第16話 EVER SKYs
リーパーはソコロフの部隊に合流する為に市街地を走っていた。そんなリーパーに何やら慌ただしい無線が入る。
『HQから全部隊へ!!繰り返す!!HQから全部隊へ!!敵の重爆撃機接近中!!市街地及び基地から退避せよ!!繰り返す!!市街地及び基地から退避せよ!!幸運を祈る!!』
―――敵の重爆撃機だと!?傭兵部隊は使い捨ての駒だったのか!?
「このままじゃサーシャが危ない!!」
リーパーは走るペースを上げる。
――――落ち着け。まず、サーシャを回収。そして、基地のコリブリのヘリで脱出、、、。ダメだ!!間に合わん!!しかも、上空にはMigが飛んでやがるっ!!
Migは未だに地上兵力に攻撃を行っているようだ。しかも、味方の航空戦力が無い為、大空を自由に飛び回っているのだった、、、。
『目標上空まであと少しだ。攻撃態勢に移行する。』
『了解。ウクライナ軍基地を重点的に爆撃し、市街地も焼き払え。』
『了解。』
Tu-95は高度を維持したまま、赤く燃えている街に向かって飛行している。
そんな時だった。
『なにぃ!?』
『どうした!?』
Tu-95のパイロットが驚いた声を上げる。
『て、、敵航空機を肉眼で補足!!れ、、レーダーに映らないだとぉ!?』
『我々の航空レーダーにも反応が無い!?』
しかし、パイロットにははっきりと見えた。目の前に編隊を組んだ戦闘機を。
『ヴァイスシュヴァルツ01より各機。これより重爆撃機に集中攻撃攻撃を行う。狩りの時間だ。白黒付けてやれ!!』
『『『了解!!』』』
編隊を組んだ戦闘機は散開し、Tu-95に襲い掛かる。その姿はまるで鷹のようだった。
『Tu-95よりMigへ!繰り返す!TuよりMigへ!攻撃を受けている!!あのハエを撃ち落としてくれ!!』
Tu-95のパイロットが街を爆撃中のMigに救援を送った。
『了解、、、。』
Migは向きを変えてTu-95の元へ向かった。
『あれだな。レーダーには映ってないが俺にははっきりと分かる、、、。』
MigはTu-95を攻撃している戦闘機に攻撃を開始する。
『新手だ!!総員傾注。敵のMigが接近。私と02はヤツを。残りは爆撃機を殺れ。』
『『『了解!!』』』
戦闘機の部隊は二手に分かれる。そして一方はMigへ。もう一方はTu-95の攻撃を行う。
『あの機体はユーロの連中だ、、、。ユーロファイターだな。ステルス機能付きの。丁度良い。同じ条件じゃねーか。』
Migは1機だけであったが、スピードは西側の戦闘機に劣っていない。
ステルスのMigは2機のユーロファイターに立ち向かう。
『ヴァイスシュヴァルツ01。敵、接近中です。』
ヴァイスシュヴァルツ01についてきたヴァイスシュヴァルツ02は、警告をする。
『肉眼で補足出来ている。さぁ、行くぞ。』
『了解。』
2機でMigを袋叩きにしようとするも、
『東側の機体だと思ってなめていたが、、、。意外とやるな。』
Migは追いつかれること無く、逃げ回っては突っ込んでを繰り返している。
『おい、ヴァイスシュヴァルツ02。こんなんじゃあアメリカのF-35には勝てないぞ。』
『了解。』
ヴァイスシュヴァルツ02は舌打ちをしそうになったが、流石に隊長であるヴァイスシュヴァルツ01に聞かれたらMigもろとも撃墜されかねないので、心にとどめた。
『エンジン損傷!!機内でも火事発生!!高度600を切った!!クソッ!!もう持たないっ!!HQ!!爆撃は失敗!!繰り返す!!爆撃は失敗!!フェーズ『フルシチョフ』に移行しろ!!』
『こちらHQ。了解。機を捨てて脱出しろ!!』
『了解!!』
Tu-95のパイロット2人は急いでコックピットのシートから立ち上がり、備え付けのパラシュートを着る。
「早くハッチを開けろ!!」
「やった!!開いたぞ!!」
機内で火事も起こっているTu-95から乗っていたパイロットが脱出する。高度がそんなに高くない為、ハッチを開けてからいきなり外に飛び出すという事は無かった。
2人は脱出をする。
「空から面白いモンが落ちてきたな。」
歩みを一旦止め、地上から見ていたリーパーはTu-95から誰かが降下しているのが見えた。
そして、自身の装備しているG18Cの拡張マガジンを抜き、ノーマルマガジンを装着する。
そのマガジンの中には遠距離強化用9×19mmが入っていた。
「一応持っておいて良かったぜ。」
