M...untouchable

床町宇梨穂

M...untouchable

人間誰にだって絶対他人に否定されたくない部分を持っている。

それは、ファッションのセンスだったり、Sexのテクニックだったり、容姿の一部だったりする。

要するに自分が絶対的自信をもっている事だ。

それは必ずしも本当に優れている必要はなく自分自身がそう思っていればいい事だ。

いつも冷静で穏やかな人でも、その部分に触れると急に感情的になってしまう。

七福神だって彼らの能力を批判したら顔を真っ赤にして怒っていたかもしれない。

彼女にとっての否定されたくない部分と言うのは彼女の友達だった。

彼女はいつも僕に彼女の友達を自慢していたし、そういう友達を持った事を彼女自身が幸せだと思っていた。

今までに寝た男の数が自慢の子。

アルファロメオに乗ってる子。

クラブに行って口説かれるのが大好きな子。

ボーイフレンドが常時三人いる子。

CHANELのバックの数が自慢の子。

そんな友達たちだ。

確かに彼女の友達たちはみんな性格のいい子達ばかりだったけど、僕の彼女がその仲間の一人だと言う事に対しては、彼女が幸せだと思う様に僕は考える事ができなかった。

男女交際をする過程でお互いの友達というのは自分達が思っている以上に影響を与えてしまう。

そう、僕達の関係にも多大な影響を与えていたのだ。

「洋子がこの前寝た男の子、ポルシェ乗ってるんだって・・・。」

「由美がCHANELのバック買ってもらったんだって・・・。」

「理沙がこの前の土曜日クラブで4人に口説かれたんだって・・・。」

僕にそんな話をされてもなんて答えていいか分からない。

きっと彼女はただの日常会話として僕に話していたのかもしれない。

でも僕はそんな話を聞けば聞くほど彼女の友達が嫌いになっていった。

そして僕は彼女にその事を告げた。

「あなたには関係ない事でしょ。 私の友達なんだから・・・。」

今まで彼女が見せた事のない怒りの表情でそう言った。

別れは次の季節が来る前にやってきた。

僕は彼女の触れてはいけない部分に触れてしまった。

しかし今思い出せば、彼女は僕と別れるためにわざとその部分に触れさせたのかもしれない・・・。

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M...untouchable 床町宇梨穂 @tokomachiuriho

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