第9話
叫んだアンナに白ける議場。だが、俺とローザは不穏な気配に気付いていた。
「衛兵。」
傍に呼び寄せた時、アンナが指を鳴らしたのが見えた。その途端、隠匿されていた魔力が弾けるように否、爆発する様に増加した。この時点で粗全ての各国の王達が気付く。
議場の大きく強固なドアが切り飛ばされ、吹き飛んだドアで衛兵が多数潰される。
「勇者ユウキ、ナオ!あの、ローザとヴァンを殺してしまいなさい!」
「どうすんのよ。」
「マジかよ、アレは勝てんぞ。」
「つべこべ言わずやりなさい!」
隷属の首輪か。まさに奴隷だな。
「
隷属の首輪の術式を破壊する。首輪は一瞬光ると直ぐに砕け散った。
「なっ!」
「ユウキとナオか。こちらに来い。厚遇しよう。」
「アンタのとこにはハヤトもサヤカも居るんだったか?」
「2人以外の全員が揃っている。」
「成程な。少しアンタと話がしたい。時間を取ってもらえないかな?」
「構わん。議長1時離席の許可を。」
「ああ、構わない。」
「ルキア!拘束しろ!」
「分かりましたわ。ヴァン様。」
ルキアの拘束魔術で、アンナと文官達を拘束する。メアリはオットーが拘束した。
議場を一時的に離席し、別室で勇者ユウキとナオの2名と会談することになる。
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正直言おう。俺はアザリアーノ王国を信用していなかった。魔王を倒せば帰れる、そして我が友隼人の周りに現れた2人の女。メアリの方は嫌々に見えるのもまた、違和感と嫌悪感を誘う。それは俺と沙也加、そして菜緒の3人は共有していた。2人が脱走した時点で、ハヤト以外に隷属の首輪を付けられた時点で遅きに失したが確信した。
そこで、命令されたのは世界会議、世界中に存在する国家が一堂に会する、言わば国連のような物だろう。そこでのヴァンと魔王の殺害。外交的感覚の欠如甚だしい。
レマリア王ヴァン。俺がその名前と出会ったのは王都の図書館が初めてだ。
ミリオタな俺はハヤトとクロード大公家の軍事教練を見学した時に使用した戦術が魔術師を砲兵とみなした、三兵戦術である事に気づいた。
そこから、俺はヴァンに関係する資料を漁った。アザリアーノ王国軍の編制、師団-旅団-大隊-中隊-小隊の提言や、猟兵隊の創設、騎士団を改変し近衛憲兵隊への再編。そこで、俺は何か引っかかりを感じた。俺達が召喚されてからも辺境領以外の軍事権を王都に返上させ、中央集権化を進め階級制度の導入等クロード大公家によって急速に近代化が進んでいた。
更に貴族として異常とも言える、ゲリラ戦による魔王軍への孤立無援状態で3ヶ月にわたり遅滞戦闘を行い戦線の維持は偉大とも言えるだろう。
元々無かった、攻城兵器の開発は素晴らしい。そこで俺は1つ疑いを持った。つまり、彼は転生者若しくはそれに準ずる存在なのではないのだろうか?
これからの会話でそれを明かしてみせる。そう決意を持っている
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