第43話 生きる目的

 歩いた。

 とにかく俺は歩き続けた。


 ここがどこなのかも分からずに、道ある方へとただひたすらに歩き続けた。


 本当に酷い目に遭った。

 大切な人達を犠牲にして生きてしまった。

 生き残ってしまった。


 何が出来る訳でも無く、唯茫然と漠然と俺は生きていくことになるのだ。

 目的も無く生きていくなんて、砂漠の中で目的地も無く唯々ほっつき歩いているのと同じだ。


 鉛色の空を見上げる。

 すると、空に何か見えた。


 人型をした何か。

 銃を背中に剣を腰に身に付けた二兎型の機械。

「あれは一体……」


 《箱庭》で聞いたことがある。

 人を模した魔術を扱える戦闘機械があると。

 何と言ったか……。

 確か、《人型魔装兵器ホムンクルス》と言ったか。


 加えて、そいつはこんなことも言っていた。

『最近、それの新型が開発された。それは《人型魔装兵器ホムンクルス》を応用した能力者用の兵器だ。それはお前たち第三世代。そして、第二世代第二世代の能力者用のものだ。お前たちが持つ《能力》を応用した代物だ。俺たちの研究はお前たちでは終わらない。犠牲は続く。ずっとな。とある目的を果たすためのな』

 あいつが言っていた《とある目的》とは何なのだろうか。


 俺はもう仲間を死なせたくはない。

 それを目標にしても良いのかもしれない。


 鉛色の空を見上げる。

 胸騒ぎがする。

 あそこに何かある気がする。

 あそこに行ったら何かある気がする。


 《念力サイコキネシス》を使ったらあいつたちを追うことが出来る。

 そこに何かあるのかもしれない。

 そう思う。


 追ってみよう。


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 何か、白い機体と赤い機体の奴らが戦っている。

 やばい。

 流れ弾が来ないように気を付けないと。


 《箱庭》を破壊した後、《パパ》が使っていた道具を盗んできて良かった。

 もうあいつらは帰ってこないから。

 これはあいつらの形見なんだ。


 《透明化》の能力を使って身を隠そう。


 白い機体の奴が不思議な能力を使っている。

 あ、なんか白い機体の奴がやられている。


 しかも、なんか拘束された。

 どこかに連れて行かれているみたいだ。

 追おう。


 この先になんかあるかもしれない。

 敵が誰なのかも分かっていないけど、あの機体を拘束するということは何らかの意図があるはずだ。

 あの機体に乗っているパイロットか。

 それとも、あの機体自身なのか。

 もしくは、他の意図があるのかもしれない。


 でも、何か能力者の仕組みについてのヒントが出てくるかもしれない。

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