第36話地上の青空

 アタシ司令官は、とある部屋に案内された。

 そこには、人数分のベッドが用意されていた。


 教官は部屋の真ん中に立って、

「良いか。ここが今日からお前たちの家だ。人型魔装兵器ホムンクルスに乗って、自動人形ビスクドールを操る。それがお前たちの仕事だ。良いか。今、20司令官がいる。三チームに分けて行う。それでは、チーム分けを紹介する。ちなみに、《召使い》は一人の《司令官》につき五人だ」


 アタシ達のチームは、エルカという紫色の髪をしたツインテールの女の子と、シェリィという金髪ショートの女の子だった。

 最初だから、顔合わせ程度で終わった。


 その後、全員集合をして、

「今日はもう寝るんだ」と言われた。

 と、その時警報用のベルが鳴った。


 教官は舌打ちをして、

「しょうがない。みんな、いきなりで済まないが、実戦だ。倉庫に行って人型魔装兵器ホムンクルスに乗れ。コックピットに乗る前に、強化外骨格パワードスーツを着るのを忘れるなよ。良いな」

「イエッサー」



 アタシ達は走って倉庫に行き、強化外骨格パワードスーツを着てそれぞれの人型魔装兵器ホムンクルスに乗った。


『同調シンクロ率60%――――70%――――80%。同調シンクロ成功。起動開始』

 青白い画面が映し出される。


 耳に掛けてある拡張デバイスから教官の声がした。

『良いか。訓練道理にやれば問題は無い。生きては帰って来られるはずだ。だから、いつも通り、訓練通り、冷静にやれるかどうかが一番大切だ。分かったら行け!!」


 バシュッっという両足の止め金が外れる音がした。

 両足から魔力が噴出し、人型魔装兵器ホムンクルスが動き出した。


 ――――出動。


 機体が艦隊の外へ放り出され、青空へ高く舞い上がった。

『うっ……。眩しい』

 闇の世界から光の世界へ。


「おおっ!!!!」

 感嘆の声が上がる。


 正直、不安だった。

 地下の世界にずっと住んでいた時、私は一生この暗闇の中で生きていくのだろうかと。

 こんな暗い世界で生きていくのかと。

 でも……違った。


 本の中でしか知らなかった世界が今、目の前にある。

 澄み渡る青空。

 白い雲。


 瞼が熱くなって、冷たい物が頬を伝った。

 これが、私たちが生きている世界。


 家族、友人との別れ。

 険しい試練や訓練。


 でも、それらすべての苦しみを払いのけるものが目の前にあった。

 私はこの景色を見るために生きて来たのだと。


 でも……。


「生きないと」

 同時に生の力が――――欲望が胸を込み上げて来た。


 この景色を見ることが出来るのなら、アタシはこの戦争を生き抜いてみせる。

 あと、ルルを探さないと。


 彼女は生きている。

 そう、アタシの勘が教えてくれているから。

 だから、いつでも、いつまでもアタシは貴方を探し続けるよ。

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