第44話 フルメタルジャケット

「うぁぁぁぁぁぁあああ!!!!」

 ガトー少尉は、敵など無視して既に肉塊となったデイリッシュ少尉の所へ駆け寄る。

「クソッ!また厄介事か。」

 リーパーはM4A1を投げ捨て、ホルスターからG18Cを取り出し、ガトー少尉の所へ走る。

「デイリッシュ!おい、起きてくれよぉおお!!!」

 ガトー少尉はデイリッシュ少尉の身体を揺さぶる。

 その揺さぶった手には、べっとりと生暖かい血が付き、揺さぶるたびに血が出てくる。

「デイリッシュは死んだ。撤退するぞ。」

 リーパーは敵を射撃しながらガトー少尉を説得する。

「何でだよ!?どうしてアンタはッ!!」

 混乱しているガトー少尉はリーパーを攻撃しようとしたが、リーパーに脚を蹴られて崩れ落ちる。

 そして、リーパーは無理矢理ガトー少尉を引きずって味方の元へ戻る。

「おい!何すんだよ!離せ!離せって言ってんだよッ!」

 ガトー少尉は暴れるが、リーパーは無理矢理引きずる。

 リーパーはたまたま足元に落ちていた爆風で吹っ飛んだ血まみれのデイリッシュ少尉のドックタグを拾った。

「クソォォオオ!!」

 その隙に、ガトー少尉はリーパーを振りほどいた。

「いい加減にしろッ!」

 しかし、リーパーはG18Cでガトー少尉の後頭部を殴り、ガトー少尉を気絶させた。

 そして、気絶したガトー少尉を引きずり、オスプレイに乗せた。

「よし、出せ!」

 リーパーがパイロットにそう言った。

 その時だった―――、


「おーい。ちょっと待ってくれよ、『兄弟』。」


 施設内から、聞き覚えのある声が聞こえたのだ。

「おい、少し待ってくれ!」

 リーパーはパイロットに少し待つように伝え、オスプレイの離陸を止めさせた。

 リーパーはオスプレイから降りる。すると、施設の中からは―――、


―――プライスが出てきたのだ。レイにM1911の銃口を向け、敵を大勢連れて、、、。


「アンタなら待つと思ったぜ?兄弟。」

「プライスッ!」

 リーパーはプライスに銃口を向ける。

 すると、プライスの周りの兵士達がリーパーにM4A1の銃口を向けた。

「まぁまぁ、そう慌てないでくれ。コイツは解放するから、オスプレイに乗っけてどっかにやれ。アンタがここに1人で残るならな。」

「分かった、、、。要件を飲もう。」

「それでこそアンタだ。ほら、行け。」

 プライスはレイの背中を蹴って、リーパーの元へ走らせる。

「リーパー、、、。」

「話は聞いただろ。さっさと失せろ。」

「でも、、、。」

「早く行けってんだ!」

 リーパーはレイの腕にに1発撃った。

―――バァーーーーン!

「!」

 レイは驚いた顔をしている。

 そして、悲しい顔をしていた。


「さっさと行け。失敗作め。」


「、、、。」

 レイは、無言でオスプレイの方へ走って行った。

 レイがオスプレイに乗ると、オスプレイは飛び立ってしまった。


「何でお前はこんな事をしたッ!?」

 敵に囲まれているリーパーは、プライスに聞いた。


「俺は平和を望まない。」


 プライスはそう答えた。

「俺はストライク・ブラックによる世界の統治を望まない。一切戦争の無い世界なんてのは御免だね。」

「貴様ッ!」

「平和なんてのはつまらないだろう?人が人を殺す。素晴らしいとは思わないか?」

「サイコ野郎め、、、。」

「何言ってんだ?アンタもあんなに楽しそうにしてたじゃないか。殺しを、戦争を。」

「俺は理想の世界を作る事が目標なだけだ!お前とは違う!」

「その根本には殺しがある。殺しは人間の欲求であり本能だ。欲求と本能には逆らえんさ。」

「それで、お前は何がしたいんだ、、、?」

「最初にストライク・ブラックを潰す。だから、俺と来い―――」


「———『フルメタルジャケット』に。」


「それが、、、。お前の組織か、、、。」

「こんな世界初めからブッ壊れてんだ。とことん壊して遊ぼうぜ。」

 プライスはリーパーに手を差し伸ばす。

「俺もそれを望んだ時があったかも知れない―――、」

「だったら俺達と、、、。」


「——でもな、俺は約束したんだ。『世界を救う』ってなァァアア!!」


 リーパーはそう叫ぶと、G18C撃った。

 それに応戦するように、敵も一斉に攻撃をしてきた。

「交渉、、、決裂だな。」

 プライスは障害物に隠れてからそう呟いた。

「俺はお前達を1人残らず殺す!地獄に葬ってやるッ!」

 リーパーも障害物に隠れながらそう叫び、敵を撃つ。

「グァァッ!」

「撃たれたッ!か、カバーをッ、、、グハァッ!」

 リーパーは大勢いた敵兵士の数を1人———プライスにまで減らした。

「ハハハッ!良いぞ!これこそが戦争だぁあ!!」

 プライスもM1911をリーパーに撃つ。

「あぁそうだ!良い事を教えてやる!この勝負、俺の勝ちだ!」

「何だと!?」

「ほら、見ろよ!俺達の援軍だ!」

 プライスが空に指をさした。

 ヘリが近づいてきたのだ。

「クソッ!」

「しかも、お前の知ってる人間だ!ハハハッ!良いだろ?」

 リーパーはヘリを撃ち落とそうとした。しかし、今撃ち落とせば自分は下敷きになってしまう。

 そして、ヘリのドアが開いた―――。

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ストライク・ブラック @REYNE

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