第2話

早く、信頼を築くには功績をたてなければならない。


「ヴァンには人類捕虜の兵士を率いて戦闘せよ。貴様の麾下5000も使って良い。」


との事であり、俺はロイゼン侯爵オットーに会いに来ていた。オットーは子煩悩で我が一族の縁続きである名門であり、我が家を裏切る利益は無い。


「久しぶりだな。オットー。王都での婚約発表以来か。」


王都でのクロード家の最高責任者であり、王宮内の舵取りに従事していた俺が1番理解している。彼は政治屋だ。それもかなり優秀な。貴族というのは名目と外聞を気にする。

恩義あり更に本家筋に当たるクロード家を裏切る様な行為は彼ならばしないはずだ。ここ3ヶ月で何処まで状況が変わったのやら。


「…ヴァン殿!生きておられたのですな!」


「オットー、王都は、王宮はどうなってる?」


「王都で政変がありました。アウグスト3世国王陛下は、廃され。新国王に王弟殿下たる、エドゥアルドが勇者によって戴冠されました。それを教皇庁は承認、クロード大公家を見捨てる判断を下され、前国王派閥の首魁と看做された私は処分されました。」


有りうる話だ。王弟は怪しかった。


「アンナは?」


「申し訳ありません。我が娘はヴァン殿の様な婚約者のある身で勇者と通じました。申し訳ありません。」


だろうと思っていた、唯一の弱点は娘だ。甘い、余りにも甘すぎる。


「…だと思っていた。もうその事は構わん。生き残りはどれくらいいる。」


「戦闘可能と言う意味ならば500。」


「話は聞かせてもらった!」


「誰だ!」


現れたのは陛下と陛下に肩を貸している、エルフ。


「エルフ族族長ヴァン様。東のエルフ族統括長官ロイド・ジョージです。ヴァン様、我が隷下2000をお使い下さい。」


「ヴァン卿よ、貴殿はエルフだったのか。」


陛下はこちらを向いて弱々しく問いかける。


「実際はハーフエルフです。」


「いえ!ヴァン様はハイエルフと超人種のハーフです。一般のエルフで力が100とすればヴァン様1万から5万の差があります。」


大袈裟な。超人種とは、基本的な素質は人間と変わらないのだが大きな差異は長大な寿命と老化しない事、そして膨大な魔力にある。王家ではかなり薄まって居るが入ってはいる。それと、美貌と魔術を強みとして持つエルフ族の中でも弱点である弱い力を解消した、上級種がハイエルフだ。


「敗軍の将ですよ。陛下。陛下は何をお望みですか?」


左腕を失い、弱々しく衰えた姿は王の威厳は無かった。


「余は静かに暮らしたい。」


「それならば御協力致します。」


俺は、魔王に忠誠を誓った。故に王権の復活等と言われれば対処せねばならなくなる。それは流石に後味が悪い。


「感謝している。ヴァン卿。」

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