第12話 蒼空の日記(そらのきおく) 続編 ―封鎖海峡― より『パトロール』
「
突撃の叫びをあげたリサが、
敵の2機編成の
おれの
おれは槍の先端となった
すでに2ロッテ、4機編隊の
喉笛を切り裂かれた獲物のごとく、敵の2機をあっという間に雲海へと叩き落とす。
おれは、
敵障壁の無効化が追いつき、腕部の衝角を叩き込んで、
無力化され、浮力を失った
◆◆◆
「
敵機の機影、無し」
おれはそう報告を済ませて、
みゆき、
「了解、敵は全て撃墜した模様。
各自、哨戒任務を終了。帰投する」
みゆきの
一路、帰投への
今日は
口を挟まずに取り留めのないおしゃべりをする二人を眺めているだけだろうけれど。
「みゆき〜、帰ったらどこか行かない?
美味しいデザート食べさせる
「いいよ。付き合う」
「やった!みゆきの好きなとこにも行こ〜♪」
クローズドネットの
今は穏やかに風を感じられる、緑の草原を
俺たちの格好は、哨戒任務であるから、任務中の制服だ。
背景には似合ってはいないが、仕方ないだろう。
三人とも思い思いの格好で空中に漂うように浮かんでいること以外は、
日の光の暖かさも、緑の草の匂いを含んだ風も、
小柄な体格のみゆき。
背が高く女性的な体型のリサ。
二人の姿は、意識を機体に
もちろん、おれもそうだ。
細かい理屈は知らないが、姿形を変えることは転送に何か不都合があるようだ。
おかげで、小柄な体型が嫌いなみゆきは、
リサを見て、いろいろと不本意な思いをしているようだ(苦笑)
「最近の好みなんだ♪
試してみない?」
リサはそういうと、
彼女が好きだと言う飲み物を
二つが消えて、おれとみゆきの前に現れる。
空中に浮かび、涼しげな様子を漂わせる、薄いエメラルドグリーンの飲み物は、時おり炭酸と思しき泡を弾けさせている。
柑橘系のような香りが届く。
水滴が付いた冷たいグラスを手にとって、
伝わってくる感触をしばらく楽しんだあと、口をつける。
さっぱりとしたのど越しと、炭酸がはじける爽快感。
鼻に抜ける香りも心地いい。
「美味い!」
「美味しい♪」
みゆきとおれの感想が重なり、
「でしょう〜♪」
リサはにんまりと、してやったりといった表情を向けてきた。
戦いのあとの、仲間との穏やかな交流の時間。
その繰り返し。
これが紛れもなく、おれたちの日常、
◆◆◆
今回のデルタ、
勢力として最も脅威だった
小競り合いは、以前に比べて確実に少なくなっている。
ただ、一部のルートだけは問題が山積みだ。
砲台が居座っていることで、
迂回する必要が生じている哨戒ルートの不必要な延長や、
補給路が延びきっている現状は望ましいことではないなと感じる。
哨戒任務や、より重要性の高い補給隊の護衛任務などの途中で、
不測の事態に陥ったのか、全機未帰還となった仲間の部隊も見受けられる。
戦力も物資も余裕のないおれたちには、これらの被害はかなりの痛手であり、
砲台の存在は、徐々に
休戦した
◇◇◇
近々、作戦が決行されるらしい。
みゆきとの、機体の
ダイバーの、複数弾を使用した精密射撃は、みゆきの得意とする
ガンナー、ダイバーに共通する精密射撃はみゆき、そしてリサの得意とするものだ。
総合戦闘力では、おれはリサに勝るが、みゆきには及ばない。
おれたちのデルタ(小隊)のトップはみゆきだ。
みゆき自身は、個別訓練として、ダイバーを操作する特殊な訓練を受けていると話してくれた。
その辺りも、機体をコンバート申請が通らなかった原因だろう。
どんな
リサも聞いていないと言っていた。
特殊作戦のために話せないか、あるいは話すことが出来なくなっているか…。
◇◇◇
この世界は特殊だ。
異星の環境だけではなく、人類社会としても特殊な形態をとったままだ。
テラフォーム後に、
子孫を残す。
その役目を受けた、与えられたものだけが肉体を得て、
大半の人々は、宇宙航行、移民途中の
おれは、電脳世界の生活は、完全な人の生き方とは違うと感じている。
今は仕方ない。この
たとえ敵対している
おれたちの国の人々全てに、土地や生身の身体で享受する生活圏が与えられることはないだろう。
だからこその雲海探査計画だったはずだ。
今回の
雲海への欲求は、これまでにないほど高まっている。
砲台の封鎖状況は脅威であり、
そして砲台そのものの異星の技術は、かけがえのないものでもある。
あの砲台はまさに金のガチョウだ。
おれたちは無傷で
けれど、
おれたちはそんなものに挑むことになる。
続く
-造語解説-
※ 以前に拙作の
-追記です-
ごめんなさい!!
線アプリ、ベルの呼称は、この作品が初出ですm(_ _)m
使用していたのは、吊革世界ではなく、
まだ未発表の作品で使っておりましたorz
混乱させて申し訳ありません。お詫びと訂正をさせていただきます。
なお、
こういうSNSツールなどは、実際のイメージとしては音声チャットや映像通話に近い感覚となる。
閉鎖回線を用いた電脳空間での会話は、ある意味でネットワークを使用した直接のコミュニケーションの印象に近いが、
プライバシーや秘匿性、匿名性は現代よりもセキュリティが低くなり、
この世界の背景が、
SFのようなもの みなはら @minahara
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