19.宝の地図

スノータウンで多くのクエストをこなして俺たちは潤沢じゅんたくな資金を手に入れた。


 さてエルフの森へ向けて出発だ。とは言ってもエルフの森がどこにあるか分からない。


 言い出しっぺのスノウもエルフの居場所を分かっていないようだ。これは困ったな。


 「ここから更に北にあるダンジョンに行きたいです。ハートのアクセサリーが欲しいです」


 「ダンジョンか、よし行くか」


 アフィアの提案に俺は同意した。ラミル達も同意してくれたので北にあるダンジョンに向かった。


 

 北にあるダンジョンへ向かう途中大きな森へと足を踏み入れた。


 バード型のモンスターや虎などが生息していた。折角だティルフィングの威力や使いやすさを試すか。


 ティルフィングは見た目通り軽い。俺は黒い鞘から抜剣して黒刀のティルフィングをモンスターに向かって構えた。


 やっぱり格好いい。鋼の剣とは比較にもならない格好良さだ。昔ゲームのレア武器に憧れたことがあったな。


 俺はティルフィングをモンスターに向かって振りかざした。モンスターは一瞬でアイテムへと変わった。


 おお軽い割に威力が凄い。これはいい武器だ。そして何やら俺の魔法力を吸収して威力に変えているようだ。


 通常の魔法力の持ち主であれば一瞬で魔法力を奪われて死に至るだろうな。いやそもそも魔法力を全て失ったらどうなるんだ?


 俺はいつも通り駄女神マリアに聞くことにした。


 「マリア聞きたいことがある」


 「今アニメの休憩時間なので問題ないですよ」


 「何のアニメを見ていた?」


 「今季はラノベ原作アニメを見ていましたね。硬派なアニメはまだ見ていません」


 「お前WEB原作のアニメは見るの?」


 「見ますよ。テンプレ物は大好物ですので」


 意外と話が合いそうだな。


 「この世界にも漫画やアニメって存在するの?」


 純粋な疑問だった。通常ファンタジー世界の舞台は中世風ヨーロッパを舞台にしたものが多い。だがこの世界はAIが創造主だ。地球の文化を取り入れていても驚きはない。


 「ええと少し待ってくださいね」


 マリアでも一々調べるんだな。管理者権限を持っているとは言え、やはりこの世界全てを知ってるわけではないんだな。


 「ああ、ありました。地球の文化を取り入れている都市が複数存在します。最もレムリア大陸ではありませんけど」


 レムリア大陸以外にも大陸があるのか!? どんだけ広大なんだよこの世界。


 そしてやっぱりあるのか。これは少し楽しみになってきたな。変態メイドラミルがどんな反応するか楽しみだ。


 腐女子になりそうなイメージだが、それはそれで楽しみだ。


 そして俺はハーレム作りを目指しながらオタク趣味を堪能できるわけだ。レムリア大陸を全制覇したら次の大陸に行こう。


 「聞きたいことはそれだけですかイズモさん?」


 「いや魔法力を全て奪われたらどうなるのかなと思ってな」


 俺に関してはあり得ないが他の仲間はあり得るからな。


 「魔法力をすべて失うと死に至ります。この世界では消失しますね」


 「やっぱりそうか、てか消失ってこの世界はデータなのか?」


 ゲーム世界と瓜二つなこの世界はデータでできている可能性が高い。


 「いえどうでしょうか。地球もデータの塊でも可笑しくはありませんよ。仮想現実の可能性だってあるわけですから」


 ああそんな説があったな。宇宙を数式で表せられるとか、それが奇跡だとか。偉い学者の考えていることには頭がついていかない。


 「てかお前ならこの世界がどうなっているのか俺が生きていた地球も含めて知っているだろ?」

 

 「さあどうでしょうか、私は管理者権限を持っているに過ぎませんから。まあ偉いんですけどね」


 俺はシュミレーション仮説について考えた事が学生時代にあった。当時からオカルト好きでそういうロマンある説にも興味があった。


 まあ理解できる頭を持ってはいなかったが。


 確か4つの力が宇宙には存在していて、重力、電磁力、弱い力、強い力の4つだったな。僅かでも狂えば生命の誕生が無かったと記された記事を目にしたことがあるが、この世界でもやはりAIが精密に作っているのだろうか?


