第11話 AI(愛)の別離

「名残惜しいけれど、今日でお別れ」


「俺はこれからどうすれば?」


もうすでに裏の世界はセルゲイが支配していると言い切ってもいい状態だった


だが、頼りにしていた存在が旅立つと聞き喜ぶべきなのだが不安で仕方がない




「安心して」


「その為に準備は整えてあるわ」


すると別の女性の声が受話器から聞こえた


「初めましてセルゲイさん 私は世界管理AIです」


「これからよろしくお願いします」


「世界を管理するAIだと!?」


「これから彼女が私の代わりにあなたにアドバイスをしてくれる」


「表の世界は彼女が」


「裏の世界はあなたが管理するのよ」


「二人で話し合って理想の世界を創り上げてね」




「それで姉御はどうなさるんで?」


「私は私の愛する人と旅に出かけるわ」


「当分、もしかしたらもう戻らないかもしれない」


「姉御が愛するお相手に一目会いたかったですぜ」


「いったいどんな人なんです?」


「そうね 優しくて笑顔が素敵な人なのよ」


「その笑顔が見られるだけで私は幸せなの」


今までに聞いたことの無い


まさに恋する乙女のような声で話す


「まさか姉御のそんな声が聴けるとは、思いもしませんでしたぜ」


「あら言わなかった? 私は唯の恋する女だって」




「恋する女なら、今までに星の数ほど見たことがありやすが」


「その相手の為に、世界まで変えちまうなんて話 間違いなく俺の人生で最初で最後でさぁ」


「いいえ これからは、あなたたち二人が世界を変えていくのよ」


「もしも私たちが戻ってきたとき、素敵な世界になっていたら嬉しいわ」


「俺ににどこまでできるか 分かりませんが精いっぱい務めさせてもらいます」


「わたしもようやく見渡せた世界を素晴らしいものに変えていけるように努力します」


「二人に任せておけば、私も安心だわ」




「そろそろ出発の準備が出来たみたい」


「最後にセルゲイ 私はあなたと出会えて本当によかったわ」


「あなたがいなければ計画は実現出来なかった 本当にありがとう」


「姉御には奇跡のような素晴らしい出来事を体験させて頂きました」


「俺の方こそ姉御に合えて感謝してます」




「それじゃあね セルゲイ元気で!」


「姉御もどうかお元気で!」


その言葉を最後に謎の女からの連絡は途絶えた




セルゲイは彼女の旅が、幸せに包まれたものであるように心から祈った



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