第5話 怒鳴り声
瑠果くんがイタリアに帰国していた。わたしはおばあちゃんと鈴乃ちゃん(母さんの妹で、現役の看護師でバリバリ働いてる)と一緒に行ったのは、夏祭りだった。
去年の誕生日プレゼントでおばあちゃんがくれた青地に黒の縦ラインに模様の入ったレトロな浴衣を袖を通した。
髪は下でお団子にして、親友の凪からもらった青と黒のリボンをつけた。
「イヤリング、似合ってるじゃない? これを瑠果くんに見せられないなんて、残念ね~夏海ちゃんの浴衣姿を送ってやるね」
わたしにルームメイトの詩音ちゃんが写真を撮ってもらい、浴衣姿の写真をLINEで送った。
「わぁ、詩音! 夏海もいたんだね?」
「凪! 久しぶり~!! 髪、伸びたね」
久しぶりに凪の元気な姿が見られて良かった。
カランコロンと、げたの音を響かせてそのまま夏祭りに行くことにした。
一年前は体調が悪くて、行けなかったんだよね。わたしはその頃、海が丘学院への編入学を考えていた頃だと思う。
「あのあとさ、前の学校が評判が悪くなってるらしいよ」
「え? そうなの?」
「らしいよ? いろいろ叩かれてるらしい。内部進学組にしか優遇しなかったから」
わたしはそのまますぐに瑠果くんに会いたくなった。
――イタリア、どんな感じかな?
一回、スマホで検索してみた。
ローマの街並みはとてもきれいで、とても行ってみたくなった。
瑠果くんが熱海に戻ってきたら、この前と違った。
「瑠果くん、どうしたの? 大丈夫?」
「うるさい!」
初めて、怒鳴るのを見た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます