第8話 営業ニャン(マン)ニャゴロー


 公園近くに謎の施設ができた!

 坂の病院マダムに囚われ様々な実験をされているうちに!


 とても大きな仕事を失った気分。

 悔しくてたまらない。


 まてよ?

 今からでも毎日訪問すればコボレ仕事の一つも請け負えるのではないか?

 そんなワケで偵察の意味も兼ねてご挨拶にでも行くとするか。



 その建物は巨大であった。

 坂の病院がチンケに見える程。

 

 正面扉は例の如く我輩では開けることのできないオートマティック。

 それならばと、散歩するふりをして建物外周を隈なく調べ回る。

 すると裏手で半開きの扉を発見。

 忍者も驚く忍び足でササさと内部へ侵入成功!

 ナイッス!


 それにしてもなんだかいい匂いが漂っているな。

 どうやらここは人間どもの餌を作る場所とみえる。


 しかしそれはこの透明扉向こう側での事。

 我輩のいる(隠れている)場所は……物置?

 

 この壁なんて土嚢みたいに積み上げられているな?

 どれどれ……


 {バリッ!}


 あっ!

 爪で簡単に破れた!


 {ザラザラザラ……}


 うぉっ!

 中からカブトムシの卵が!

 しかも超大量!


 これ程の命を袋に詰めて壁がわりに使うとは……なめるなよ人間!

 命を何だと思っておるのだ!

 いくら虫ケラとはいえ、まだ生まれてもいない命を!

 

 だが安心しろ!

 この我輩が今から貴様等全員を解放してやるからな!

 一生恩に着るのだぞ!



 公園の隣に出来た謎の施設。

 実は坂の病院マダムの御主人が経営する老人ホームであった。

 そしてニャゴローの侵入した場所は厨房食糧庫。

 もうお気づきの方も見えるだろう。

 ニャゴローが卵だと思ったのはズバリ米。

 それを救出するということはつまり……


 こうして食糧庫は一面が生米の海と化した。

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