20.地下迷宮

おいおいマリアどういう事だ!? 俺は翌朝森の中を歩きながら、常に昨日の夜のマリアの言葉が引っかかっていた。


 いや引っかかっていたより、衝撃的すぎて仲間の声が俺の脳内に残らない。


 何だよ転生者って!? 俺以外にもこの世界に異世界転生したのか? 時間軸はどうなっている。


 早速マリアに聞こう。


 「おいマリアどうなっている昨日の話だが」


 「今忙しいですイズモさん。また後で連絡お願いします」


 「おい何が忙しいだ、せめて一つだけ答えろ」


 「まあ一つだけならいいですよ。それで何ですかイズモさん?」


 滅茶苦茶嫌々だな。まあ聞けることは聞いておこう。


 「俺以外の異世界転生した美少女とやらの時間軸はどうなっている?」


 時間軸というか、何というか、まあ難しく考えるとあれだが、とにかく年齢が気になる。


 「ええとですね、イズモさんより後に異世界転生しましたので年齢的には本来ならイズモさんより年下の筈なんですけど、システムエラーにより恐らくイズモさんと同い年かと」


 やっぱりか。予想はしていたが、これは面倒くさいことになりそうだな。


 「何で俺以外を異世界転生させたんだよ。面倒くさい事態を引き起こすことになるだろうが」


 「いえ悲惨な死に方をしていましたものでつい同情してしまいました」


 「もういい後で連絡する」


 「はい分かりました。私も上からの連絡が入っておりますので失礼します」


 上!? マリアより立場が偉い存在がいるのか!? もしかしてAIか?


 

 俺は頭にもやがかかった状態で、必死に歩きながら森を抜けた。


 「イズモ様大丈夫ですか? 先程から元気が無いようですが」


 「大丈夫だ心配ないよ」


 「ならいいのですが、あまり無茶はなさらずにお願いしますね」


 「ありがとう」


 流石に長年一緒だっただけはあり、俺のことをよく観察しているな。変態メイドとしての一面以外にも優秀な一面があるのがラミルだ。


 「イズモさんあれがダンジョンです」


 おお何やら古代遺跡のような場所が見えてきた。結構小さいが、中はどうなっているのだろうか。


 中に入ってみよう。


 古代遺跡のようなダンジョンに足を踏み入れると、何やら地下に続く階段が存在した。


 地下迷宮!? これは楽しそうなダンジョンだな。


 俺達は地下へと続く階段を降りていき、ダンジョン攻略を始めた。



 「モンスターがいませんね」


 「ああいないな、一応警戒しておけよ」


 「はいイズモ様」


 一本道の薄暗い通路をひたすら歩いていく。壁の感触を確かめたところ特に異常は見当たらなかった。


 大抵こういう場所の壁や床には罠が仕掛けられているんだがな。どうやら存在しないらしい。


 

 「道が2つに別れたわよ。どうするイズモ?」


 うーんこれは困ったな? 全員で一本の道を行くのが安全だが、逆に罠かもしれないし、何より大幅な時間ロスとなりそうだ。


 ここは俺とその他で分けよう。理由は俺は一人でもなんとかなるし、ラミルとミリアは中級者以上はある。スノウも何だかんだ強いだろうし、アフィアとミラも俺が出会った当初よりは強いだろう。


 「じゃあ俺は右を行くから、左側を頼む」


 「イズモさん大丈夫ですかお一人で? 私も」


 「いや左は恐らく安全だから頼む。俺は強いから右側を一人で行くよ」


 「何か足手まといの扱いをしていませんか?」


 アフィアが俺と一緒に行動したいのか睨んでくる。しかし仲間を失う訳にはいかない。


 右側は明らかに異様な気配を感じる。対して左側は何も感じない。恐らく左側は行き止まり、若しくはアイテムだけが存在する。


 対して右側はダンジョンボスか若しくは得体の知れない何かが存在する。


 「じゃあまたここで待ち合わせしよう」


 こうして俺たちは一旦別れた。



 「イズモさん少しいいですか?」


 「ああいいぜ少しなら」


 マリアか、忙しいマリアが俺に何の用だ?


 「AIから話を聞いたところ、異世界転生者同士は惹かれ合う運命らしいです。なので協力してくださいね」


 惹かれ合うだと!? それはどういう意味だ。まさか恋に落ちるとか!?


 だったらハーレム気づけないだろうが。


 「協力って何の協力だよ?」


 「一応この世界にもエンディングがあるらしく、魔王を倒すとエンディングが流れます。エンディング後の隠し要素については今は触れませんが」


 「つまり魔王を倒せと協力して?」


 「そうですね。ここがゲーム世界のような世界だと知っているのは転生者だけですから」


 「出会う確率は?」


 「それは運命なので問題ありません。きっと運命的な出会いを果たしますよ」


 「だといいけどな」



 俺はマリアと連絡を終えると、ダンジョンの最奥地に辿り着いた。そこで一人の老人が待ち構えていた。


 「よく来たな少年よ。少し話そうではないか」


 誰だ!? 得体の知れない老人が俺の目の前で小さな椅子に座っている。


 俺はこの後重大な情報を得ることとなる。

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レベルカンストとユニークスキルで異世界満喫致します 風白春音 @darkblack

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