第6話 迷子から…

 瑠果くんがイタリアから戻ってきてから、少しだけ距離が開いていた。

 なかなか話しかけられずにいたとき、おばあちゃんにお使いを頼まれて、近所の知り合いの家におばあちゃんの手作り和菓子を持っていくようにと言われた。

「行ってらっしゃい! 夏海ちゃん」

「うん! 行ってきます!」

 無事に到着した直後、帰ろうとしたとき、おばあちゃんからもらったメモが風に飛ばされてしまった。

「ど、どうしよう。スマホすら、持ってくの忘れた」

 わたしはそのままいま来た道を戻っているはずなのに、全然見覚えのない町並みになっていく。

「ここ、どこ? どうしよう……」



 わたしは震える手を握りしめて、叫びたかった。

「だれか助けて!」



























 遠くからチャイムが聞こえてくる。

 もう……二時間近くが経ってるんだよね?

 五時半に鳴るチャイムが鳴ったなら、もう五時半になっていることだ。

「行かなきゃ、おばあちゃん家を探さないといけない」

 涙を拭いて、海の方に歩き始めた。



 聞き慣れた声がしたように思えた。

 少しだけ、走っていくと。

 すると、詩音ちゃんの声が聞こえた。

「夏海~!」

「詩音ちゃ~ん!!」

「いた!! 夏海~!」


 後頭部に衝撃と激痛が走る。

 後ろから誰かに殴られたのだ。

 そのまま、意識が飛び、意識を失った。

 誰かに抱えられた感覚が残っていた。
















 目を覚ますと、知らない場所にいた。

 どこかも不明で、後頭部に激痛が走るけど、それよりもここがどこなのかもわからないのが怖かった。

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