわたしには聞こえるの?」

「魔族の血が入っているからですよ。俺も聞こえますし」

 マキシが「ほかにも要因はある」と言う。彼はこれまで妖鳥で移動していたが、いまは自分の足で立っている。

「聞き手が強い魔力を有し、魔獣との意思疎通を願うことでも言葉はわかるようになるんだ」

 マキシは急に「グウェン!」と名を呼んだ。彼の招獣が出現する。白い鱗で覆われた獣だ。説得中の魔獣と風貌は似ているものの、体が一回り小さい。

「むやみに人を傷つけないで。私たちの種族全体が危険だと思われてしまう!」

 高い声だ。クロアは女性が話したと思ったが、レジィとフィルの声ではない。グウェンという名の招獣がしゃべっているらしい。

「いまは心と体を癒しましょう。それまでこの人間たちは守ってくれる──」

「そして鱗を剥ぐんだろう。オレの仲間がそうだった!」

 魔獣が拘束中の賊をにらんだ。賊は短い悲鳴をあげる。

「こいつら、オレをどう見ていたと思う? 『番犬代わりに戦わせればよし、死ねば死体を売って稼ぐもよし』だとよ。オレを殺すつもりでいたクズどもを襲って、なにが悪い!」

 魔獣が咆哮する。グウェンはなおも諌めようとした。しかしリックが間に入り、阻む。

「このしょっぴいた連中、おめえの気が済むまで殴ってみっか?」

 粗暴な提案だ。クロアたちは騒然とした。リックは「条件付きだ」と加える。

「一発殴るごとに賊は入れ替える。殴ったやつはフィルが治して元通りにする。ようは殺しはナシだ。な?」

 リックがクロアに賛同を求めた。クロアはなやむ。

「そんなこと、勝手にやっていいのかしら……」

「このまんまじゃ、あの魔獣をおめーらが退治するはめになる。どっちがいいんだ?」

「それはいけないわ。あの子はただの被害者だもの」

「だろ? だれも死なねえ程度に望みを叶えさせてやれよ。長いこと耐えてきたんだからよ」

 クロアは自分の次に権力のある武官を見た。ボーゼンは苦渋の表情で「黙認します」と言う。

「どうか死者は出しませぬよう、それだけはお守りください」

 ボーゼンは兵に命令を出して、クノードに撤退指示をあおぐ者や賊の住居の調査に当たる者など、とにかく兵全体に移動を命じた。私刑の場を目撃させないようにする気遣いだろうか。

 残された捕縛者は怯え、その場をうごけないながらも身を寄せ合う。リックは最前列にいた賊を片手で捕まえた。無理に立たせ、引きずるように歩かせる。殺さないでくれ、という賊の嘆願をリックは鼻で笑う。

「死にはしねえさ。うちのフィルは年季の入った療術士だ」

「『熟練の』と言ってくれます?」

 免れない痛みに恐怖する賊とは対照的に、二人は笑った。


4

 白い魔獣はリックの提案に乗った。縛に就いた人間を前足で殴打していく。その制裁は十人いる男たちを二回ずつ倒すことで終結を迎える。二順目になると、魔獣の疲労が積み重なったのか、打撃の勢いが鈍った。振り上げる前足が重々しくなると、私刑の提言者が「おめえの怨みはそんなもんか」とけしかけるありさまだ。クロアは現場を始終見ていて、ひとつ思った。

(あの魔獣に人を殺せる力がのこっていないと、リックさんは見抜いていたのかしら)

 魔獣が賊への私刑をやりはじめたとき、殴られた側は地に倒れた。その衝撃は、手足を縛られて踏ん張りがきかなかったから転倒した程度のもの。さほど強い打撃であったようには見えず、むしろクロアが魔獣を強打した時のほうが豪快にふっとんでいた。

