第66話信じることをやめたから。
「あ、そういえばまだ自己紹介がまだだったよな?、俺はMr.G、地主であり、冒険者のランクはSSだが最近なったばっかりだ、よろしくな。」
カッコつけて自己紹介をするMr.G。
「へえー、まさかあなたと流石に戦うとは思ってなかったわ。」
「いや、俺は来ると思ってたぜ?、なんせランク付けする時はなにかとみんな揃って呼びたがるんだ、まあいつもは街をぶらついて暇してるだけだしよ、いいんだけど。」
「惚気話はいいわ、さっさと始めましょう。」
そう言って槍を構えるリン。
「oh!!、まいったぜみんな!、俺振られちまった!?。」
Mr.Gが観客にそう言うと観客から大歓声が上がる。
なんか調子狂うな。
頬を掻きながら思うリン。
「よし受付の嬢ちゃん、合図よろしく!。」
「わかりました!、ルールはMr.Gが測り終わるまで試合を続けること、ただし、20分までにします、それでは....。」
リンは槍を強く握りしめる。
「始め!!。」
その瞬間、リンは飛び出そうとする。
「待った!。」
その声に反応してリンは慌ててストップする。
「なに?、試合は始まっているのよ?。」
「いやまあ、まだ俺の魔法について教えてないことを思い出してな、俺の二つ名は知ってるか?。」
「ハンデのつもり?、たしか〈現代の冒険者〉だったかしら?。」
「その通り!、さすがは自分でばらまいただけあるなぁ、くうぅ!!。」
自分でばら撒いたんかい、なんか一気にやる気失せちゃったな。
そう思いながら槍を肩に担ぐリン。
「その辺の話は置いといて、これ、何かわかるか?。」
親指と人差し指、中指に一枚ずつ、計2枚の銅貨をリンに見せつけるMr.G。
「なにそれ?銅貨じゃない、それを弾いて攻撃とかするとか言わないでよね?。」
リンは少し油断した態度で言う。
「いや、弾くんじゃない....こうするんだ!!。」
すると指と指の間に挟んであった銅貨をパッと両手に一枚ずつ乗せて握る。
すると両腕が光出して手から肘まである籠手が現れた。
「どこから出したの!?。」
リンは慌てて警戒する。
「俺の魔法は世界の価値に相当する通貨に魔力を通すことでそれを武器にすることができる、ウェポンクリエイターだ、どっからでもかかってきな嬢ちゃん。」
一気に殺気が溢れ出すMr.G。
「じゃあ甘えさせて貰うわ。」
先手必勝、そう思ったリンは初手からソニックインパクトでMr.Gとの差を縮める。
Mr.Gは迫ってきているのにもかかわらず腕組みして仁王立ちをしたままで一向に動く気配が無い。
だか、リンは裏の裏をかこうとして正面から右に逸れ、反時計回りに三回屈折してMr.Gの横顔目掛けて槍を突き出し、粉塵が舞う。
「勝負あったわね。」
当たったと思ったのも束の間、槍を引き抜ことしたが離れない、というか全く動かない。
「知ってるか?、そう言うのフラグって言うらしいぜ?。」
粉塵が降りると目に刺さるギリギリで槍の矛先を握って離さないMr.Gがいた。
「まあ、顔を目掛けて向かってきたのもよかった、回り込んだのもよかった、だけど遅すぎ。」
そう言ってMr.Gは槍を持ったリンを矛先を握ったまま投げた。
うまく受け身をとったリンは顔を上げると目と鼻の先に拳がある。
それを後ろ向きにソニックインパクトをして逃げようとするが立ち直す前に詰めてくる。
リンもギリギリかわしているが、いやわざと外しているのだ。
「ほらぁ次当てるぞ!!」
リンが立て直した瞬間腹部に一発重い拳が入る。
「グゥッ!!。」
まともにくらって呼吸ができないっ!!。
かろうじて立ち上がるとMr.Gはまた仁王立ちで立っていた。
「次はお前の番だ。」
「そうね、次で決めてあげるわ。」
リンは強気で口に出してはいるが、槍がないとまともに立ち上がれない状態になっていた。
一発でこんなになるなんて思ってもみなかったわ。
呼吸を整えながら槍を構え直す。
これで決まる。
リンの方が先に飛び出した、いや、Mr.Gはピクリとも動いていない。
それでもスピードを落とさずにソニックインパクトでトップスピードで突っ込む。
また同じ方法、しかも何も無しの突貫か。
