交換日記は誰とする?


「交換日記三日目

今日はね。優子ちゃん達と公園で遊んだんだ。優子ちゃん達とかくれんぼしたんだけどね、私なかなか見つけられなくて、探してる間に夕方になったから帰ってきちゃった。あなたは何したの?おやすみ」


【私のことはどうでもいいわ。それよりあなたいじめられてるよ。】


「交換日記四日目

いじめじゃないよ。わたしが見つけられないのがいけなかったんだよ。優子ちゃん達は悪くないよ。私がいけないの。おやすみ」


【あなたは悪くないの。その優子達があなたを見捨てたの。わからないの】


「交換日記五日目

なんで優子ちゃん達が悪いの?私がいけないんだよ。全部私が…おやすみ」


【あっそ。】


「交換日記十日目

今日、学校でテストが返されてね。60点だったの。お母さんに見せたら喜んでくれたんだ。うれしい。おやすみ」


【60点で喜んでるの? 全然すごくないじゃん。もっと頑張んなよ】


「交換日記11日目

あなたは賢いからいいけど、私は頑張ったの。お母さんにも褒められたよ。おやすみ」


【お母さんが喜んでるわけないでしょ。むしろ失望してるよ。わからないの】


「交換日記20日目

今日ね。私ね…聞いちゃったの。お母さんとお父さんがね。私がもっと賢かったらって、賢い子が生まれたらって。私頭よくないの… おやすみ」


【そう。だから言ったじゃん。アン。あなたは賢い子じゃないの。私と違ってね】


「交換日記21日目

私賢くないんだ。じゃあ、ママとパパにとってはいらない子なの?ねぇ。おやすみ」


【いらない子だよ。】


「交換日記22日目

いらないこの私はどうしたらいいの? おやすみ」


【必要のない子は消えちゃったほうがいいんだよ。】


「交換日記24日目

そうだよね。おやすみ」



リビングのキッチンで皿を拭く大人は、ソファにゴロンッと寝ながらテレビを見る大人に話しかける。

「ねぇ、あなた。アンのことなんだけど」「お前に任せるって言ったろ」「また、わたしまかせ。」

そう言うと一つため息を吐き、リビングから出ると階段を上がり案のドアを開けた。


「アン…あ、アン!!」


ドアを開けた大人の視線の先には一人の小さな女の子がダランとうなだれ、天井からつるされていた。

女の子の机の上にあるノートに何か書いてある。

【必要のない子は消えちゃったほうがいいんだよ。】


「交換日記24日目

そうだよね。おやすみ」

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