 魔獣が「もういい」と弱音に近い報復完了の意を示した。その直後に自身の体を小さくする。クロアは小動物のごとき魔獣を持ちあげた。獣はぐったりと脱力している。

「だいぶ弱っていたのね。あとはゆっくり休ませてあげましょう」

 弱りきった獣をベニトラの背中に乗せた。すると長い尻尾がベニトラの背に到達して、衰弱した獣の体を覆った。弱った獣は、ふかふかの毛皮の寝台と尻尾の毛布に挟まれている。その様子を見たクロアは、ちょっとうらやましいと思った。

 私刑がおわったため、兵を呼びもどす。ボーゼンの指示によって賊による盗品はあらかた押収できており、あとは術具を使って住居の出入口を封鎖するだけだという。

 撤収の作業が終わると、最後に連行する賊同士を一繋ぎに縄で結ぶ。足を拘束していた縄はほどき、自力で歩かせた。捕縛された賊全員が魔獣によって肉の的になった者たちだ。その顔や服に土と少量の血が付いているが、傷はなく、歩行に不自由はなかった。魔獣に痛めつけられたとは傍目にわからない。

 ボーゼンとその武僧兵隊を引率者とし、ユネスの歩兵隊が賊を囲んで護送する。クロアたちはその後詰めを担った。散々自由にうごいたリックとフィルは早々に下山していた。

 帰還の道中、クロアはベニトラの背にいる魔獣のことを話題にする。

「あの白い魔獣、なぜちいさくなったのかしら」

「精気の回復のためじゃないかな」

 とマキシが言う。クロアは思い当たる実例があり、現在は巨獣の姿で歩く招獣を見る。

「だからベニトラも、屋敷ではずっと猫みたいな姿でいるの?」

 ベニトラはクロアの顔をちらりと見て、ぷいっと進行方向を見据えた。中途半端な反応だ。ある一面ではクロアの言うとおりだが、ほかにも理由があって幼獣の姿ですごしているようだとクロアは推測した。

 ベニトラの背には疲弊した魔獣がいる。縮んだ魔獣は死んだように眠っていた。マキシが眠る魔獣の背中をなでる。

「ところでこのアゼレダ、だれが招獣にする?」

「故郷に返すのではないの?」

「いますぐは無理だろうな。輸送には体の負担がかかる。欲をいえばこの土地で半月ほど静養させたいところだ。だがアンペレには魔獣の保護施設がないだろう? 町中で暴れても無害ですむよう、招獣にしておいて、力の制限をかけるべきだと思うんだ」

「たしかに……でも人をうらんでいるのに、招獣になりたがるかしら」

「そうだな……もしかしたら、魔獣の意を汲んでくれたリックを選ぶかもしれないな」

「それはそれでよろしいですわ。お強い庇護者がいれば安全ですもの。希少種の保護を理念とするあなたも喜ばしいのではなくて?」

 マキシは「いや、それが……」と言葉を濁す。

「この魔獣が魔界に行かれると、困るんだ」

「どうして?」

「……グウェンと交配できるかと思ってね」

 クロアは「まあ」と口元を手で覆った。会って数時間と経たぬうちから自身の招獣の婿を決める招術士がいたものだ、と口には出さずにおく。だが態度で伝わったらしく、マキシは不服そうな顔をする。

「そんなに変な話じゃないだろう。僕たち人間にもそういった保護対象となる種族がいる。全体数の少ない玉人を保護し、婚姻を推奨するじゃないか。玉人は公女もよくご存知のはずだ」

「ええ、ロレンツ公がその末裔でいらっしゃるものね」

「魔獣にも見合いがあっていいはずだ。もちろん、無理強いはさせないがね」

「わかりましたわ。招術士の候補には魔人の方々を除外させてもらいましょう」

 当の魔獣の意思は無関係に、二人は魔獣の行く末を決めた。寝こける魔獣はベニトラの長い尾に包まれていた。


5

 一行はアンペレの町に着いた。クロアはベニトラの背に担がれていた白い魔獣を抱える。猛獣の姿のベニトラを町中に入れては住民が怯えてしまうため、ベニトラには愛らしい幼獣に変じてもらう。太い足の猫と化したベニトラを、レジィが抱いた。

