第7話

「レマリアが攻撃された、復興には数年単位で掛かる。」


「不味い、何より不味いのは勇者2名が我々に反対して魔王軍に下った事だ。」


「聖戦を発動する、聖教軍クルセイダーズだ。」


枢密会議議事録

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人間とエルフの魔術は似て非なる物だ。

人間の物は外部から力を得る仕組みでありエルフは体内の魔力オドを使用して行使する。

規模は勿論、威力や干渉力もオドの方が強い力を持つ。


そんな俺に叶う魔術は無い。


「ライントン公国が対魔王同盟から離脱した。」


「レマリアは壊滅。教皇は死亡し新教皇はアルテラ・プロフ。」


上手くいった。あの後我々は脱出に成功。1万の魔族兵を率いて俺はレマリアを占領していた。

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大公位を獲得。旧領全土に隣接する旧教皇領を統括するレマリア大公国を建国を宣言しディノグリス帝国とレマリア大公国は対等の同盟を宣言するに至った。

更にレマリア大公国とアルテラ3世教皇は政教条約ピエトロ条約を結び、教皇の神殿騎士団はレマリア大公国軍の指揮下に入ることとなった。これにより対帝国同盟軍は宗教的大義を喪失する事になる。

ディノグリス皇帝ローザ・ルクスリアとレマリア教皇アルテラ・プロフはライオス宮殿にてライオス条約にて皇帝と教皇は対等であり、ディノグリス皇帝と同等とされたレマリア大公に教皇が兼ねていたレマリア王位を譲渡、レマリア王国を宣言した。


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レマリア王国軍

歩兵15万、騎兵5万、エルフ部隊4万、魔族兵6万の計30万の部隊。歩兵1万を領土に残して残りは攻勢に使える。

帝国軍10万の魔族兵と共同し現在勇者ハヤトの守るアントワープ要塞を攻撃中である。

親衛軍1万の魔導騎兵を使い、後方連絡線を断ち切ったのが数日前、物資補給は途絶え、持久戦で勝てないだろう。現在後方連絡線は歩兵4万で防衛している。


「勝てるな。」


「ああ、ヴァン。」


本陣には勝利を確信した慢心があった。


「伝令です!勇者直卒の騎兵六千が出てきました!抑えきれません。」


「俺が出る。親衛軍出撃!」


何時でも出れるように準備済みの親衛軍が即応する。1万の魔導騎兵が勇者随伴の騎兵を蹴散らすが勇者の勢いは止まらない。


「勇者ハヤト!一騎討ちをしようか!」


「良いだろう!」


親衛軍は帝国より譲られた、地竜によって竜騎兵化されている。そのスタミナ、スピードは軍馬を凌駕し圧倒する。


右手に握った長剣を抜き、打ち合う。甲高い金属音と火花が散りハヤトの乗る馬がバランスを崩す。その時点でフラッシュの魔術で目を潰す、大上段から振り下ろすも回避され斬ったのは馬のみ。剣を首に突きつけ、降伏を促すも、睨んで敵意を隠さない。ハヤトの口角が上がったのを見てこちらもニヤリと笑う。左の森林から獣人兵15人程が出てくるが親衛軍が勿論遮る。1対1ではなく複数で辺り確実に獣人を屠る。勇者ハヤトは項垂れこちらを見ない。


「これでは一騎討ちにはならんな。」


左腕を振り下ろし全軍に攻撃の合図を出す。矢が雨のように降り注ぎそれに混じり炎や風の槍が平射される。騎兵が崩し、歩兵が片付け、エルフが屠り、魔族兵が蹂躙する。


「降伏するならば命までは取らない。」


勇者ハヤトは捕虜にとる。必ず使えるからだ。


「損害は?」


「はっ。親衛軍は数百名の負傷者が出ております。王国軍では2500の死者、6000の負傷者、ディノグリス帝国レマリア方面軍18万の内6万が死亡、2万5000が負傷王権派軍は全滅に等しい。」


ディノグリス帝国軍の総勢は187万。80万は本国に残しているがそれでも外征に100万を動員出来るのは凄い。

そのうちレマリア方面戦線は辛勝だろう。

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