第5話 温泉回

 という事で、やって来ました温泉旅館月兎亭。今回は日帰りでの入浴利用であるが、ゆっくり二、三泊したい落ち着いた感じの旅館である。

 お風呂は広く、露天風呂もある。そして当然、女湯、男湯の区別が無い混浴である。というか女湯、男湯、混浴といった言葉すら無い。


 だが、ここはあえて言おう。俺はこれから女湯で混浴するのだ。


 中身は38歳のおじさんでも、身体は五歳児だ、元の世界でも問題ないはず。ましてやここは月世界、男が女湯に入ってはいけないなんて法律は無い。正々堂々入ればいいのである。


 俺は脱衣所で母のカグヤに服を脱がしてもらう。この月世界、服を脱がすのも簡単だ。魔法で服を次元庫に収納するだけだ。直ぐに俺もカグヤも丸裸だ。

 しかしカグヤはいい身体をしている。確か22歳だったか。地球で男にモテモテだったのもよくわかる。これで母親でなかったら絶対にものにしたい女である。

 そのカグヤがマジマジとこちらを見ている。

「はー。いつになったら大きくなるかしら」

 おい、どこ見て溜め息ついている。


 魔法で脱衣し、収納するため、ここには、脱いだ服を入れる籠や棚などは無い。休憩用の椅子などがあるだけだ。みんな暖簾を潜って入って来ると、一瞬でスッポンポンだ。そのまま浴室に入っていく。


 今も次々と入浴客が入って来る。今はまだ早朝だから皆宿泊客だろうか。朝風呂とは優雅なものだ。

 カグヤ位の年齢の人、高校生位の人、熟女と呼ばれる様な人、様々だ。

 中には子連れの親子もいる。もうすぐ熟女に手を引かれて入って来る幼女。俺はロリコンではないので、幼女には関心がない。だが、母親の方のもうすぐ熟女は美味しい。食い入る様に見てしまった。

「何女の子の方見てるの、行くわよ」

 カグヤに注意されてしまった。違うぞカグヤ、俺が見ていたのは幼女ではなく、もうすぐ熟女だ。幼女なんかには決して関心がない。たまたま視線の端に見てはいけないものが映っていたとしても、それは致し方ない事なのだ。

「はいお母様」


 カグヤに続き浴室に入ると、そこは正に女の園であった。であったのだが。

「あら、随分混んでるのね。老人会の慰安旅行かしら」

 流石の俺でもちょっと、いや大分お歳が上すぎる。これが集団でいると、とても耐えられない。

「お母様、僕一昨日お風呂で逆上せたばかりだから、今日はシャワーだけ浴びて、外で遊んでるね」

「あら、そう。ツキヒロと一緒に入れないのは残念だわ」


「すみませんでした。一昨日は私が気付かなかったばかりに。私も一緒に外に行きますね」

 側に居たティモカが申し訳なさそうに謝ってくる。

「ティモカお姉ちゃん、もう謝らなくていいんだよ。それにティモカお姉ちゃんは昨日お風呂に入ってないんだからゆっくり入って来てよ」

「そうですか。ありがとうございます。ツキヒロ様」


 俺は手早くシャワーを浴びると浴室を出た。


 さて、それじゃあ服を着て外で遊んでいるか。と着替えを取り出そうとしてはたと気付く。

 着替えはカグヤが持っている。

 困った。このまま裸でいる訳にもいかない。仕方がない浴室に戻るか。そう思って浴室に向かい歩き始めたところで、肩を掴まれ呼び止められた。

「やっと見つけた。どこ行ってたのよ。もう帰るわよ」

 誰だろうこの女性は、見覚えがない。

「はい、じゃあこれ履いて」

 その女性は女の子用の下着を取り出して、俺に履かせようとしている。

「あら、これどうしたの、こんな所を腫らして」

「いや別に腫らしている訳ではないんですが」

「何言ってるの。こんなに腫れてるじゃない。痛くはないの」

 その女性は腫れている部分を優しく撫でる。

「痛くはないです。寧ろ気持ちいいかも」

「そお、じゃあ様子を見て、腫れが引かない様ならお医者さんに行きましょうね」

 そう言って女の子用の下着を俺に履かせた。

 なんか、凄く背徳感があり、興奮してくるのですが。


「はい、急いで急いで」

 俺が動揺している間に、その女性は俺に女の子用の服を着せてしまった。

 この倒錯感、いままで感じたことがない。何かに目覚めてしまいそうだ。


「それじゃあ帰るわよ」

「ちょっと待って下さい。人違いです。僕はツキヒロといって、カグヤの息子です」

「あら、また王子様ごっこ、いくら似ているからって程々にしとかないと怒られるわよ」

「いや、ごっこでなく、本当に王子なのですが」

「もう、いくらもっと遊んでいたくてもいい加減にしなさい。さあ、行くわよ」


 俺は無理矢理外に連れ出されてしまった。


「それじゃ転移するわよ」

「ちょっと待ってください」

 俺は急いで地球の位置を確認する。転移するとなると転移先の場所を知るためにも地球の位置は重要だ。ここはエラトステネスだから、屋敷のあるアルキメデスに比べかなり地球の高度が高い。

