第8話
「レマリア国王として宣言する。無知と暗愚を公言するものである、対魔王、対魔族同盟を叩き潰す。我が国は共存と共栄を国是とし、これを全世界に対する誓約とする。又、勇者と呼ばれるもの達に着いて発表がある。」
世界会議。中立不可侵の最強国、ロマーゲス帝国によって主催される全世界の国家人類、魔族問わず全ての種族の国家が参加し行われる会議である。
我々は勿論双方の国家元首ローザと俺が参加している。
アザリアーノからは俺と兄上の元婚約者を出てきた。
アンナとメアリ。双方の父オットーとルキアが俺の随伴者。嫌がらせの積もりなのだろうか?
「何を言うのです!叛逆者が!」
「静粛に。レマリア王ヴァン何だ?」
「ロマーゲス皇帝ロイド感謝する。勇者達3名は我が国に亡命した。勇者達は一様にこう言っている。魔王を討伐すれば元世界へ返す事が出来ると。」
「ヴァン殿、それは誠なのか!」
「アルザス大公ヴィルヘルム真実だ。曰く向こうには争いはなく平和な世界で急に呼び出されたという。更に歳は16歳だそうだ。」
大会議場はどよめく。世界条約により18歳未満の平民の戦闘動員は許可されていない。
「つまりは!アルザリアーノ王国は16歳の異界から拉致した少年少女を戦争の道具にしたのだ!」
響めきと混乱が広がる。良くも悪くもこの世界では公での公正さ誠実さが希求される。
「ち、違う!勇者ハヤトは私達の為に立ち上がってくれた!」
「ロマーゲス皇帝、我国の報告書を読み上げよう。配布は必要だろうか?」
「私は貰おう。」
他に中立各国とアルザス大公国を筆頭に離脱を図る対魔王派の各国が資料を請求した。直ぐに議場の衛兵に渡し配って貰う。
「行き渡っただろうか。それでは頼む。」
「報告書を纏めた私、ルキアが報告させていただきます。報告内容は大きく3つです。」
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「第一に勇者召喚に至った経緯とその前後の王国内部の状況です。」
あの女は誰なんだ。ヴァンにベタベタくっ付いて。
「当時、魔王軍に対し挑発を行った、自由独立都市レーゲンスブルクに対しディノグリス帝国軍は侵攻。これは魔王を侮辱し国家の威厳を損なう挑発である為にこの件に関して我々は問題無いと考えています。」
「異議あり!この様な話は聞いていない!」
「議長、証人召喚の許可を。」
あの女、こっちに反応すらしなかった!
「許可する。」
衛兵が扉を開くとそこには降伏したレーゲンスブルクの市長。アルター・レーゲンスブルクだった。
「私は真実を話す様に
一礼して報告を終える。そんな話を私は本国から聞いていない。どう言う事なのか?
