第17話 息子の合宿免許

俺が50歳の時

場所は岡山県新見市


世の中には「合宿免許」と言う非常に便利なサービスがある。


ご存知のように1ヵ月間の短期間に車の免許を取るシステムだ。


俺の息子が岡山の新見市にある合宿免許場に入って、いよいよ仮免許の試験の前日のことであった。


俺はベトナムにいてSkypeで画像を見ながら息子と話していた。


画面にはアップの息子の顔が見えていて、明日の試験の意気込みなどを話していた。


そして息子の肩越しに合宿場の部屋の内部が見て取れた。


そこには先ほどから、机に向かって勉強しているもう1人の若い人間の姿があった。


当然俺は「その人と2人で部屋を共有しているんだな」と言う理解で会話をしていたのであるが、途中で「後の若い人とは仲良くやってるのか?」って言う話になった。


すると息子は「いやいやこの部屋は僕1人で使っているんだ」と言う。


「では、さっきからお前の後ろで勉強してる若者は誰なんだ?」と聞くと「誰もいない」と言う。


「誰もいないことない、現に今も見えてるぞ」と俺が言うと、彼は後を振り返り確認した。


「やっぱり誰もいないよ」と言った途端に、そいつはいきなり今度は後ろの2段ベットの上に移動したのだ。


でっかい顔のそいつは確かに大きな口で笑っていた。


「う、後ろに今移動した!2段ベッドの上!」

俺は必死に伝えたが振り返って見る息子には見えないらしい。


「至近距離に化け物がいるんだぞ!」

と伝えたが。


部屋を見渡して

「またまたぁ!」

と緊張感が全くない息子。


「幽霊とデジタル機器は相性が悪い」と言うがはっきりとSkypeの画面に現れてきた奇妙な出来事であった。


録画しておくべきであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る