「どうしたの」

「最後にもう一度言います。人違いです」

「はいはい、分かりました、王子様。お城に帰りますよ」

 俺の住んでいるのは、お城ではないのだが。


『転移』


 転移先で俺は先ず地球の位置を確認する。

 よかった。先ほどとほとんど変わらない。

 続いて周りを見回す。どこか山沿いの片田舎といった感じだ。若干東に転移しただろうか、東北方向に見えるアペニン山脈が先ほどより大きく見える。その麓の村のようだ。

 月世界では地球が見えれば東西南北もわかる。方位磁針要らず、である。というか、月には地場がないので方位磁針で方向を知ることはできない。方位指針役立たず、である。


「それでは、お城に入りましょ。王子様」

 ここまで来てしまっては仕方がない俺は素直にお城に入った。

 まあ、お城といっているが、普通の平屋の家だが。


「すぐ朝ご飯を用意するから座って待ってなさい」


 それほど待たずにジャムを塗ったトーストとハムの入ったオムレツ、サラダと牛乳が出てきた。


「それでは食べようか。いただきます」

「いただきます」


 腹も減ったし、俺は素直に出された朝飯を平らげた。

 しかし、この女性何をしている人だろう。30歳過ぎと思われるが、スタイルはとてもいい。入浴していた時間帯を考えれば、水商売だろうか。だったら一度お相手してもらいたいものだ。あの形のいい胸を両手でこう包み込むように。


「こら、また胸ばかり見て」

 胸を見ていたのがばれてしまったようだ。

「ごめんなさい」

 俺は素直に謝る。


「しょうがない子だね。五歳にもなってオッパイ飲んでる子はお前ぐらいだよ」

 女性はそう言って、胸を開け、手招きをする。

 俺は言われるままに女性の膝にのり、思い描いていたように、オッパイを両手で包み込み、優しくもみながら、胸の先を舐める。

 ペロペロ。ペロペロ。


「こら、ふざけてないでさっさと飲みなさい」


 怒られた。仕方がないのでそのままかぶりつく。そのうえで胸先を舌で転がす。

 レロレロ。レロレロ。

「あ、こら、遊んでないの。あ」


 気持ちよくなってきたのか、女性の声に艶がのる。今度は思いっきり吸い上げる。

 ちゅうちゅう。ちゅうちゅう。

「あ、あっ」


 母乳が口いっぱいにあふれ出てくる。思わず口を放してしまい。胸の周りにこぼれてしまう。俺はそれを滴り落ちないように舐めとる。

 じゅるじゅる。じゅるじゅる。

「ああーん」


 バタン。


「誘拐犯御用だ」

 突然扉が開けられカグヤ達が突入してきた。


「キャー。何事なの」

 女性は驚いて、俺の頭を抱きしめる。

 ぐ、胸が気持ちいいけど苦しい。息が、息が。


「直ぐに息子を放しなさい」

「何なの。何なの」

 女性はパニック状態のようだ。


「カグヤ様、相手の方が戸惑っていますよ。ここは私が話します」

「そおお。じゃあパトラに任せるわ」

「では、変わります。あなたの娘さんはこちらです」

 パトラが女性の娘さんを連れて来た様だ。僕によく似た女の子だ。

「あなたが抱いているのは、こちらのカグヤ様の息子です」


「え、カグヤ様、息子」

 女性は胸から俺を放し、俺の顔を確認する。

「ぷはー」

 やっと胸から解放され、新鮮な空気が吸えた。

「だから人違いだって言ったでしょ」


 その後、女性は母のカグヤに平謝りである。

 カグヤも俺が無事だったため、落ち着いたのか謝罪を受け入れていた。


「私、ツキヒロがいなくなってこの世の終わりかと思ったわ」

「そうですね。ちんちんが、ちんちんがなくなったと大騒ぎでしたね」

「それは言わない約束でしょ。パトラ」

「その点、ティモカは冷静でしたね。直ぐ別人だと気が付いたようですし」

「へー。ティモカお姉ちゃんありがとう」

「いえ、ツキヒロ様のお世話係としては当然です」

「それでも嬉しいよ。お礼にチュウしてあげる」

「ほんとうですか。では、んーん」

 ティモカは屈んで唇を突き出してくる。

 俺はティモカの顔を両手で押さえると、軽く鼻の頭にキスをしてあげた。

「えー。鼻の頭ですか。ツキヒロ様それはないですよ」

「みんなが見てるからまたあとで」

「本当ですか。忘れないでくださいね」


「さて、そろそろお昼になるし帰るとしましょう」

「そうですね。カグヤ様には仕事がたんまり、待っていますからね」

「えー。帰るの、止めようかな」

「カグヤ様」

「はーい」


 こうして俺たちは無事屋敷に戻ることができた。


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