 まあバグも多いんですけどね。


 「魔法力を失うと死ぬんだな、ありがとう」


 「はい。なのでティルフィングを絶対仲間に譲渡するのは駄目ですよ。私はイズモさんに異世界生活を満喫してもらい、幸せになってほしいので」


 「ありがとう、また何かあれば連絡する」


 「はいはい、では私はアニメを見ますね」


 

 森の中で一日野宿することとなった。生産スキルで木材の家を作り、食べられそうなモンスターや野生の馬がいたので、燃料石を使用して、火を作り出し、炙って食べた。


 「おいしいです」


 「美味しいわね」


 「イズモ様美味です」


 「イズモ美味しい」


 「イズモ美味しいわ」


 おおどうやら大好評のようだ。バード型のモンスターの肉は鶏肉の味だ。焼き鳥のように塩をふって食べた。


 塩は生産スキルで地面から抽出した。


 さてトイレがしたい。俺は一人抜け出してトイレを大きな木の裏でする。


 あれ!? 何かアイテムが落ちているぞ。何のアイテムだ?


 俺はドロップしているアイテムを拾得すると、何と宝の地図だった。


 「ラッキー、でも何でだ」


 俺は思わず大きい声で独り言を呟いた。


 何でこんなところに落ちているんだ。


 『イズモ様これは誰かが落としていった宝の地図ですね』


 うぉ!? びっくりした。いきなりマリアの自動音声が聞こえたから。


 誰かが落としていった!? こんな大事なアイテムをか。


 俺は思わずトイレを終えて草むらの下の方を見てみると、何やら人の足が見えた。


 「まさか死体!?」


 俺は慎重にその足を掴み引きずり出すと、中年男性の死体があった。そして直後死体が消失した。


 死体が残っていたのは何故だ!? バグか?


 「おいマリア今いいか? アニメを見ているだろうが」


 「リアルタイムなので駄目です」


 くっそ、やはり駄目だったか。この駄女神が。


 まあいい宝の地図を使用してみるか。


 「宝の地図を使用する」


 『畏まりました。宝の地図を使用ですね、宝の情報を表示します』


 

 =====================



 アイテム名


 不死薬フェニックス


 ※これを使用すると不老不死になれると言われている薬である。


 ※レムリア大陸には存在しない。ある研究者が情報の手がかりを持っている



 ======================



 レムリア大陸には存在しないのかよ。まあ何となく予想はついていたけどね。


 そして前の宝の地図より重要な情報が記されているな。ある研究者とは誰の事だ?


 「マリアどうしても聞きたい事があるんだが?」


 「CMですのでいいですよ」


 「宝の地図にレア度は存在するのか?」


 「はい存在します。もしかしてレア度記されていませんでしたか?」


 「ああ記されていない」


 「分かりました。アニメ見終わり次第アップデートしておきます」


 「頼んだぞマリア」


 やっぱりレア度が存在するのか。予想通りだな。



 俺がトイレを終えて戻ると、夜遅くに食事をしたからなのか生産スキルで建築した木材の家の中で全員眠っていた。


 さて俺も寝よう。いや待てよ閃光弾だけ作っておこう。


 俺は光石と燃料石と金属石を併せて閃光弾を製造した。


 「ステータスオープン」



 ★閃光弾×5



 よしできたな。さて寝るとするか。


 その晩マリアに俺は起こされた。


 「イズモさん、貴方と同じく地球で悲惨な死に方した美少女が異世界転生しました」


 は!? 俺はその衝撃的な一言で目が覚めて眠れなくなった。

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