第12話
レマリア王国軍本隊到着。東方の蛮族は急に左右から現れたそれぞれ1万ずつの魔道騎兵、正面の東方軍、後方にレマリア王ヴァン率いる本隊の挟撃を受け敗走。
「軍旗を掲げよ!」
双頭の龍のレマリア王権の象徴たる旗を掲げる。蛮族とは言え、聖都レマリアの奉じる聖光教会の信徒が多い。そこに数多の聖騎士団が出撃しているのだ。心理的な圧力は高い。
「陛下!報告であります。敵軍本隊は壊滅。各地に壊走した兵を纏めたバチャーニが陛下に降伏したいと。」
「会おう。通せ。」
「はっ!」
天幕が掻き分けられ中に長身で痩身、筋肉質な男が入ってきた。
「貴様がバチャーニか。」
「そうだ。俺がアンドレアス・バチャーニだ。」
「アンドレアス?貴様が騎神アンドレアスか!」
「その通り。俺の指揮下に聖光教徒の騎兵を集めた、2万だ使ってくれ。」
「ほう。練度は?」
「一般の軽騎兵、剣騎兵だが、練度なら貴様らの魔導騎兵に負けん。」
「気に入った。東方領、マジャリアを併合しマジャリア辺境伯の爵位を与える。更に陸軍中将のくらいを与える。俺の軍に参加せよ。」
深深と下げた頭を上げさせ、翌朝前日から撤退を始めていた歩兵隊を追いかける形で騎兵が撤退を始めた。西方戦線に帰還しディノグリア帝国とレマリア王国の共同作戦、回転作戦を開始した。
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「アルドルシア将軍、やはり、グラムサッソ要塞は5000の兵しかいません!」
「掛かったな!出撃するぞ!」
グラムサッソ要塞の向かいに存在する、アンザレード城からオルタレス・アンドルシア将軍指揮下の4万もの歩兵と騎兵、攻城兵器が出撃した。土煙を上げ駆ける兵士たちの目にはレマリア王ヴァンを捕え出世する未来以外には見えていない。
「魔導隊、斉射!」
一斉に詠唱した魔導師はその右手の先から焔の槍を放つ。攻城兵器が接近し大砲が鉄球を放つも沈黙を守る要塞。不気味に思いながらも包囲の指示を出す。
「おかしい。何事だ?」
「魔導連隊、応射せよ!」
戦場に響くような大声が魔術によって拡散され、要塞から数多の火球と炎槍、更に巨石や火矢、矢の雨が降り注ぐ。矢や石はバリスタやトレビュシェットから降り注ぎ、キャニスター弾が火砲から放たれる。
有効な防衛手段を持たない、一般の歩兵は甚大な被害を被る。
「くっ!引け!」
ここは引くしかない。たが、この傷つけられたプライドは倍にして返すぞ!
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「また来たか。単純な罠に掛かるな。」
バリスタやトレビュシェットは1度きりの攻撃しか出来ない。それだけの弾薬しか用意していない。人手が足らんからな。俺らの目的はアルグラード城に屯する10万の兵力の全てをここに拘束する事。1万程は屠った。つまり次にくるのは9万程の攻勢、それから帝国軍がアンザレード城後方のアルパティア要塞を陥落させるまで耐える。持久戦だ。奥の手は数多、敵軍も数多。面白い戦場では無いか?俺はそう思った。
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