 町には当主以下別働隊が帰還しており、余力のある兵が賊の連行を引き継いだ。予想外の魔人と交戦した隊員たちは緊張の糸が切れ、口々に自身の生あることを喜んでいた。隊列の後方にいたユネスが呆れたように苦笑する。

「ほんとに戦士って柄じゃねえのが多いな」

「剣王国の常識で言わないでちょうだい。これがうちの国民の普通の感想なの」

「怪我したら療術ですぐ治してもらえるってのに、そんなに怖いもんですかね」

「ユネスは大怪我してても、戦うのが怖くならない?」

 クロアは彼の血まみれた腹部に視線をやった。傷は完治しているが引き裂かれた服に血が付着したままだ。ユネスは腹に手を当てる。

「……正直、この傷をつけた野郎が出てきた時はびびりました。やり合わないうちから、強さが突き刺さってくるんです」

「逃げたいとは思わなかったの?」

「兵には逃げろと言いましたよ。だが野郎は襲ってくるんで、おれが凌ぐしかないでしょう。兵士連中が時間稼ぎをしたんじゃ、死人が出る」

「自己犠牲の精神でそのケガを負ったのね」

「そんな立派な考えは全然ないですよ。おれが隊長という職分だからそうしたんです。所属のない傭兵時代だったらスタコラ逃げていましたね」

「あら、意外だわ。独り身のほうが無茶しやすいのかと思っていたけれど」

「なにもしがらみがなけりゃ、自分の命優先でやっていきますとも。いまじゃあ隊長に、父親っていう大それた名前がくっついてきてる。そんな身分のやつが部下を置いて逃げたとあっちゃ、もう情けなくって生きていけませんよ」

 軽口を言いながらクロアたちは屋敷に帰還した。魔獣とその胸にあった赤い石の残骸を一時官吏に預ける。そしてすぐに会議室へ集合した。会議室内には留守を預かった高官と、クノードと彼が率いる別働隊に加わったプルケと客分のルッツ、タオがすでに在席していた。リックとフィルはクロアたちの集結に合わせて登場する。口から酒の匂いを漂わせていたため、時間ギリギリまで飲食に勤しんでいたのだとわかった。

 ユネスが遅れて入室する。彼は汚れた服を着替えてきたのだ。クノードは話しあいを始めるまえに兵の状態を尋ねた。ボーゼンは皆壮健だと答え、当主が人当たりのよい笑顔を見せる。

「では結果報告を始めよう。最初に成果を言うと、我々は一部の賊を逃がした。これは賊の逃走にそなえていた私の落ち度だ。ボーゼンたちは善戦し、十名の賊を捕えてくれた」

「伯、それは語弊があります。本官とユネスの隊は予想外の強敵に遭遇し、敗北を喫しました。これに打ち勝てれば賊の逃走を許すことはなかったのです。賊を逃がしたのは我らの力量不足ゆえです」

「『予想外の強敵』とは魔獣のことではないね?」

「はい、館の魔人──ヴラドが協力者にいました」

 カスバンのみが魔人の名に反応を見せた。ヴラドと遭遇していないクノードと彼に同行した者たちは平然としている。その態度を察したボーゼンは「どなたがヴラドについて皆に教えたのです」と質問し、タオが挙手する。