1度スライドを引いて装填されていた通常弾を排莢する。そして、もう一度スライドを引いてこの弾を装填する。
「さて、届くかな。」
リーパーは空から降ってきた大きなパラシュートより照準を少し上めに合わせてトリガーを引く。
「うぁぁぁぁぁあああ!!!」
「当たった。」
見事ヒット。鴨が空高くから落ちてくる。パイロットは高度からの落下によって死亡した模様。
「うぁぁぁああ!!た、助けてくれぇぇぇえ!!」
「ばーーん。」
リーパーはもう一方のパラシュートも撃ち抜く。このパイロットも死んだだろう。
「いちいち装填し直すのが面倒なんだよな。」
銃からマガジンを抜いてさっきと同じ手順で今度は拡張マガジンを装填する。
「まだ終わった訳じゃない。パーティーはこれからだ。多分な。」
リーパーは走ってソコロフ達の所へ向かうのであった。
『やるな!ユーロ空軍っ!』
『クソッ!しぶといMigだ。』
その頃、空中では激しいドッグファイトが行われていた。
『貰ったぁ!!』
ヴァイスシュヴァルツ02の機体の後ろをMigが獲る。
フレアはさっき使ったためしばらくは使用出来ない。絶体絶命だ。
『死ねぇ!!』
『終わった、、、。』
Migはミサイルを発射する。周りに阻害物は無く、熱感知ミサイルにロックオンされている為、回避運動は恐らく効かないだろう。
ミサイルが着弾する―――。その時だった。
『パルス起動っ!!私の部隊は殺させないッ!!』
『なにぃっ!?』
ヴァイスシュヴァルツ01が何かのパルスを起動させる。それにより熱感知ミサイルは無力化され、ヴァイスシュヴァルツ02は熱感知ミサイルの餌食にならずに済んだ。
『えぇぇぇええ!!この空で散れぇぇえええ!!』
ヴァイスシュヴァルツ01はMigのケツを獲り、ミサイルを発射する。
『フレア!!』
Migはフレアを発射する。しかし、ミサイルはMigを追いかけ続ける。
『何故だ!?何故フレアが効かないっ!?』
『残念だったな。レーザー誘導ミサイルだ。』
レーザー誘導されたミサイルはMigを追いかける。
『チェックメイトだ。この空で散れ。』
『アハハハ!!アハハハハ!!俺の死に場所はこの大空だぁ!!何も邪魔する物が無く、永遠に汚されないこの空なんだぁぁああああ!!』
ミサイルはMigに着弾する。そして、美しくも悲しい炎に変わった。
『こんなんで良かったかな?何しろレーザー誘導は初体験なんでね。』
ヴァイスシュヴァルツの部隊内無線にリーパーはの声が入る。
リーパーは地上から自身のインターフェースでMigをロックオンしていたのだ。
『余計な仕事だリーパー。お前がスポットしなくてもあんな雑魚は俺達で墜とせたぞ。』
『ハハハ!!そいつは失礼した。ヴァイスシュヴァルツ02。』
『そのコードネームで呼ぶな!!』
『ヴァイスシュヴァルツ02。友軍には感謝しろ。』
『チッ、了解。』
『ありがとうリーパー。礼を言う。ありがとう。地上の死神。』
『なに。大した仕事じゃ無かった。こっちこそ
悪いな。遠くまで来てもらってんのに死に晒して。』
『いいや。我々は空が大好きだ。空で散れるならパイロットにとってそれは幸せだ。』
『地上部隊の俺には空の事は分からねぇや。それじゃあ通信を切る。おつかれさん。』
『そっちこそ、地上兵力はまだ残ってるから頑張れよ。』
リーパーはその言葉に引っ掛かった。
『地上兵力が、、、。残っている、、、。だと!?』
『あぁ、敵の増援部隊らしい。ウクライナ軍と交戦中だった為、空爆によるフレンドリーファイヤを考えて空爆は出来ないがな。現在戦闘中だそうだ。』
―――知らぬ間に地上部隊が地上から来たのか!?クソッ、大事な所を見落としてた!!
『悪いな!!俺は忙しくなりそうだ、、。一応近くの空域を回ってから帰ってくれ!!敵の航空機が居たら厄介だからな。』
『了解!!それじゃあまた会おう!!』
ヴァイスシュヴァルツからの通信が切れた。次にソコロフからの通信が入る。
『リーパー!!敵歩兵部隊と交戦中だ!!急いで来てくれ!!』
「分かった!!すぐに行く!!」
リーパーは再び走り出した。
―――空は良い。何も無いから。邪魔する物も無いし汚される事も無い。地球が誕生してからずっと変わらないのは空だけだと、私は信じている。
そして私はパイロットとしてこの空を駆ける。こんな綺麗な空の様な心に、私はなりたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます