第12話 メタリカの歴史

 統一国家メタリカ。

 有史以来人類が初めて到達した、大陸を超えた一大国家。

 同時に世界の名前もメタリカとし、この年をメタリカ0年とした。


 統一国家メタリカの合意に至った理由は簡単。

 世界中にダンジョンが現れてたから。

 正確にはダンジョン内部のモンスターに機械兵器が通用せずに、各地で魔物の氾濫が発生。

 東西南北4つの大陸で人類が激減し、中央大陸に逃げ隠れるしかなかったから。


 口だけの指導者は現場を知らずに見当違いの指示を出し。

 現場の指揮者は1人でも多く助けようと、駆けずり回り叫び続ける。

 僅かに残った人命と土地を捨てさせる指導者の人気は落ち、逆に指揮者の人望は膨らんでいった。


 指揮者は人々に請われ指導者となり、新国家メタリカを樹立。初代大統領となる。

 大統領は現場で得た知識と経験を元に、対モンスター専門の戦士の育成を開始。初年度から成果を上げる。


 モンスターに火器は効果がなかったが、銃で殴れば死んだ。

 理由は不明だが弓なら効果があった。

 誰かが、命の宿らない攻撃に意味はないと呟いていたらしい。

 自ずと使用される武器は、近代兵器から剣や槍へと後退。

 戦士達はモンスターを狩る者…ハンターと呼ばれる様になっていた。


 大統領の考案したハンター養成プログラムは大成功。

 中央大陸はダンジョンが発生し、四方の大陸がモンスターに奪われてから17年で取り戻した。

 まだダンジョンが発生してから短く、中層にも届いてなかったから成し得た。


 モンスターを排除してから中央大陸は目まぐるしい発展を遂げた。

 密集していた人口は大陸中に広がり、農業を始めとした食料の増産を開始。

 同時に四方大陸の奪還に向けて大量輸送船の建造も始められた。



 ハンター達は北の大陸から順に東、南、西と大陸を奪還。

 人類に有益なダンジョンだけを残して、他は全て殺して回った。

 5大陸全てが人類の手に戻るまで78年の月日が流れた。


 そしてこの年。

 西大陸の田舎に住む忍野夫妻に、念願の第一子が生まれた。

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