「私が教えた。飛び去る飛竜の追跡を引きとめたのも私だ」

「貴殿はかの魔人とはお知り合いか」

「そうだ。あの青紫の飛竜はヴラドのものだとすぐにわかった。あの速さについていける飛獣を持ちあわせていないため、追跡はムダだと判断した」

「ではどう対策を講じるべきか、一計がおありだろうか?」

「ヴラドがどういう動機で悪党に関与するかによる。リック、お前は会ったんだろう?」

 椅子を揺すっていたリックがめんどくさそうに「そうだなぁ」と気のない返事をする。

「あいつは女を捜してる。何年前だかの報酬で捧げられた女だ。それを賊がさがすから、その対価として、あいつが賊の援護をすることになったんだとよ」

 クノードが苦々しく「女性……か」とつぶやいた。リックはかまわず説明を続ける。

「そいつをワシらが見つけてヴラドにくれてやりゃあ、あいつは自分ちに帰るだろうよ。そんで後ろ盾を失くした賊をふんじばるってえ寸法だ。クロアも同じ考えだな?」

 クロアは「おっしゃるとおりですわ」とリックに同意した。しかし具体的にヴラドがどんな人物をもとめているのか、わからない。

「どういう女性なのか……タオさんはご存知?」

「私も……よくは知らないな。リック、なぜヴラドに問い詰めなかった」

「聞いても答えやしねえ。あいつ、またド忘れしてんぜ。こうなるなら帳簿を漁っときゃよかったな」

「しょうのないやつだ。館を調べて手がかりを見つけよう。これは私に任せてほしい」

 タオは全体に向けて進言した。断る理由はないとクロアは思うが、カスバンが反論する。

「それはわがアンペレの官吏が調査すべきことでしょう。客人ひとりに任せるわけには」

「ヴラドの所有物を破損なり紛失なりさせてみろ、この町を滅ぼしに来るやもしれんぞ」

 タオの剣幕に押され、老官が黙った。タオは物静かそうなわりに過激なことを言う男だ。

「私がヴラドの怒りを買ったとしても、対抗手段はある。ここは私を頼ってくれ」

 クノードが「お任せしよう」と決定を下す。

「いつ頃に実行するつもりか、教えていただけるかな」

「そう何日とは時間をかけない。準備ができ次第、と言っておきましょう」

「ではあなたの裁量を信じよう」

 今後の方針が決定し、あとは細々とした状況報告が展開する。昼食時を過ぎた時間帯での会議は武官たちとクロアの集中力が欠けてしまい、早々に解散となった。


6

 会議終了後、クロアは平常通りに執務室で昼食をとった。自室で食べてもよかったが、午前にできなかった事務作業を食後すぐにこなしたかった。出兵のせいで疲れたからと言って後日に回してもよかったが、快勝とは言えぬ結果に終わったため気が引けた。

 室内には四人の男女がいる。レジィとダムトの両人が揃っているためにマキシの座席はなく、予備の椅子を使ってクロアの机にお邪魔した。その図々しさにクロアは少々うんざりする。

「あなたは客室で召し上がってもよろしいのですけど?」

「なんの、保護した魔獣が起きたら公女に知らせがくると言うじゃないか。だったらきみのそばに居させてもらう。僕の知らない間にあの魔獣の招術士を決められてほしくないからね」

「なんです、あなたは同じ種類の招獣がもう一体欲しいんですの?」

「それが一番気楽だな。彼がグウェンと相性がよくなかったとしても、ほかの雌に会わせてあげられる。もしここのだれかが招術士になったときは、そう簡単にいくまい」

「魔獣は複数人の招獣になれるのでしょ」

「できはするが……基本的にひとりを招術士に認めるものだ。いろんな人に代わる代わる呼ばれたくはないんだろう。きみだって『資料をまとめろ』とか『経費の試算をしろ』とか一日中働かせられたら、嫌になるだろ?」

 クロアは午前限定の公務でさえ嫌気が差している。事務作業が苦手な者には気が重くなる例えだ。魔獣を招獣にする行為は彼らに仕事を押し付け、拘束することに近しいのだと考えをあらためる。ベニトラを招獣にして以来、気ままな猫としてすごす獣を見ていると、招獣とは楽な生き物だとばかりうらやんでいたが、そうでもないらしい。

