第13話 目覚め
それから俺たちは、どうにかチャンドラを落ち着かせると賢者ルナの目覚めを待つことにした。
と言っても、ルナが目覚めるのは明日の零時だ。あと九時間近くある。待っている間俺とチャンドラは食事をした後、仮眠を取ることにした。中身は大人でも身体は子供である。時間になれば眠くもなる。
食事はホムンクルスのミナが作ってくれた。なかなか良かった。
何が良かったって、ミナが調理したシチュウと焼き立てのパンも普通に美味しかったが、それ以上に、ミナの裸エプロンは最高だった。裸エプロン、それは男のロマンである。
ミナはおっとりしたタイプだが、巨乳で、スタイル抜群だ。エプロンの脇から見えるはみ乳や、突き上げる様なヒップが堪らない。
思わずお腹一杯なのに何度もお代わりしてしまった。
余りにも舐める様に見ていたら、チャンドラから奇異な目で見られてしまった。
ミナを堪能した後、もとい。ミナの料理を堪能した後、俺たちは仮眠に入った。
鍵の掛かっていた部屋は、ルナの個室だった。
俺はその隣の部屋を、チャンドラは向かいの部屋を使用した。
いざ、寝ようとしたが、先ほど食べ過ぎて、苦しくてなかなか寝付けない。まあ、ミナの裸エプロンに興奮していたのもある。
寝付けずにゴロゴロしていると、誰か扉を開けて入ってきた。俺は寝たふりをする事にした。
「ツキヒロ。寝てる」
「・・・」
チャンドラだ。俺はそのまま寝たふりを続ける事にした。
「よし、寝てるわね。それじゃあ失礼して」
何をするのか警戒していると、チャンドラは布団に入ってきて添い寝を始めた。
知らないところで一人で寝るのは怖かった、いや、寂しかったのだろうか。今まで信じていた教団に騙されていたのだ、ショックも大きいのだろう。俺はそっとそのままにしておくこととした。
やがて小さな寝息を立て始めた。
それに安心したのか、俺もいつの間にか眠りについていた。
目が覚めると、チャンドラは俺に抱きついて未だ寝ていた。
幼女に抱きつかれても余り嬉しくない。どうせなら、ミナに添い寝してもらえば良かったと、今更ながら思い付く。あの巨乳を堪能し損ねたと思うと残念でならない。
今更言っても始まらない。仕方がないのでチャンドラのチッパイでも揉んでみる。やはりこれでは物足りない。が、無いよりましか。起きるまで続けよう。
「うーん」
チャンドラが声を漏らしたので起きたかと思ったが、未だ寝ている様だ。俺は引き続き胸を揉み続ける。
「あーん」
チャンドラが身体をくねらし始めた。反応が面白くなってきた俺は、チャンドラのお股に手を伸ばし、振動を与えた。
「ああん」
チャンドラの俺を抱きしめている腕の力が増した。
「あっ、あっ、あっ」
見た目は子供だけど、ちゃんと大人なのか、チャンドラの反応がいい。艶かしい腰使いで俺の手を挟んだまま、お股を擦り付けている。
「あーーーー」
寝ながらいってしまった様だ。チャンドラはぐったりしてしまった。
もう少し寝かせておいてやりたいところだが、そろそろ時間だ。俺はチャンドラの肩を揺すって起こす。
「チャンドラ、起きろ。時間だぞ」
「ふぇ。なに。朝なの」
「寝ぼけてる場合か。ルナ様が目を覚ますぞ」
「ルナ様・・・。そうだった。ルナ様が復活されるんだった。え、キャア。何でツキヒロが一緒に寝てるの」
「それはこっちのセリフだ」
「なに言って・・・。あ、そうだったわ。私の方が・・・、うん?あなた、私に何か変な事しなかったでしょうね」
「変なことって何?」
「いや、してないならいいのよ」
チャンドラはお股の辺りが気になっている様子だったが、俺は知らないふりをした。
その後、俺たちはルナ様の棺、ではなく、人体保管用次元貯蔵庫の前で、ルナ様の目覚めを待った。
そして、日が変わるとほぼ同時に、人体保管用次元貯蔵庫のガラスの蓋が開いた。
「ルナ様、お加減はいかがですか」
「ふあー。もう二十五年経ったのね。ミレイ、大丈夫よ。身体に異常は無いわ」
「ルナ様、神子のチャンドラです」
チャンドラは膝をついて、頭を垂れる。
