Ⅰ 人形たちの瞳

2月5日。

河川敷の隅で焼かれた。

少女たちは涙した。


もっと綺麗なドレスを着たかった。

もっと可愛いリボンをつけたかった。


もっと愛されたかった。


行き場のなくなった気持ちはやがて海の中で輝きだし、ついには大きな形となり動き出す。


「戦争を許してはいけない。」


「世界を許してはいけない。」



「人間を許しては行けない!!!」



彼女たちは彼女たちを愛した人間を許さなかった。

もうイタリアでもイギリスでもドイツでも日本でもないこの国を許さなかった。


石油臭い顔を上げギコギコと歩み出す。


波をかき分け歩み出す。

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