第3話
敗戦に次ぐ敗戦、臣民は漸増どころか倍増して行く戦時臨時徴収に喘ぎ、困窮している。
私、ヴァン・ヨハネス・フォン・クロードはここに誓う。国王陛下は逆賊に王都を追われ私の本に身を寄せている。王権を護持する家系として、魔族と人類の融和の象徴として此処に対王国宣戦布告を行う!
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クロード大公軍5000に残存王国軍500、そして義勇エルフ軍2000の計7500が俺の軍だ。
編成は歩兵3500、騎兵4000の編成。先ずは簡単且つ分かりやすい戦果を上げるため、王国軍と帝国軍の睨み合いの続く後方に浸透した。
王国軍第二物資集積拠点を騎兵隊と共に奇襲、火属性魔術をぶちかまし、物資を炎上させ潰す事を別の地点でも繰り返した。
その内に王国軍の隠し兵站線を発見し歩兵を張り付かせ、見張っていた。その歩兵より連絡が入った。
輜重隊を追い掛けると王都からの輸送はこの道を通るが、機密維持の為帰りは別ルートを通って帰る事が判明した。詰まりバレるまではここを襲っていれば暫くは兵站線に大打撃を与える事が可能であると言う証左である。
だが、旧王国軍の兵士のひとりが脱走、それにより我々の兵站線に対する攻撃が発覚してしまったのである。約7500の我が軍は派兵されたウォルター子爵軍2000、ロイク伯爵軍5000の連合軍と対峙する結果になってしまった。数の上ではほぼ互角、だがエルフ魔導師の数を考えれば対処は可能と俺は判断した。
「弓兵隊用意!撃て!」
火矢を射掛け、敵の騎兵の出鼻をくじく。
その間に騎兵隊の用意を済ませ、魔導師による援護爆撃の後突撃を指示する。
「旗を掲げよ!魔王旗、クロード家の旗もだ!」
クロード家の紋章の旗を掲げ、魔王旗と並べる、詰まり、魔王とクロード家=俺が対等で有ると示す意味がある。更に新たに作った帝国軍の紋章である単頭の龍に我が家の紋章双頭の鷲を並べる新生旗、紋章旗を掲げる。
更に国王旗を掲げる、これは王位の継承と共に譲られるものだが政変の際国王が持って逃げ、オットーが回収し保管していた物で俺に譲られている。
「対峙する敵軍に告ぐ。我クロード大公ヴァン・ヨハネスなり。国王陛下の勅命により魔王軍と和解、同盟関係に有るものである。陛下の軍を遮るのであらば容赦はせん!」
国王の名前の力をここぞとばかりに使う。
政変は上級法衣貴族以外には隠されているとの事だから大きな動揺を産む。敵の攻撃がとまり、暫くして伯爵と子爵が数騎を伴い駆けてきた。
「クロード大公閣下、陛下の軍たる証を見せてもらいたい。」
「良いだろう。私が持参する暫時待て!」
用意してもらった国王の紋章・直筆署名・蝋印いり王命文書を手渡す。
「これは…」
伯爵は黙り込み、子爵は呆ける。
数分後、伯爵軍は軍門に降り、子爵は他の貴族を説得すると戻って行った。
行きとは違い伯爵軍残数3500を指揮下に入れた我が軍は1万1000の兵力まで強化していた。
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