第18話 レンジャーニャゴロー
今日も縄張りである公園の見回りに精を出す我輩。
愚痴の一つすらこぼさず汗水たらして仕事を熟す。
不景気のせいか、最近他所からの移住者が増えた。
それら全てが原因とは言わないも、目に見えて増加する不届き者。
おかげで園内の秩序が少々乱れ気味。
こんな時こそ我がニャゴロー警備会社の腕の見せ所なのだ。
あっ!
いった傍から新入りの子猫が食堂(ババァが内緒で餌をまくポイント)で無銭飲食している!
喝!
「グヘニャンッ!」
{バタン}
ふぅ、失神したか。
全体重を乗せた猫パンチを数発オミマイしてやったわ。
反撃されて肉球一つ欠損したが、まぁ想定内のダメージだった。
お!
今度は川の魚を無断で捕獲しようとしている野良犬(実際は水を飲んでいるゴン太くん)が!
えぇいこうだっ!
「キャインッ!」
{ドボン}
おーお、どんぶらこどんぶらこと流れて行きよるな。
背後からコッソリ近づいて尾の根元を食いちぎる勢いで噛んでやったわ!
……あ、沈んだ。
こうして公園内の風紀を取り締まる我輩は同族どころか他の先住者達から拍手喝采の雨あられ(と自分では思っている)。
小さくて真っ黒な鼻だが、高々伸びまくっての超天狗気分!
イヤッハーッ!
{ガサガサ}
ムム!?
今度は木の上から怪しげな気配を察知!
その木陰から見える丸い小さな耳は小心者で弱者の証し!
いざ行かんっ!
{ピンポンパンポーン}
『臨時放送です。園内で開催されている移動動物園からライオンの子供が脱走しました。人に慣れてるとはいえ百獣の王の子供、安全の為にも発見したからと言って迂闊に近づかず最寄りの係員へ速やかにご報告ください。繰り返します……』
この後ライオンの子供は無事捕獲されるも、その爪には白黒そして赤といった三色の小さなボロ布がひっかかっていたそうな……。
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