「そうね……ベニトラはいつも寝ているけれど、今日のような戦いがひっきりなしに起きたんじゃ、大好きな昼寝ができないわ」

「きみのように招獣を伸び伸びと暮らさせる招術士ばかりじゃない。多くが戦闘や運搬などをさせる目的で呼ぶんだ。術士の精気を代価としてね」

 マキシの講義中に、ひとりの官吏が入室してきた。官吏は小型の檻と包みをクロアの机に置く。檻の魔獣の処遇をクロアに一任すると言って、すぐ退室した。クロアが檻の中の生物を見ているとマキシは包みを勝手に開ける。包みには割れた赤い石が入っていた。

「これが赤い魔石……の欠片か。ありがたく頂戴しよう」

「そんなもの、もらってどうしますの?」

「研究させてもらう。うまくいけば招獣の強化用の装具に転用できるぞ」

「せいぜい招獣を凶暴化させないようにお気をつけになって」

 クロアは檻の戸を開ける。ちいさな白い魔獣がそろりと前足を机上につけた。

「ねえあなた、この部屋にいる人間の招獣になってくださる?」

「オレが、人間の小間使いに?」

 四肢の長いトカゲのような魔獣がクロアを見上げた。

「いまのところ、あなたになにかしてもらう予定はありませんわ。静養にどうかと勧めております。招獣として呼ばれる間、招術士の精気があなたに流れる……早く活力を取りもどすには好都合なのではなくて?」

「なにが目的だ? 金にならんことを人間がすると思えん」

「わたしは金品に困窮しておりません。しいていえば戦える仲間が不足しているかしら」

「ほーう、オレを手駒にしたいか」

 無毛の獣が部屋の左右に控える従者を見た。レジィは手を振りながら獣に笑いかける。ダムトは魔獣の視線を無視して、空の食器を配膳台に運ぶ。獣は最後にクロアとマキシを見つめる。

「オレの信条から決めさせてもらうと、アンタだな」

「わたし?」

「術や道具を使ってオレらを捕まえる連中は好かん。だがアンタは腕力でオレに勝った」

 鱗で覆われた獣が前足をあげる。クロアは握手をするように鱗で覆われた足を握った。


7

 夕食を終えたクロアは自室で休んでいた。クロアのあらたな招獣はいま、マキシに預けてある。その様子を見に行こうかな、とぼんやり考えたころ、扉を叩く音が鳴った。音の出所は隣室のレジィの部屋ではなく、廊下だ。

「どちらさま?」

「療術士のタオだ。いま、部屋に入ってもいいか」

「ええ、どうぞ」

 帽子を被った男が入室する。彼は外套を羽織っており、外出の支度ができていた。ただし杖は持っていない。

「いまからお出かけになるの?」

「ああ、ヴラドの館に行く。先だっては貸していただきたいものがあって来た」

「なんですの?」

「写真……とくにご両親が写っているものがいい」

「お父さまとお母さまの写真? ええ、わかりましたわ」

 クロアは不可解ながらも要求通りに家族写真を探す。寝台の横にある棚から写真帳を出した。冊子状のそれは収めた枚数がクロアお気に入りの画ぞろい。ぺらぺらとめくり、両親が共にいる構図を選んだ。これはどう、とタオに見せると「帳面ごと貸せるか」と聞いてくる。写真を個別に保護する袋がないため、写真の保存の面においてクロアは了承した。タオは写真帳を自身の鞄にしまう。

「公女も同行を願う。無理なら日を改める」

「わたしも一緒に? でしたらみなに一言伝えておきましょう」

「いや、黙って行こう。尾行されては面倒だ」

 クロアは従者にも告げずに外出をすることに抵抗を覚えた。おまけに目の前の人物はまだよく知らない相手だ。二人きりで行動して、なにが起きるかわからない。

「不安ならば武具を装備したうえで、ベニトラも連れていこう。こいつは口が堅い」

「他言無用なものを調べに行くんですの?」

「そうだ。かなり繊細に扱わねば……この町に混乱が訪れる」

 クロアはタオが口走った、ヴラドが町を滅ぼしに来るという脅し文句を思い出した。他者が魔人の所有物に無礼を働けば破滅を呼ぶという行為。それがタオも引き起こす可能性があるのではないかと不安がよぎる。