「補足させていただきます。アルター殿は当時大病を患い、寝台から頭を上げることすらできない状況であった事を付け足させて頂きます。それでは、それによって開戦した今大戦でありますが、早期にアザリアーノ王国が介入、その周辺の中小国はアザリアーノ王国の恫喝に屈し、参戦しました。ですが、ディノグリス帝国の騎兵を使い、歩兵と魔術を上手く使った機動戦の前に多くの軍勢が狩られます。そこで劣勢の戦況を変える為に勇者召喚を一部勢力が強行した次第です。」
「レマリア王に問う!当時クロード大公家王都代表だった貴殿には止められたのでは無いのか!」
私のアイコンタクトを受けた属国達が口々にレマリア王国を口撃する。
「聞かれると思っていた。アザリアーノ王国代表のメアリ殿は当時我が兄の婚約者であった、その関係からご存知でしょうが。クロード大公とその一門、寄子貴族達は断固として反対した。だが、諸君が我々にくれたのは当主が2代にわたって死に3ヶ月にわたり最前線で防衛を行った我らが貰ったのは私と兄の婚約者だった筈の君達が勇者の婚約者との発表だけだった。」
メアリは一言も言葉を発しなかったのにいきなり口を開き辨駁を叫ぶ。
「申し訳ございません!アレは王弟殿下の命令でした。申し訳ございません。」
そんな話は聞いていない。
「姉上、知っていますよ。我々は貴方は許す用意がある。問題は貴女の妹なのですよ。」
「申し訳ございません。」
「構いません。兄上は知らないのです。気にしなくても。」
「このように当時の王国政府は見目の麗しい女性によって勇者ハヤトに好意を抱くほかの勇者との間に楔を打ち込み、勇者が団結し王国政府に反抗しないように図ったのです。」
ルキアとやらがさらに口を開きアザリアーノに対する口撃を強める。
ロマーゲスは静観。故に中立各国は静観を保つ。
「済まない。ヴァン王。一つ問いたい。貴殿の年は幾つなのだ?」
「ヴァン陛下は包囲戦の際は16。現在は御歳17歳にあらせられます。」
「…そうか。メアリ殿、17歳と言えば王国ではどれぐらいの環境で居るのかな?」
「……クロード大公家程の王家に筆頭する大貴族の次男ですので。未だ学生が普通かと。ヴァン陛下は既にアザリアーノ魔術学院を首席卒業されていますが、大戦が無ければ今はアザリアーノ魔術大学に進学していたことでしょう。更に、ヴァン陛下はアウグスト3世陛下の第一王子殿下、第一王女殿下方を初めとするアウグスト3世陛下の弟君エドゥアルド陛下以外の王族から信頼厚く何れは戦略家として名声を博すヴァン陛下は王室軍師、王室軍事参議院院長すら夢ではありませんでした。第一王子殿下と第一王女殿下は出国され、現在は不明です。」
「姉様!」
巫山戯るな!私が、私たちが悪いと言うのか!
「ありがとう、メアリ殿。私は貴女にレマリア王国への亡命を推奨するよ。」
「すいません、ヴァン様はつまり、学生の身分で両親と兄を失ったと言う事ですか?」
エルフの王家が統治するエルフィード王国の女王ヴィクトリア陛下はヴァンに対して同情的な意見を述べる。
「まぁ、そうなる。」
「そんな…。」
「おい、マジかよ。」
「嘘では無い。」
ドワーフの族長まで、同情的な意見。
「それでは第二報告に移らさせて頂きます。証人召喚を。」
「許可する。」
「アウグスト3世陛下!何故!」
如何して!エドゥアルドが処分した筈。
「オットーが連れて脱出させた。彼はエルフ族の客人だ。」
「アザリアーノ王国代表アンナ殿、どう言う事だ。」
「そ、それは…」
「代わりに報告しよう。ルキア。」
「はい、王国政府内部で、政変が発生。介入次点では既にアウグスト3世の命令で動く場所は多くなかった。その弟に当たるエドゥアルドが国政を私物化したのだ!その結果、アザリアーノ王国の死者は官民あわせ、110万人にも登る。」
「そこで、ディノグリス帝国とレマリア王国はアザリアーノ王国に対する経済制裁を開始する事を通達する。」
「何を言っている!貴様らから輸入している物は無いぞ!」
「意味の無い事を言うと思うか?」
何を、何をするつもりだ?胡散臭く、意味がわからない。
「第二報告はアウグスト3世の生存ですので、第三報告に移らせていただきます。」
「待て。アザリアーノ王国はどう責任を取るつもりだ。」
「本国の指示がないと動けませんので。」
随伴の文官が反論を飛ばす。
「最初からそれが狙いでしょうな。他国が国家元首、若しくは全権委任大使を送ってきているのに、アザリアーノ王国はそうではない。」
「ヴァン殿、つまりはアザリアーノ王国に真面目にこの場で議論する気はないと言う事だな?」
「ロイド殿、そう言うことだと我々は考えている。」
「成程同意しよう。我々は意見を共有している様だ。」
「違う!ちっ!」
もう仕方ない。やるしかない。私はここで合図で指示を出した。
せん
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