めいどかふぇ その11
「てめぇの頭にケチャップぶっ掛けて全力でにゃんにゃんしてやろうか」
「おぉ、なんか怖っ」
そんな声が聞こえてきたのは、カフェの女子トイレの中から。
莉央ちゃんと毬夢ちゃんのテーブルを担当する事になったドッペル君が、毬夢ちゃんを呼び出して女子トイレに連れ込んだ形ですね。
私達も追加の注文をしてから女子トイレに潜入したわけですが……仮にもドッペル君は見た目はネコメイドさんだとしても中身は男。なのに、堂々と女子トイレに入っちゃってますね。犯罪ですよ、犯罪。
しかも壁ドン状態ですよ。事情を知らない人が見たらもぉただの百合百合ですよ。……なんか興奮してるように見える、ってそそそそそんな事ありませんよ? 私はいたってふつーの女の子です、はい。
ほ、ほら、そんな事はどうでもいいんです! せっかく隠れてるのに、騒いだら見つかっちゃいますよ! ……騒いでるのはどう考えても私の方とか、そういう正論はいいんです、もぉ!
「てゆーか、樹々君? 私は一応お客様なのに、こういうのってマズくない?」
「樹々? 誰の事か分からないにゃ。〝いつき〟は立派な猫を夢見て今日もお客様に奉仕するメイド見習いの女の子だにゃ」
「……あれぇ? いつの間にかこっちの世界に染まり切っちゃってる……?」
「詐欺同然で俺をここに放り込みやがった張本人が何言ってやがる」
あらあら、ネコメイドの格好でそんな男の子なセリフを言っちゃうなんて、これはこれで良いですね~……ですから、私はふつーの女の子ですから! 今のはただの無垢で素朴な感想です!
ともかく、いつもの調子に戻ったドッペル君を見て、毬夢ちゃんが露骨に安堵の表情を浮かべます。
「あはは、良かった。やっぱ樹々君はこうじゃないとね」
「うるせぇよ……で? お前だけで冷やかしに来るんならともかく、どうして莉央を連れてきた? 返答次第じゃマジでケチャップぶっ掛けるぞ」
「へ? だって、樹々君にとって問題なのはオリジナルの樹々君に姿を見られる事でしょ? 莉央は特に関係ないし、連れてきても問題ないかなって」
「いや、そうかもしれんが。俺が樹々のドッペルだ、って莉央に気付かれるリスクは無いわけじゃないだろ?」
「そこは一応考えたよ? まどかに樹々君の女装姿を送ってもらって、これなら気付きようがないかな、と思ったから莉央もつれて来たんだよね。てゆーか、可愛すぎない? 私よりも胸あるし、これは許されないよ?」
「そんなもん、いつ撮られたんだ……」
(そもそも別に許されたくもないし、まず作り物の
さすがのドッペル君もツッコミが追いついてませんね~。……てゆーか、もう何か夫婦漫才な感じに見えてきたのは私だけでしょうか。
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