第13話

「撃て!」


虚空に魔法陣が数多浮かび、そこから炎の矢が振り注ぐ。500名はエルフと魔族から選抜している。魔力量が高く、継戦能力に長けている種族から選び俊英の中の俊英を選んだ。

キャニスター弾が放たれる。攻城砲が運ばれてくるのが見え、即時に破壊を試みる。


「【火炎爆槍フレアジャベリン】」


着弾と共に爆炎があがる。攻城砲は拉げ、砲身は折れ曲がっている。


「砲兵隊撃て!」


敵軍の数は約17万。こちらは現在496名+4名の負傷者が出ている。

基本的に天幕向けの榴弾以外はキャニスター弾を使用し、敵の正面兵力を削る事に注力している。


「陛下!敵の攻撃が終わりました。包囲に戻るようです。」


「そうか、榴弾を叩き込め!」


オレンジ色の炎が多数あがり、要塞砲が唸り声を挙げる。


「将兵に飯を喰わせろ、早くな。」


攻撃と攻撃の間に食事を摂る。疲れが溜まってきているがローテーションで防衛につき、負担を緩和はしている。大規模な攻勢はなく、まぁ、何とかなっている。その日はそれから攻撃もなく、一日が過ぎた。


防衛戦2ヶ月と2日目。兵糧の備蓄が乏しくなりつつある。キャニスター弾は既に尽きた。

僅かな残りの榴弾と魔術で撃退しているが殺す数が減りつつある。そんな時だった。


「陛下!敵後方、バチャーニ辺境伯軍の旗を視認!」


勝った。


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今回の作戦はこうだ。正面の要塞の兵力は近辺で最大の物。これを拘束できれば、この地域の制圧は容易い。そこで俺を餌に500の兵力で敵主力を拘置。その間にバチャーニ辺境伯軍とディノグリス帝国軍が後方の補給拠点を破壊後要塞を奪取する。


補給と退路を一挙に失った敵軍を包囲し殲滅すると簡単かつ単純である。

単純故に破綻すれば最悪なのだがな。

敗北要件は後方制圧の失敗か、俺の戦死、若しくはこの要塞の陥落である。


後方拠点の制圧後一部部隊が投降を開始、脱走兵が相次ぎ、士気と統制を保てず、ディノグリス軍では無く、レマリア王である俺に降伏してきた。バチャーニは騎兵8000騎を遊撃騎兵として運用し下馬騎兵4000を防衛に運用した。更に地竜騎兵2000を自分の麾下で使い、勝利を納めた。


「バチャーニ辺境伯見事だ。」


「当たり前だ。俺を誰だと思っている、マジャルの英雄だぞ。」


「ああ、貴様にはレマリア王国より英雄号の推薦を教皇庁に出す。」


深々とバチャーニは頭を下げ謝意をしめす。


バチャーニは此処で補給と再編に務め、俺は直轄の親衛軍と合流し第2攻勢へと向かわねばならない。全力を傾け、マグノリアの正面戦力を打破し尽くさなければならない。難しい所だ。


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