「館の調査は、あなたの雇用の際に依頼したことではないのに……ほんとうによろしいの?」

「私のことは案じるな。さ、飛獣を出すぞ」

 成人の背丈ほどの爬虫類が現れた。赤黒い鱗で覆った体に羽毛のない翼が生える。飛竜にしては小型で、ひとりが騎乗するのがやっとだ。

「わたしはベニトラに乗りましょうか」

「いや、この屋敷を出るまでは飛竜に乗っていてほしい。姿を隠せる」

 クロアはタオの指示にしたがって武装し、竜にまたがった。鱗がほんのり温かい。さらに温かい猫がクロアの手中におさまった。ベニトラが竜に乗ると半透明な膜が竜全体を包みはじめた。タオが部屋を出て、その後を泡に入った竜が低空飛行する。タオは飛竜を引き連れて屋敷内を闊歩した。道中すれ違う官吏はタオにのみ注目し、後ろにいる飛竜とクロアにはまったく視線を投げなかった。妙だと思ったクロアは竜や自身の手を見る。可視できる姿だ。ダムトが使う透明化の術とは異なる隠遁の術があるのだとわかった。

 クロアはだれにも声をかけられずに屋敷を出た。人目につかない場所にて竜は上昇する。タオが同乗しないまま上空へ飛翔することにクロアは焦ったが、彼は竜の足につかまっていた。

 小型の飛竜は町の外壁を越え、歩哨の警戒範囲を離脱する。そのとたん飛竜は肥大化し、大人が二、三人背に乗れる大きさまでに成長した。タオが飛竜の背中に自身の足をかけ、よじのぼる。そうしてクロアの後方に騎乗した。竜全体を包む膜は依然としてある。

「この膜はなんですの?」

「主な効果は風よけと目くらましだ。それと転落防止にもなる」

「落ちても平気……それはとても安心できますわね。ダムトの飛獣だと、すこし体の傾きを変えただけで落ちそうなんですもの」

「安定感を度外視して飛行に特化する分、精気の消費が抑えられるんだろう。かくいう自分も、この飛竜を最低限の大きさで飛行させているしな」

「ほんとうはもっと大きいと?」

「昼間の飛竜よりは大きかったと思う。と言っても、公女は近くで見ていなかったかな」

 賊の逃走を援助した竜。その背には一体何人乗せていたのかクロアは気になった。

「そういえば飛竜に乗った賊の数、おわかりになる?」

「下から見ていたせいでわからないな。ダムトは最低でも十六人、確認できていたんだろう? 捕えた十人を引いて六人。その程度は運べる。詰めればあと三、四人は乗る」

「十人も運べますの? 竜はそんなに大きいんですのね」

「手荒な方法を使えばもっと運べるぞ」

「荒っぽい方法?」

「飛竜の胃袋には食物の消化用と物の保管用の二種類がある。保管用に人を入れるんだ」

「まちがって消化されません?」

「飛竜の気分と呑まれる人の暴れ方次第では、そういった間違いが起きるだろうな」

「さらっと物騒なことをおっしゃるのね、あなたは」

「可能性があることはたしかだ。そこを言い繕っても意味がないように思う」

 クロアはこの療術士に不器用な実直さを見い出す。いよいよダムトが評した「信用できる男」が真実味を帯びてきた。

 飛竜は聖王国と剣王国を隔てる山を越える。この大陸上での国境は通常、自由に出入りが許される。通行に制限がかかるときとは、凶悪犯罪者の逃亡や凶暴な魔獣の出現などの緊急時にかぎる。さらに緊迫した状況になると、山に張り巡らされた防衛機能が作動し、山および空からの移動もできなくなるという。その機能は第三訓練場の利用時に発生する防壁と同種のものだ、とクロアは聞いていた。

 行く手を阻まれない飛竜はとある屋敷の前へ着陸した。森林に囲まれた静謐な館だ。中には煌々とした灯りが窓から漏れ、日の落ちた庭を照らしていた。


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