第67話執事はセバス。

「........。」


コツコツコツ


「........い....。」


コツコツコツ


「........ーい。」


コツコツコツ


「おーい、おいおいおい!!。」


「?、何よ。」


「お前さっきからなんで反応しないんだよ、さすがにプチキュアの話を聞いてちょっと引いたけど、ちゃんと受け入れるからさぁちゃんと反応してくれよ〜。」


プチキュアの話から2時間経っている、てかダンマリしているの長過ぎない!?。


「....ちょっと考え事してただけだから。」


「ちょっと考え事って長過ぎない!?、俺とミリンちゃんすごく気まずかったんですけど!。」


そのことは置いといて。


「村に着くまであと4時間くらいかしら?。」


リンがミリンに聞くとちょっと微妙な顔をする。


「うーん、だいたいそのくらいですかね、でも私自身この距離だといつも馬車を使っていたので正確な距離は分からないですね。」


話していると後ろから馬が地面を蹴る独特な音が聞こたので振り返る。


すると馬車から顔を出す女性が一人。


「あら、ミリン?。」


「当主様!?。」


馬車の後ろに乗ると尻が痛いな。


ユウトは扉にピッタリとくっ付いて落ちないようにする。


結局、ミリンの村の当主であるセリーヌとあって事情を話し乗せてもらえることになった。


だが、元々四人しか乗れない馬車にすでにセリーヌと執事のおじさんが一人、こっちは三人、知り合いのミリンを除いてリンとユウトがジャンケンをした結果ユウトが負けて馬車の後ろになった。


「あら、聖獣と会いに行くのね!。」


セリーヌは前屈みになってリンに近づく。


「ええ、まあ。」


勢いがすごすぎてちょっと引いてしまった。


「いいないいなー、私も行きたいわねセバス!。」


「お嬢様いけません、当主たるあなたが死と隣り合わせの山に登って万が一のことでもあったら誰が村をおさめるのですか、それに私はセバスではなくアルグリッドです、いい加減名前を覚えて頂けませぬか、あなた様が生まれた時から付いているのに!。」


「セバスじゃないんかい!。」


思わずドア一枚越しのユウトがつっこんでしまった。


あれから一時間、ユウトは楽しいそうな会話をおかずに保存食の干し肉をモグモグさせているとようやく村に着いた。


「ヤバい、ヤバいよ、俺の尻消えてね?、へい尻!!。」


「何を大袈裟な、そのくらいで臀部が消えていたら今頃あなたの下半身が消えて無くなっているわよ。」


リンはドアを開けて馬車を降りながら言う。


リンとユウト、ミリンはセリーヌにお礼を言ってその場を後にする。


「今度お話を聞かせてねぇ〜!!。」


セリーヌは遠ざかって行くにつれてだんだん声を大きくしていく、姿が見えなくなるまで三人は目で追うと、ユウトは思ったことを口にした。


「この村の人まだ三人しか会ってないけど、この村って変な人しかいない?。」


「もしかして、変な人って私も入っていますか!?。」


....もちろんミリンちゃんも入っている。


村でまずすることは宿とりもあるが、ギルドに行かないといけない、ミリンが連れ去られたが助けたことと退治していないのでそのことを伝えに行かないといけない。


「なあリン、お前なんか慣れてない?。」


「そう?。」


「いやだってお前最初の頃はインキャの権化みたいな奴だったじゃん。」


ボコッ。


「ミリンちゃん、リンに殴られた痛いよぅ、慰めてよぅ。」


ミリンの豊満な胸に飛び込むユウト。


「はーい、ユウトさんはリンさんに親でも殺されたんでちゅか?、悪い子でちゅねー。」


ごもっともである。


ギルドを出ると日が横に向き始めていた。


そろそろ宿を探さないとな。


「あのー、提案があるのですけど....。」


「ミリンちゃんの家、宿屋だったんだ。」


「お礼がしたかったので。」


ミリンはなんとも言えない顔で自分の家に入る。


「いらっしゃーい、と言っても料理も出すこのとが出来ないやる気も起きない宿屋でぇーす。」


「お母さん、ただいま。」


「あーはいはいその手はもう読ん....ミリン!?。」


勢いで抱きつくミリンとお母さんと思しき人。


「この人たちが助けてくれたの....抱きつかないで暑苦しい!!。」


だんだんイライラしてきたのかミリンが抱きついたお母さんを引き剥がす。


「紹介するね、この女性がリンさん....そして変な男の人のユウトさん。」


「おい、ミリンちゃんおい。」


「そう、リンさんと変な男の人のユウトさんミリンを助けて頂きありがとうございます、今日はウチでゆっくり休んでくださいな。」


「ありがとうございます。」


「ありがとうございま、おい、ミリンちゃんのお母さんおい。」


この後、ミリンのお母さんに誤解が解かれることは無かった。

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