第18話

 とうとう違う世界のほうでインターンシップ当日を迎えた。

 なんと保育園は詩のほかに誰も来なかった。

 つまり俺たち二人だけなのである。


「楽しみだね。保育園」

「そうだな‥‥‥」


 俺は楽しみではないが。

 徒歩で目的の保育園まで進行中。

 駅の方にあるため、保育園の場所は街の中心部にあるみたいだ。

 名前は聖教保育園。いかにも神様を彷彿させる名前である。



 しばらく歩くこと三十分。目的の保育園に到着。

 保育園の隣には屋根の上に十字架を背負っている建物、誰がみても教会と言わしめるものがそびえたっていた。

 これはもうそういう保育園なのだろう。あんまり見かけない保育園ではあるが。

 入口の前にはもうすでに先生たっていた。


「お待ちしておりました。浪尾高校の方ですね?」

「はい。今日から一週間よろしくお願いします」

「では軽く自己紹介からしましょうか。私はこの保育園の園長、東条です」


 そう名乗った東条さんの見た目は、マダムの一言に尽きる。

 そこまで派手な服ではないが、立ち振る舞いや雰囲気、首に高そうなマフラーを巻いている時点でそんな感じがする。

 この人『園長』は副業だろ。本当はどっかのファッションデザイナーでブランド店を何個も構えているだろ。

 コシノ姉妹みたいに。


「春花詩です。こちらで一週間お勉強させていただきます。よろしくお願いします」


 詩の丁寧なあいさつに先生もにこやかになる。

 つづいて俺の番。


「天沢周です。今回二人しかいませんが精一杯頑張りますのでよろしくお願いします」


 俺は詩みたいに丁寧なあいさつはできない。俺から言わせればこれでも十分丁寧だと思うが。


「じゃあ今日から担当してもらうクラスを案内しますね」


 そういうとすぐに俺らの前にでて歩き始めた。


「ここが春花さんが担当するたんぽぽ組です。4、5歳児の年長組ですので元気な子がいっぱいます。たくさん触れ合ってくださいね」

「はい。よろしくお願いします」


 渡されたエプロン羽織ってたんぽぽ組へ、詩のエプロン姿なかなかいい。


「次は天沢君が担当するひまわり組です。ここは3、4歳児の子の年中組で5歳児に負けず劣らず元気な子がたくさんいますから、春花さん同様いっぱい触れ合ってくださいね」

「了解しました。頑張ります」

 

 詩と同じくエプロンを渡される。

 エプロンを着る機会なんて滅多にないからちょっと恥ずかしくてソワソワした。

 その後俺たち二人はそれぞれのクラスの部屋に向かった。

 正直なところ子供はそんなに得意ではない。

 嫌いではないが、慣れてしまえばという感覚だった。


「いくら相手が園児とは言え、結構緊張するもんだな」

「そんなに緊張しなくてもいいんですよ。子供は大人とか関係なしに接してくれますからそれに合わせればきっといい関係になりますよ」


 俺の独り言にひまわり組の先生が反応し、フォローしてくれた。

 意を決して子供達のところへ行く。

 

「今日から一週間頑張るか」


 詩とお互いにうなずき、それぞれの場所へ別れた。

 


 

 

 


 

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