第7話 約束のキス

 ティモカのお仕置きも無事終わり、夕食の時間となった。何時もの様に全員が食堂の椅子に座ると食事が始まった。いや、若干一名椅子に座れない人が居た。

「ティモカ、何をしているの、早く座りなさい」

 ティモカは先程から、椅子に座ろうとするが、お尻が座面に付くとすぐ、飛び跳ねる様に立ち上がっていた。


「お尻が痛くて座れません」

「まあ、その歳で痔なの大変ね」

「カグヤ様、痔ではありません」

 ティモカが真っ赤な顔で否定した。


「お母様、ティモカお姉ちゃんは、お仕置きのお尻ペンペンでお尻が腫れちゃったんだよ」

「ああ、そんな事言っていたわね。でもお尻が痛くて座れない程何で叩いたの」

「別に道具は使ってないよ。ただ僕だけじゃなく、ブリジットお姉ちゃんにも手伝って貰ったけれど」

「ああ、成る程ね」

 何故かブリジットが片手で素振りをし、ビュンビュンいわせている。それを見たティモカは震え上がり、カグヤは納得していた。


「ティモカ、仕方ないから今日は立ったまま食べなさい。行儀が悪いけれど特別に許すわ」

「はい、そうさせていただきます」


 今日の夕食は、豚かつ、ごはん、又はパン、大量の千切りキャベツ、それと豚汁だった。

 ティモカは、豚かつにソースをたっぷりと掛けると、マスタードを少し付け、千切りキャベツと一緒にパンに挟み、カツサンドを作るとそれにかぶり付いた。

「うーん。デリシャス」


 俺とカグヤは、ご飯と豚かつを食べていたが、あちらもなかなか美味しそうだ。思わず目がいってしまう。

 それに気付いたティモカが、カツサンドをこちらに突き出し聞いてきた。

「ツキヒロ様も一口食べますか」

「それじゃあ、一口貰おうかな」

 俺はティモカの突き出すカツサンドにそのままかぶり付く。

 サクサクの衣と柔らかく、ジューシーな肉が、濃厚なソースに絡まり、シャキシャキのキャベツの千切りと合わさりとても美味い。時々ツンと来るマスタードも、いいアクセントになっている。

