第68話ホワイトブラスター。
「じゃあ俺たちは行きます。」
まだ日が昇りきっていない早朝、ユウトとリンはミリンとミリンのお母さんに挨拶をして出ようとしていた。
「気をつけてね二人とも、あなたたちは娘の命の恩人なのにまだ恩を返しきれていないのだからリンさんに変態な男の人のユウトさん?。」
「ああ....もう....いいです。」
ちょっと涙出そう、感動とかそういう意味じゃなくて。
俺とリンは昨日のうちに支度をした。
道具屋と武器屋、ギルドにもう一回行って情報を集めたりして準備は万全である。
村を出るとすぐに山の麓らしい、俺たちが今から目指すところは明確な場所ではないが噂だと中腹、つまりは山の真ん中あたりになるらしい。
「いや〜雪山ともなるとさすがにちょっと寒くなってきたなぁ。」
「じゃあ刻印着にしなければよかったんじゃない?。」
「後悔先に立たずって言うだろ?、それに普通の防寒着を着てて敵に遭遇でもしたらどうするんだよ、俺に的になれって言うのか?。」
「....それはいいアイデアね。」
「おい。」
山を登るにつれて雪が降ってき始めている。
これが村人でも遭難する要因の一つと聞いている。
何の当ても無しに探して体力を消耗した後に帰り道が分からなくなり絶望するらしい。
しかも年がら年中雪景色みたいなので溶けた後に行こうみたいな思考にはならないそうだ。
「ちょっと風が強くなってきたな。」
「そうね、いったん休憩しましょう。」
二人はちょうどいい穴を見つけたので中に入る。
歩いている途中で何本か拾ってきた木の枝にユウトは火をつけてその火に二人は手をかざす。
「確かこの雪山って風がなくなったりしたりするけど雪はずっと降ってるとか言っていたわね。」
「らしいな。」
リンの話を聞きながらユウトはギルドからもらった大雑把な地図で大雑把に位置を把握する。
「だいたい2割か。」
山頂を10と仮定して、今目指している中腹が5から6だとすると今いるところは2ぐらいになるな。
「とりあえず風がもう少し止むのを待つか。」
「そうね....。」
そう返答したリンの表情はいつも通りにみえたが少し悲しい感じがした。
一時間もすると風が止んで綺麗な雪化粧がゆっくり舞い落ちる。
「よし行こう。」
山の4割を到達すると、そこでユウトは違和感を感じる。
「リン、なんか聞こえないか?、足音みたいな。」
リンはすぐそこの崖から下を眺める。
「....!!、何あれ!?。」
リンが思わず驚いてしまう。
何事かとユウトも見ると。
「おいおいウソだろ。」
そこにはざっと見て合計人数三十五人ぐらい、大人数でこっちに向かってくる群勢が太い列になって前進してくる。
二人は無意識でうつ伏せになり、リンが双眼鏡を取り出し群勢を見る。
「あの鎧についてるマーク、あれほんで見た事ないわ。」
「何?、かしてくれ。」
そう言ってリンから双眼鏡を借りて覗くと見覚えのあるマークが。
あれは確か....。
「ゼタとタウがつけてたやつだ。」
「何?、そのゼタとタウって?。」
「この前帝国に襲ってきた主犯格の二人だ、多分こいつらも一緒だ。」
「何よ、じゃあ目的は何?。」
「この雪山に何がある?、一つしかないだろ。」
「聖獣ね....。」
何てタイミングだ。
「こんな人数じゃ、私たち二人で対処なんてできやしない、引くわよ。」
立ち上がり、帰路に戻ろうとした時ユウトが言った。
「おいおい待てよ、まだお前に恩を返しちゃいないだろ?。」
「じゃああの数をどうやって倒すの?、無理に決まっているじゃない!。」
「これを使うんだよ。」
そう言ってユウトは大きな筒のようなものを包んだ袋を取る。
「これは何なの?。」
筒というより長方形で大きな白い金属製のいたのような近未来武器に見える。
「メイクが作った試作型魔力装填大型銃ホワイトブラスター、メイクが撃とうとしたら学園長に全力で止められた一品だ、広大な雪原にぶっ放してくれって言われたけど....この際どうでもいいよな、どうせこれ撃たなかったら山降りるんだし。」
そう言って板の中央部についている取手を下向きに持ち180度回転させる。
すると取手を中心にして十字型に間ができる。
ユウトが上についたもう一つの取手を左手で持ち、長方形なバケモノの口みたいな銃口を群勢に向けて構える。
幸いなことにまだこちらに気付いていない、撃つなら今である。
「メイクの説明によると装填数は二発、魔力の塊の詰まった箱が後ろについてるだろ?、それが動力源になる。」
ユウトは説明しながらトリガーがついている右手側の取手についている、グリップ部分についている長めのトリガーを引く。
するとホワイトブラスターの後ろの部分に付いている二つのモーターがお互いに逆回転で回り始める。
「リン、ちょっと離れててくれ。」
二つのモーターが唸りを上げて赤くなっていく。
「....くらいやがれ!!。」
一気に発射トリガーを引いて二つのモーターが勢いよく互いに前に進みぶつかり合って接触部から火花が散りモンスターのような銃口から黄緑色の光線を撃ち出した。
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