第4話
使える物は親でも使え。その原則に従い、国王陛下に対する反逆と魔王らは国王陛下を助ける為に逆徒と戦闘していると言う話にしてある。
「王権派軍の結成を宣言する!」
大公つまりアウグスト3世国王陛下の甥にあたる血統の良さと英雄と呼ばれた名声も有りかなり成功している。具体的には王国軍の攻勢が止まる程。
「小賢しい手を考えたな。」
「ローザ陛下はこれをお望みなのでしょう?」
鷹揚に頷く魔王陛下。
「その通りだ。それで、反響は?」
「例の子爵を代表に数家の男爵や騎士爵クラスが着いてきたので計4700程が王権軍に合流。我々の1万1000と合わせて約1万5000の兵力は有ります。彼等にはアウグスト3世が病死した為にエドゥアルドが継いだと発表されたらしく混乱中。俺は摂政として動いてるので王命により帝国軍の様に中央集権化を進めてる。」
「成程。それで、勇者は?」
「勇者に関しては新事実が教皇庁が隠してた勇者4名を放出しこれで5名。だがエルフのパイプを使って調べたところ2名の女性勇者が召喚された事に不満が有るらしく王権軍に賛同的との報告が有り救出作戦を行う予定です。交渉は既に終了。連れ出しに同意しています。」
「うむ、期待している。そこでだ我々もそこに協力しよう。何か出来ることは無いか?」
それならば陽動か?否、送り込むのには魔族は不味い。
「可能であるならば陽動ですが、欺瞞性に疑義が。」
思いついた様に誰かを呼びに行かせるローザ。現れたのは女性。見た目は人間その物だった。
「ヴァン、こいつはルキアだ。魔人族の物ならば隠せるだろう。戦闘力は問題無いぞ。」
「ルキアですわ。ヴァン様よろしくお願いします。」
成程、彼女ならば構わないだろう。幾つかの馬車に分け武器商人として教皇領に入り込み教皇庁のある聖都レマリアを目指すか。
この会談によりレマリア襲撃事件は起こることとなった。
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「ヴァン様は、ハイエルフの末裔とは本当なのですか?」
同じ馬車に乗るのは俺とルキア、そして兵士が2名である。
「正確にはハイエルフ直系の純粋ハイエルフの大公位を持つ父と超人種系で若干薄まっている王家の娘の母との間の子だ。」
「素晴らしいですわ。魔族の社会では強い物が評価されますの。ヴァン様ならば素晴らしい評価を得られると思いますの。」
態々横に密着して座り、太腿を指で輪を描く様になぞる正直に理性が危ない。とても美しい見た目と今迄協力して進んで来た事で親密な関係性も築いている。聖都迄後2日。俺は耐えられるのだろうか。
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魔王が仮の拠点としているのが大公領首都にあり大公家の分家の居城であったロクシニア城の執務室で魔王ローザと侍女ブラウが会話している。
「ローザ様。ルキアを伴わせてよかったのですか?」
私はルキアの悪癖を理解している。見目麗しい、強い男に目が無いのだ。だが、魔族に強い男は多くとも見目麗しいものはなかなかいない。その点ヴァンは最優秀とも言えるだろう、知性・武勇・見た目三拍子揃っているのだから。
「ヴァンが食われるのであれば取り込める。逆にルキアが食われるのであらば私にとって親友のルキアに相手が見つかって喜ばしい。どちらに転んでも損はせん。」
「左様でございますか。私はルキアがヴァン様の虜になる様な気がしてなら無いのですが。」
確かに、あの男はその点も卒がないだろう。
我が軍の馬鹿が案内した娼館でヴァンの相手をしたサキュバスによると蕩かされてしまいましたとの事。
「腑抜けるのはまずいか?」
「危ういかと。」
「……奴の理性に期待するしかあるまい。」
「御意。」
やっぱり辞めておけば良かったか?
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