第15話   気がかりな唐突な捜査の謎

20.ある捜査に突然・・・

   日も暮れて、勤務時間が、もうすぐで終わりそうな6時を

過ぎた頃に、一本の電話が捜査一課にかかってきた。電話は

事務員の前島氏が、取り驚いた様子で、丁度その近辺を通り

かかった磯崎刑事課長へ取り次いだ。

 5分ほどして、その電話は、終った。江草刑事や、作部刑

事たちは、少し前島氏の様子が気にかかったが、いつもの上

からの連絡だろうと変わりなく事務作業をこなしていた。

 ところが、磯崎刑事課長が、突然、

「作部君、ちょっと」

と呼び、談話室へと2人は、入って行った。15分ほどして

作部刑事が、1人談話室より出て席へ戻ってきた。江草刑事

は、気にかかっていたが、いつもより深刻そうな作部刑事の

表情に気づきすぐにパソコン作業に戻った。少し肩が、こっ

たらしく江草刑事は、両手でとんとんと叩いた。しばらくし

て、作部刑事が、

「あっ、江草さん、ちょっとよろしいです。」

と声をかけてこられた。

「少し、休憩室で、いつものように一息でも」

と言われ、すぐに、

「あっ、いいですね。そうしましょう。」

と答えた。

2人で、捜査一課を出て、休憩室のソファに腰をかけた。

 

 すると、すぐに作部刑事は、コーヒーを2人分買い、

「どうぞ、おごりですよ。」

と渡してこられ、

江草刑事は、

「あっ、ありがとうございます。」

2人は、先日捜査終了した連日続いていた高校荒らし事件

の大変だった日々の話をしていた。しばらくすると、

作部刑事は、

「先ほど、磯崎刑事課長より1年半前のの警察庁の担当だ

った産連環銀行の役員の横領事件をもう一度洗い直してほし

いと依頼がありましてね。警視庁の上からの指示らしくて

極秘で進めてほしく協力要員をリストアップするよう言わ

れましてね。江草さん、いかがです。」

といってきた。

あまりの唐突に、江草刑事は、少し顔をこわばらせたが、

すぐに笑顔になり、

「えっ、もちろん私は、喜んでご一緒しますよ。」

と答えた。

先ほどまで、磯崎課長から依頼のあった件について、休憩室

で2人は、少しふれ、

 江草刑事は、心の中で、

「今までにない、大変なことかも知れないが。」

とつぶやいていた。

 そして、2人は、捜査一課に戻った。作部刑事は、今後の極秘

に進めるべきメンバーの色付け作業に取り組んでいた。一方、

江草刑事は、作部刑事が今先ほど磯崎刑事課長から受け取っ

た産連環銀行の役員の横領事件のファイルに、目を通していた。

 この事件は、去年の4月に産連環銀行の資金の移動の不可解なデーターが、突然本部資金証券部の審査中に、現れてきて内部

の士気が一気に下がる恐れがあり、即座に警察庁に連絡があり

半年かけて捜査をし、当時の操元専務(みさもと)を逮捕した。

 ところが、去年の10月に、逮捕にたどりついたのだが、彼

は、頑なに今も否認し続けているという。実際、コンピュータ

ー役員権限の操作履歴反応ありで確信していたが、どうも警察

庁の担当の部署も動揺を隠さない何か他のただならぬ匂いがす

るということで、警視庁へ依頼がということだった。

 このファイルを目にし、江草刑事は、

「これは、一度警察庁の担当の出島刑事部長補佐に詳しく後日

伺う必要があるな。」

と感じていた。

 あっという間に、もう時計は、9時を指していたので、まだ

作部刑事は、残るということで、

「まあ、始まったばかりですし、私は、お先に失礼、また。」

と一言伝え、帰宅した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る