「美味しいよティモカお姉ちゃん」

「そうでしょう。そうでしょう。何せ私の食べかけですからね。間接キスです」

 いや、そこじゃないんだけれど。俺は苦笑いを浮かべるも、ティモカは嬉しそうに俺が一口食べたカツサンドを見つめると、再びそれにかぶり付いた。

「これでダブル間接キスです」

 口をモグモグさせながら、ティモカは頬がゆるみっぱなしである。


 食事がひと段落ついたところで、デザートにみたらし団子とお茶が出された。


 そのタイミングでクレオがカグヤに話しかける。

「カグヤ様、ティモカのこれからの配属はどうされますか」

「そうね。おとり捜査に使う必要がなくなったし、どうしようかしら」

「ちょっと待って、それって、ティモカお姉ちゃんが僕の担当ではなくなるって事」

「そうよ。始めからティモカは囮捜査のためにツキヒロに付けたのだから、それが終われば別のところに移って貰うつもりだったわ」

「そうだったんだ」


 バタン。


 何かが倒れる音がした。


「ティモカ!」


 ティモカが意識を失いその場に倒れていた。



 部屋に運ばれ、寝かされていたティモカはしばらくしたら目を覚ました。


「ティモカお姉ちゃん、目を覚ましたんだ。大丈夫」

「ツキヒロ様」


 ティモカはいきなり俺に抱き付いた。


「怖い話夢を見たんです。お団子を食べていたら。カグヤ様が、私をツキヒロ様の担当から外すって」

「ティモカお姉ちゃん、落ち着いて聞いてね。それは夢じゃないよ」

「夢じゃない。それって私は本当にツキヒロ様の担当を外されてしまうのですか。そんなの嫌です。えーん。私はツキヒロ様から離れたくありません。えーん、えーん」

 ティモカは駄々っ子の様に泣き出してしまった。


「ティモカお姉ちゃん、安心してよ僕がお母様にティモカお姉ちゃんを僕の担当から外さないように話しておいたから。だから泣き止んで」

「本当ですか」

 ティモカはまだ完全に安心しきった様子ではない。


「そうだ、ティモカお姉ちゃんには、約束通り、お礼のキスの続きをしないとね」

「あ、そうでしたね。お願いします」

「それじゃ、目をつぶって。肩の力を抜いて、歯も食いしばらないで、優しくするから不安にならなくて大丈夫だからね」

 俺は優しくティモカと唇を重ねた。


「ツキヒロ様もっと」

 俺たちは何度も何度も唇を重ね。次第にその行為はエスカレートしていった。


「ああ、そんな舌を入れるだなんて」

 俺たちやがて舌を絡めあい。時には、啄ばみ合い。そして、深く長く唇を重ねるのであった。


「ふーう。キスがこんなに気持ち良いものだとは知りませんでした」

 ティモカの目は蕩けている。

「もう、ツキヒロ様無しには生きていけません。一生お側を離れません」


「それって、死ぬまで、僕に使えてくれるってこと」

「はい、ティモカはツキヒロ様に、これからの人生の全てを捧げ、生涯の忠誠を誓います」

「忠誠は兎も角、一緒にいてくれる事は嬉しいよ」

 俺はティモカにもう一度軽くキスをすると、ティモカから離れた。


「それじゃあティモカお姉ちゃん。僕はそろそろ寝るね」

「はい、分かりました」


 俺は自分のベッドに向かう。すると何故かティモカも付いてくる。

「何で僕の後を付いてくるの」

「今日も添い寝しようかと思いまして」


「今日はいいよ。ブリジットお姉ちゃんにお願いするから。ティモカお姉ちゃんはそこで寝てて」

 俺はこれから、ブリジットの胸を揉んだり吸ったりしなければならないのだ。それに、寝相の悪いティモカはまっぴらだ。


「えー。そんな。ブリジット先輩だけなんてずるいです。折角、二人の絆を確かめあったばかりではありませんか。私もご一緒させてください」

「だって、ティモカお姉ちゃんは寝相が悪いんだもの」


「え。そんな事ありませんよ」

「そんな事あるから嫌なんだ」


「う。今日は大丈夫です。何だったら縛り付けていただいてもいいですよ」

「そこまで言うなら一緒に寝てあげるよ」

「ありがとうございます。ツキヒロ様」


 俺はティモカと一緒にベッドに入った。

「ブリジットお姉ちゃん、悪いけどロープを持って来てティモカお姉ちゃんを縛ってくれる」

「はい、分かりました。少々お待ちください」

「ツキヒロ様、本当に縛るんですか。ブリジット先輩、目がマジですよ。あ、やめてください。何で寝間着を脱がすんですか。あ、下着まで。ああ、駄目ですそんなところ縛ったら」


 ブリジットはどこからともなくロープを取り出すと、ティモカを裸に引ん剥いて、素早く縛りあげっていった。見事な亀甲縛りである。


「ツキヒロ様、出来ました」

「ブリジットお姉ちゃん、上手だね」

 俺はロープの一部を引っ張ってみる。

「あん。ツキヒロ様。もっと」

「よく縛れているみたいだね。それじゃティモカお姉ちゃんは放っておいて、二人でゆっくり寝ようか」

「はい、ツキヒロ様。約束通り寝ている間、私の胸を自由にしてくれて構いませんからね」

「うん、分かったよ」


 こうして、俺はブリジットと乳繰り合って寝たのであった。


「ちょっと。ツキヒロ様。私は、私の胸も揉んだり吸ったりしてください。えーん。二人だけでずるいです。私も混ぜてください。」


 その間中、ティモカの嘆き声が続いたのだった。


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