第八章 太陽を掌に
第107話 太陽を掌に①
――およそ一時間後。
そろそろ日が沈み、夜を迎える頃。
「おう。ここがそうカ」
そうして全員が入った後、巨大な鉄の門扉が閉じられた。
幾つものコンテナが納められた倉庫内は一瞬暗くなるが、すぐに明かりが点いた。
仲間の一人が、室内のライトを点けたのだ。
明るくなった倉庫内。
高い天井に、積み重なるコンテナ。無造作にフォークリフトも停めている。
一見すると、ただの倉庫だ。
しかし、当然ながら、ただの倉庫に用などない。
ここは儀式の場なのである。
幾つかのコンテナの間を通って、
三メートルを超える巨大なる黒い壺――坩堝が鎮座した場所。
坩堝は、鉄骨で固定されている。
その周囲には、数人の男たちの姿もあった。
先行して、この儀式場を準備していた部下たちである。
「おう。ごくろうさン」
「……ふむ。あれが」
その時、
彼の視線の先には、巨大な坩堝の姿がある。
その中は、あの霊具によって造られた、特殊な銀色の液体で満たされていた。
「
「正確に言うと、その模造品らしいがナ」
と、
「なにせ、違う国の古い文献にのみ載ってるような霊具だからナ。模造品でも造るのは、相当骨が折れたそうだゼ。俺らの国にも似たような文献があるから、よく分かんねえところはそれとも組み合わせて、それでどうにかって話ダ」
そこで、霊具を一瞥する。
「そんで造られた、あん中の液体は、迂闊に手を突っ込めば骨まで溶けるそうダ。雑に扱えばとんでもネエ大爆発まで起こすそうだゼ。おっかネエよな」
一拍おいて、
「だが、それも全部、
「それはもう構わんが……」
「ただ、これから俺たちは寝ずの番だろう? この娘が消えて儀式が終わるまで」
そこで、かぶりを振った。
「だというのに、奴は今頃、一人で楽しでいると思うとな」
その台詞には、他の部下たちも、どこか苦笑いを零してた。
「はは」
「まあ、この国での仕事は、これで最後ダ。後は、この港に泊めてあるコンテナ船で国に変えるだけサ。国に帰ったら、お前らにも休暇をやるヨ。花街に行くなり、お気に入りの隷者で楽しむなり自由にしナ」
「いや。俺としては休暇を要求している訳でもないんだが」
「やはり気になるのは火緋神家の動きだな。本当に大丈夫なのか?」
「……そこは大丈夫っすよ」
そう答えたのは儀式担当班の男。
「この場所を知るのは俺らだけです。
「……そうだな」
自分のズボンのポケットに片手を当てる。
そこには、
「……確かに、
「おう。そういうことサ」
「ここまで来たら、カップラーメンと同じサ」
ふっと笑う。
「まず、このお嬢ちゃんを坩堝にツッコむ。まあ、一瞬で溶けて即死だナ。後はコトコトとじっくり煮込んで五時間……」
そして、両手でアタッシュケースを掲げた。
「そんで、我らがボスからお預かりしたこの武具の登場だ。ヒヒイロカネ。伝説級の超レアな金属を加工して造ったこの武具を魂力の坩堝の中に奉じる。そうしてさらに三時間! なんト! たったそれだけデ!」
ニカっと笑って、こう告げた。
「どこぞの神さまのお
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