第4話 TRPG(ろーぷれ)日記 番外7-1 より 『月、ソリッドワールド』
-まえがきのようなもの-
お話は前話と同じく、
以下のお話がその2から始まっているのは、その1(番外6)が別のお話、SFではなくラブストーリータイプのお話でしたので、掲載しなかったわけですね。
(ちなみに、その1は猫又とかずまの物語です)
このお話の登場人物は、主人公○○と、彼の
なお、猫又と狐は、きつねのきょんの中で話に出てくるあやかしと同一人物です。
∞月∞日 番外 世界創造??日め、その2-1 -
また夢を見た…。
今度はほんとに夢か?(汗)
未来か?
見たことのない摩天楼。
果ての見えないビル群。星の見えないほど、厚い雲で覆い尽くされたような空。
周りを見回そうとするが視点は変わらない。
自分の意思では動かせないようだ。
遠くのビル群の一角、
ビルの天辺に人影が見える。
視点が移動し、その人物へ急速に近づく。
猫又だ。
いつものメイド服のようだが、少しデザインが異なる。
何かを待っているかのように、ビルの縁、手すりの上に立っている。
風に煽られて手すりから飛び出したなら、あっという間に真っ逆さまだ。
ビルの底を覗き込むように視点が変わる。
下はまるで底の見えない水底のように暗く、果てしなく続いているようにも見える。
底で何か光った!!
光の中に何か浮かぶ。影?だとするなら大きい。
「今だよ!!猫又ちゃん!!」
何もない虚空から響く声。稲荷狐?どこだ?
視点が猫又に戻る。
猫又の周りに淡い光の粒が現れ、彼女を覆って消える。
メイド服の上に、鈍く光る金属板、いくつかの薄く小さい可動するそれが現れて装着されるが、
それが事象として確定するより先に、猫又は手すりの外に身を躍らせる。
視点は猫又を捉えたまま彼女に追随して落下を始め、どんどんと速度を上げてゆく。
猫又はいくつかの金属板、部分的に身体を保護するための鎧とともに現れた双剣を、腰の後ろ側から抜き、構える。
「モード設定、スピードスター…。」猫又が小さくつぶやく。
瞬間、彼女の周りの時間の流れが遅くなったように錯覚するが、落下速度はさらに増してゆく。
物理的には考えられない、コマ送りのような断続的な加速がはじまる。
数百メートル…、一キロほど下ったか?
下向きの加速を続けた先、ビルの底にあの影がいるはず。
また光った。今度はかなり近づいたからか、影の形状が良くつかめる。
大まかな姿は巨人だ、胴体は芋虫、というか軟体動物に近い。
デカい!!こいつ、どれくらいあるんだ?
身体の一部がビルにめり込んでいるみたいにも見える。
物理的な存在じゃないのか?
胴体から生える半透明な、無数の毛のような触手みたいなものも、ビルの壁をすり抜けているようだ。
猫又がさらに加速した。視点が離れる、というか置いていかれる。
巨人に向けまっすぐ直進する猫又の手元が輝く。
すれ違う。
ヤバい!!地面にぶつかるかと思えた刹那、猫又の姿が消え、
全然別の場所、巨人の傍らに現れる。
巨人の腕が肩口からゆっくりとずれ、身体から離れる。
さっきのあの光は双剣の斬撃の輝きか…。
刃渡り30センチ程度の刃物で、あのサイズ、太さ数メートルはある巨人の腕は切れない。
何か仕掛けがあるのだろう。
猫又が剣を振るいながら消えて現れるを繰り返す。
ときおり触手の先から何か放たれているように見えるが、猫又には当たらない。
さながら瞬間移動のように跳躍を繰り返すたび、巨人の半透明な触手は数を減じてゆく。
巨人の腕は落ちながら塵のようにぼやけて消えてゆく。触手も同様だ。
これやっぱり夢か?
ハリウッド映画のアクションを見せられているようだ。
こんなモチーフの映画見たっけ?
上から覗き込んでいた視点が唐突に変わる。
誰かの背面から覗き込むような視点。
ネットゲームなどで当たり前の映像に似ている。
ただ自分の視点と、前方の相手との距離が近い。
自分には、男と思われるものの後頭部と肩から上しか見えない。
視界の先、数百メートルほど遠くにそびえ立った隻腕の巨人の姿。
やはり、あれは先ほどの巨人だ。
周囲で瞬く光、猫又が闘っているのだろう。
視点は動かせない。
こいつ、誰だ?
「マスター、
3名サポートに就きました。
「私、狐が前衛。
座敷わらしが支援、猫又は遊撃を行います。」
狐?稲荷狐か!!座敷わらしも居る!?
右側から稲荷狐が視界に入ってくる。
見慣れている狐の姿。ただし、その表情は厳しい。
座敷わらしの姿は見えない。すぐそばか?視界の外?
「細かい指示があれば、適宜、連絡願います。
「脅威度ランクA3、限定解除おこないますか?」
「解除はしない。
狐、お前は座敷わらしと一緒に戦闘ラインを押し上げろ。」
俺の声。こいつ、俺か!?
2-2へつづく
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