第8話 みやこちゃんの猫
俺が大学3年の冬の話。
俺の家の3軒隣に住んでいた「みやこちゃん」と言う2歳下の女の子がいた。
先にも書いたが、小学生の時には一緒に集団登校をしていたから当然顔も知っていたし仲も良かった。
彼女は当時、西宮の短期大学の1年生であった。
スポーツができてハンドボール部に所属して、容姿も可愛らしい女の子であった。
しかし突然、彼女に不運が襲った。
ある時、みやこちゃんはボーイフレンドと一緒に宮崎まで車でサーフィンに行くことになった。
神戸から宮崎はかなりの長距離である、
夜間に、中国縦貫道を九州に向けて走っていた時に、路側帯に入って休憩をしていたらしい。
2人の乗った車に、ま後ろからノーブレーキのトラックが追突してしまい、助手席に乗っていたみやこちゃんは死んでしまった。
即死だった。
翌日その知らせを聞いた俺は、若くして死んでしまったみやこちゃんに対して、まだ現実を受け入れられなかった。
しかしボーイフレンドのほうは、かろうじて生きていて、葬式の時に何度も泣きながら「すいません、すいません」を連呼して号泣していた。
※
実はみやこちゃんは猫を飼っていた。
非常に可愛がっていたことを今でも覚えている。
ある夜、俺は夢を見た。
それはみやこちゃんと俺が、子供の頃のように一緒に楽しく遊んでいる夢であった。
すると俺は何を思ったのか「あれ?みやこちゃん、たしか死んだんじゃなかったの?」と俺は聞いた。
それを聞いたみやこちやんは悲しそうな顔をした。
すると突然、「ニャー」と言う大きい声がして俺はその声で目が覚めた。
すると俺の部屋のすぐそばで、みやこちゃんが飼っていた猫が来て、実際に泣いていたのである。
偶然かもしれないが、「猫は飼い主のみやこちゃんの存在を、察知して来たのかな?」と今でも思っている。
オチは無い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます