第2話

「ちょっとコンビニ行ってくる。」

「私ミックスゼリー!」

「はいはい、後で倍額もらうからね。」

そんな冗談を交えながらも玄関を開ける。季節は冬。流石に夜はかなり冷える。身震いしながらコンビニへ足を進める。

(特別支援学校…。あそこは確か国家管理下の学校だったはず。それはどうでもいい、俺の情報はどこから漏れたかだ。バレたってことだよな、ということは何かしらの接触があるはず。それが今のところはない。完全にはバレていないのか?)

そんなことを考えながらも、目的のコンビニに着く。自動ドアを抜け、炭酸飲料と頼まれたミックスゼリーを片手にレジへ進む。代金を支払い、コンビニを後にする。しかし、出口でロングコートに身を包んだ男に声をかけられる。

「榊原 律君だね。少しいいかな。」

(こいつ、接触者か。逃げるか…?いや、逃げても怪しまれるな。)

「どちら様でしょうか。」

「手紙は見ていただけたかね?」

(やはり接触者か。場所が悪いな…。)

「いえ、まだ見ていませんが、送り主さんでしょうか?」

「ええ、私が出したわけではありませんが内容は知っています。まだ見ていないとのことなので、内容を話しつつ私の本題をお話ししようかなと。」

(関係者…。ならはぐらかして帰ろう。)

「そうでしたか、ですが時間も遅いので時間を変えて頂きませんか?明日も早いので。では。」

軽く会釈し、男の前から去ろうとする。

「そうはいかない。君のことは知っている。さて、付いてきてもらおうか。」

軽く笑みを浮かべながら話す男はコンビニに停めてあった車へ案内する。

(くそ、面倒なことになったな。ここでやるか…?いや、ここだとさらに面倒になるな。)

「わかりました、時間は本当にないので簡潔にお願いします。」

そう答え、車の後部座席に乗り込む。続いて男も同じ後部座席に乗り込みエンジンがかかった。車が進むと男が口を開いた。

「君はこれまで隠し通してきたつもりだろうが、そうは甘くない。君がやったこと、君の持っている力。」

「なんの事でしょう。僕は両親を失い、妹と暮らしているただの学生です。」

「言っているだろう、我々はそう甘くはない。君があの日得た力で両親を殺したこと。あの雨の日、君は両親を殺し、自由を得た。その自由は楽しいかな?」

男の言葉が終わると同時に、隠していた力を使う。それは何年も使わず、誰にも話さず、ただ自分の中に隠してきた力。手の平から生み出したナイフで男の首元へ向ける。

「なぜそれを知っている、答えなければ喉を切り裂く。」

この状況で男は笑みを浮かべながら言葉を吐く。

「我々の情報力をなめないでくれ。全て把握しているよ。なぜ君が両親を殺したのか。そして、隠しているもう一人の…。」

男が全てを話す前に喉元のナイフで一気に切り裂こうとする。が、持っていたナイフは手から消えていた。そのナイフは男の手に握られていた。

「さて、時間が内容だから簡潔に話そう。」

男はナイフをこちらへ向け、こう告げる。


「我々は世界を変える。それに協力してほしい。」

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