そう思いながらMr.Gは構える。
リンは槍先に魔力を込めて目をくらますほどの閃光を放つ。
「チッ!、その程度で俺が倒せると思ったら大間違いだ!。」
槍先をまた掴まれてしまった。
「ただで起き上がるほどいい子ちゃんじゃないわ!。」
リンが言った瞬間Mr.Gの目が白一色に染まる。
それは一瞬のことだった。
すぐに落ち着くと、目の前にあるのは掴んだ槍だけだった。
「どこ行った?。」
「ここよっ........!!。」
リンは槍をはなしてMr.Gの頭の上を飛び、懐にしまっておいた二丁の銃を取り出し頭から落ち終わる前に弾倉合計二十四発を撃ち切った。
うまく着地するとリンはMr.Gを見る。
すると掴んだ槍を落として少しよろめいていた。
「まさか、ここまでやってくるとはな。」
目が麻痺しているうちに追い討ちをかけないと!。
リンは槍を急いで取り真上へ飛ぶ。
Mr.Gはなんとかして目で追うと真上へ飛んだリンを見て何かを思ったのか一瞬ニヤッとする。
そういうことな、今の時間は正午お昼真っ只中、太陽が真上にあるし、この会場は太陽を遮る物がない。
目眩しした後に間髪入れずに太陽で目眩しして上から攻撃ってわけか。
Mr.Gは銅貨の装備を外して銀貨を握る。
するとその銀貨は手の中で光だし、さっきよりもゴツい籠手が生成される。
「くらえぇぇぇ!!。」
Mr.Gに向かって真っ直ぐ落ちてくるリンに籠手を向けて構える。
リンにとって予想外のことは目眩しの効果が思った以上に早く切れたことだ。
リンの槍がMr.Gの籠手に触れる瞬間、左手の手の甲で槍の軌道をずらして右手で胸元を掴みそのまま落とした。
「がはっ!!。」
肺から空気が全部無くなったかのような感覚がリンを襲う。
「もう終わりだ。」
大歓声が湧き上がる。
「ま、まだいける....!。」
「もういいって、別に殺し合うまで勝負するつもりないから、あとこれ。」
Mr.G言いながら紙を渡してくる。
開くと何かの地図のようだ。
「これは?....てか、起こしてくれない?。」
「ああ、悪い、それは俺の屋敷の地図だ。」
「何のために渡してきたの?。」
「うーん、率直に言うと俺の弟子になれ。」
「はあ?、なんで?。」
Mr.Gはリンに指を指して言う。
「お前には才能がある、だがあまい、トロい、クソ雑魚い。」
「おい。」
「だから俺が鍛えてやる。」
「考えとく。」
リンがそう言うとMr.Gは腰に手を当てて言う。
「考えておいてくれよな、最近骨のある奴と戦ってないからつまんないんだよなぁ。」
心の声が出ちゃってんじゃん。
こうして試験は無事に終了し、リンは重たい足取りで宿まで歩いた。
着くと重たい足取りだが待っている人を考えると気持ちが楽になる。
ドアを開けるとそこには手紙が置いてあった。
ランプに火を灯して手紙の封を切る。
中身は一言だけ書いてあった。
〔用事ができました、さようなら。〕
お金と装備と荷物一式は残っているし、最初は冗談だと思った。
じきに帰ってくるよね。
そう思いながら3日待ったが、研究者の姿は一向に見えなかった。
その翌日。
Mr.Gは紅茶を飲んでいるとメイドの一人が部屋に入ってくる。
「旦那様、お客様がお見えです。」
「ん?、こんな朝から誰かと約束してたっけ?。」
「知りませんよ、そんなこと。」
「名前と要件は?。」
「名前はリン・メイユイ、要件はMr.Gが知っていると言っておりました。」
「じゃあ俺からいくわ。」
そう言い、重い腰を上げてメイドと一緒に門の前に向かうとリンが一人で立っていた。
「あなたは私を強くしてくれるの?。」
「ああ、強くしてやる、あれ?、あの兄ちゃんはどこ行ったんだ?。」
「知らない、どっかに行った。」
少しの間が空いたあと、Mr.Gは頭を掻きながら。
「まあいいや、これから強くする代わりに条件としてメイドとして働け。」
Mr.Gは最初は冗談のつもりだったがリンの目がだんだんとこの間と違うことを察した。
それから三年の時を経て今に至る。
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