第11話 サッカー合宿
大学4年生の時の話。
俺はサッカー部に入っていて、この夏は和歌山県の海岸沿いの雑賀崎にある数字の「七」が頭につく旅館に泊まって合宿をしていたときの話である。
ちなみにこの旅館は今では廃業しており、当地では有名な心霊スポットとなっているらしい。
やはりヤバい旅館だった訳である。
昼は紀ノ川の河川敷グラウンドで練習をして夕方にはその旅館に戻るという毎日であった。
俺たちは、練習が終わって飯を食べた後、「夜ろうそくを立てて、怖い話を100話やろうぜ」と言う話になった。
お約束ごとだ。
周りには大学1年で入ってきた美人女子マネージャーたちを侍らせて、何とか怖がらせてやろうと言う魂胆である。
正確に100ではなかったと思うが、ある程度話が進んできたときに後ろにあった古い黒電話機が「ジリジリジリ」と鳴った。
昔のダイヤル式のやつだ。
しかし、その隣には最新式のプッシュ式の白い電話もあった。
既に「お化け話」を、さんざん聞いていて怖くなっていた全員が「ドキッ」とした。
時刻は12時近く。
電話器の近くにいた後輩が受話器を取るものの「変です先輩、何も言ってませんよ」と言っている。
「そうか、何か旅館側から用事があるかも知れんから、ちょっと下まで行ってこい」と後輩に下の受付の所まで行かせたが怖がって誰も行かない。
「先輩命令!下に行ってすぐに確かめて来い!」ゆっくり俺は言った。
体育会系は先輩命令は「絶対」である。
後輩たちはおっかなびっくりで階下まで行って帰ってきた。
「受け付けでは誰もそんな電話はしていない」と言う返事であった。
「ははー、他の部屋の奴らが多分いたずらで怖がらせてやろうとかけているんだろうな」と思って他の部屋を見に行かせたら、全員和歌山の街まで飲みに行ってて誰もいなかった。
「まぁいいか、気のせいだろう」と思いながら「さあ、怖い話の続きをやろうぜ」と言うことで再開した。
しかし、怪談をやりだしたらまたもや「ジリジリジリ」と電話が鳴る。
「また、誰も出ません」という後輩の声。
あまりにも電話が鳴るタイミングがよすぎるので「これは、さすがにまずいな」と思ってお開きにしようとした。
その時に後輩が「あー!」っと大きな声を出したのだ。
「なんや、いきなり大きい声出して!ビックリさせるな!」
「先輩、この電話機コードがつながってません」
オチなし
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