「ああ、今期の神子ね。君も早く目を覚ましたほうがいいわよ」
「え?」
「ルナ教幹部はね、詐欺師集団だから。あなた、騙せれてるのよ」
「あ、それは、さっき聞きました」
「なら、私を崇めるのはよしなさい。私は神でもなんでもないわ」
「ですが、私にとってルナ様は神です」
「そういうのいらないから。それより、そっちの子は誰?ボーイッシュで私の好みだわ」
俺は、ルナの視線に悪寒が走るのを感じた。
「研究中だった、四十番代の男性型ホムンクルスにはこんな子いなかったわよね。研究が失敗したの」
「いえ、この子は現在の月世界の女王であるカグヤ様の息子です」
ミレイが俺のことを紹介する。
「そう、今の女王はカグヤっていうの。態々息子を挨拶に寄越すなんて、ルナ教の奴ら勢力を広げているの。・・・。ん?息子?ミレイ、息子というのは男の子供のことをいうのよ」
「そうですね。ですから、ツキヒロ様は、カグヤ様の息子と申しました」
「男なの?本当に?ちょっと確認させて」
ルナは俺に駆け寄ると、俺の股間を確認した。いきなり人の股間に手を伸ばさないで欲しい。
「本当に男だわ。でもどうやって」
「僕の父親は地球の男性らしいですよ」
「地球の男性がいるの?どうやって来たの」
「いや、地球の男性はいないよ。お母様のカグヤが地球に飛ばされて、そこで僕を身籠ったまま帰って来たんだ」
「状況がよく理解できないけど、月世界にいる男はあなただけなのね」
「ルナ様を混ぜれば二人だけど」
「私は女よ。身体は男かもしれないけれど」
「なら、男は僕だけだよ。ルナ様」
「ルナ様なんて他人行儀な。私のことはルナと呼んで、ツ、キ、ヒ、ロ」
ルナは俺のことを人差し指で突きながら、そんなことを言う。
「いや、僕とルナ様は他人だから」
「ツキヒロのイケズ」
ルナが俺から離れようとしない。
「少しよろしいですか、ルナ様」
「なに、神子のえーと」
「チャンドラです」
「ああ、チャンドラね。どうしたの」
「ルナ教のことなのですが」
「私には関係ないわよ。あいつらが勝手に名前を使ってるだけ」
「幹部連中はそうでしょうが、教徒の中にはルナ様を神と崇めている者も多いのです。ここは幹部連中を粛清して、本当の意味のルナ教に改革するべきかと」
「別に、私、神でもなんでもないし。男以外興味ないのよね」
ルナはチャンドラの言う事をまるで聞こうとしない。
「ルナ教は、ルナの興味がある男を排除して来たんだよ。僕も命を狙われたし」
「なんですって。ツキヒロの命をルナ教が狙ったの。潰しましょう。そんな教団」
「まあ、落ち着いて、ルナ教は信者も多いらしいから、幹部連中を更迭して、ルナ様とチャンドラで新しい教えを広めたほうがいいと思うよ」
「ツキヒロがそうしろと言うなら、そうするわ」
「じゃあ、幹部連中を捕まえる作戦を考えないとね」
「そうね。戦力が必要になるかしら。ミレイ、四十番代はどこまで使えて」
「はい、よつわ、よいち、よぶた、よんさん、よっしーの五人が使えます」
「そう、なら、二十番代と三十番代から二人づつ、それに五十番代の一人を加えて五人一チームを作って行動して。目的は、教団施設の占拠と幹部連中の拘束よ」
「畏まりました。準備に入ります」
「これでいいかしらツキヒロ」
「チャンドラ、これでいいかな」
「え、あ、はい」
さっきまで非協力的だったルナが、いきなり積極的に全てを決めてしまったのでチャンドラは現状についていけない。
「準備が出来たら僕たちも地上に向かおう」
「えー。ここにいればいいじゃない」
「そんな訳にはいかないよ。ルナ様は信者をまとめなきゃだし、僕も家に帰らなきゃ」
「そうね。ツキヒロは未だ子供だものね。大人になるには未だ十年はかかるかしら」
俺は再び悪寒を感じるのだった。
それから少しして、俺たち三人、プラス、武装した二十五体のホムンクルスとアンドロイドは、地上の教団施設に向け転移したのだった。
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