告白の結果は――
「――っは!?」
不意におれの呼吸が止まった。そして、勢いよく起き上がった。心臓は跳ね上がっている。
そこには、見慣れた景色があった。目の前には水色のシンプルなカーテン。その隙間から、差し込む日差しが目にあたり、眇める。残りは勉強机と本棚しかない殺風景。その手狭な部屋にいる、おれ。この部屋はおれの部屋。そして、パジャマ姿のおれ。
「嘘だろ……」
物音のしない静かな部屋にいるからか、まだ激しく脈打つ心臓の音だけが全身に響いている。
――夢だったのか?
あまりにもリアルな夢。ある意味では、起きている時、何回も何十回も想定したシナリオだった。そして、現実では、一度もシナリオを実現できず、途方にくれていたのだ。
それが遂に成功したと思ったのだ。
だから、大きな達成感に満たされつつ、その後の結果に恐怖していたのだ。
そんな極限の瞬間が――夢だったのだ。
猛烈な脱力感に襲われた。同時に、おれは重力に身を任せるように、ベッドに崩れ落ち、横たわった。
5分か、10分か、わからないが無気力のまま、時が過ぎた。
しかし、だんだんと無気力が無心に変わっていった。つまり、夢の出来事を受け入れ、同時に冷静に頭で整理できてきたのだ。
――おれはまだ失敗していない。
あの全力の告白が現実でなかったのは残念だが、別に現実で悪いことが起きたわけではない。
しかも、あの夢は妙にリアルで、今でも心身に焼き付いている。だから、もう一度、おれはできる。
それに、たぶん、うまくいきそうだった。そんな確信がある。
あと、おれに必要なのは――勇気。勇気に尽きるのだ。
無心となって、頭が整理され、心臓が高鳴りはじめた。おれの心に再び火がついた。
仰向けになったおれは、ぎゅっと右手を握りしめ、夢の実現を決心した。
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