16.スノータウン

寒っ、寒いぞ。急に寒い地域にやってきた。これがスノータウンなのか。


 入国する前と入国した後の温度差が半端ない。日本で例えるなら沖縄と北海道ぐらいの温度差だ。


 何故ここまで温度差が変わるんだ? 不思議で仕方がない。


 「イズモここがスノータウン。色々な情報が手に入る、ひんやりしていて気持ちいい」


 ミリア、ひんやりのレベルじゃないんですが。そしてレベルカンストでも寒さは感じるようだ。


 先ずはスノータウンで宿を取ろう。スノータウンを観光したい。


 スノータウンは凄く美しく綺麗きれいな都市だ。常に雪が降り注いでいるのに、決して雪が積もることはない。


 「マリア、スノータウンの仕組みはどうなっている?」


 「マリアは眠いです」


 女神でも眠るんだな。そして相変わらずの駄女神っぷり。


 「眠る前に答えろ」


 「スノータウンには雪を降らす真っ白の美少女がいるとされています」


 何!? 真っ白の美少女だと。肌が真っ白なのか? アルビノなのか?


 スキルで雪を降らしているのだろうか? 面白い都市だな。


 「ここには幸運の種がありますよ」


 マリアは眠いのか急に寝落ちしやがった。連絡が途絶えた。


 そしてさらっと重要な事言ってるんじゃねーよ。幸運の種がこのスノータウンにあるのかよ。ゲットして幸運を上げるぞ。


 

 見た目が中々豪華で食事付きで意外と安い優良物件を見つけた俺達はそこを取り敢えずの滞在場所に決めた。


 部屋も広くキングサイズのベッドが2つある。これなら一部屋で全員が泊まれそうだ。眠るときはラミル以外と寝よう。殺される可能性があるからな、寝相の悪さで。


 「これからどうしますかイズモ様」


 うーん、取り敢えずこれといって目的はないんだよな。強いてあげるならマリアが言っていた真っ白な美少女をひと目みたいな。


 「何かしたいことあるか?」


 意見をつのった結果、アフィアとミラは俺と共に観光したいと言ってくれた。うん順調に好感度は高まっている。


 ラミルはイズモ様に付き添うと言ってくれた。ミリアは雪を見るのが初めてなのか、雪を見て興奮している。まるで子供だな。


 あ、ちなみにミリアの年齢は14歳だ。俺より一つ年下だ。それに14歳なら十分子供だろうな。


 結局全員で行動することにした。先ずは冒険者ギルドに行くとするか。冒険者ギルドの一階に併設されている食堂でお腹を満たそう。



 「こちらが牛肉のステーキになります」


 まさかこの世界にも牛が存在して牛肉のステーキが食べられるとは思っていなかった。


 まあイノシシがいたんだ、牛が存在しても不思議ではないよな。


 「いただきます」


 美味しいな、流石にステーキは美味しい。口の中で肉の柔らかさが充満に広がる。


 ああ幸せだ。さあデザートを食べるか。


 スノータウンの名物雪国のフルーツパフェ。凄く美味しそうなパフェだ。


 「ミリア口にパフェのクリームがついているぞ」


 「とって」


 仕方ねえな。俺はミリアの口をウェットティッシュで拭いてあげる。


 純粋無垢な美少女だな。何故に宝箱で眠っていたのだろうか? まあここはAIが作った世界らしいし、意味があるかは分からないが。


 「変態イズモさん。私も口についています、クリームが!!」


 「私もついているわ!!」


 そんな真剣な表情で強調して言われても、自分で拭けるだろ。


 いやこれは嫉妬か!? ミリアに対して嫉妬しているのか。


 だとしたらハーレムを気づく上で面倒くさいことになるぞ。何せドロドロした関係でも持たれたら困るからな。


 平等に愛してあげよう。まあ全員可愛いからな、誰一人として手放す気はない。


 まあ約一名俺に恋愛感情を持っていない美少女がいますが。


 ラミルのハートを射抜くのは非常に難易度が高い。どうにかしなければな。


 俺はアフィアとミラの口を拭いてあげる。二人は満足した様子な表情を見せていた。



 食堂で食事を取り終わり、俺は何かいいクエストがないか見ていると、突如脳内で声が聞こえた。


 マリアじゃない!? 誰だ。


 「助けて」


 凄く透き通った可愛い声で、声だけで鮮明に全体像のイメージが浮かぶ。


 「誰だ!?」


 「私の名前はスノウです。ここスノータウンの雪を降らしている人物です。もう雪を降らすの疲れました、代わりに雪を降らして下さい」


 はい!? 何の話だよ。助けてって誰かに襲われているとかじゃなくて、雪を降らすの疲れたから変わってくれってことか?


 「どうすればいい、どこにスノウがいる?」


 「ここスノータウンには神聖な神殿があります。そこにずっと神のような扱いとして私がいます。いい加減神でもないのに雪を降らすのに疲れました」


 ああ理解した。つまり民の願いを叶えてる状態なんだな。ここスノータウンが腐れないように観光名所として存在するためにスノウが必要だと。


 「分かった神聖な神殿に行くから待ってろ」


 「ありがとうございます。早めにお願いしますね」


 頼んでいる立場なのに図々しいやつだな。まあ可愛ければ何でも許すが。


 スキルで雪を降らしているのだろうか? だとすれば解決策はある。


 解決策は簡単だ。レベルカンストでユニークスキル視認強奪ストックを持っている俺ならスノウから雪を降らすスキルを奪い、俺がこの都市に雪を降らし続けるという作戦だ。


 何せ魔法力∞ですから。問題は遠隔でスキルを使用できるかだな。マリアに聞くか。


 「マリア今大丈夫か?」


 「おはようございます。何ですかイズモさん」


 ああそう言えば寝てたなマリア。起こしてすまない。


 「遠隔でスキルを使用し続けることは可能か? 魔法力が∞の俺なら」


 「はい可能ですよ。Aという場所にいながらBという場所でスキルを使用し続けることがイズモさんには可能です」


 おおこれは便利だな。そして俺の推測が正しかった。


 「ありがとう」


 「いえいえ、では私はタピオカミルクティーを飲みますので」


 「あれ美味しいのか?」


 「美味しいですよ。原価も安いですし」


 「いや購入者側に原価は関係ねえだろ」


 「まあそうですが、とにかく美味しいんです」


 まあ飲んだことが一度もない俺には味は分からないが、人気らしいからな、美味しいんだろう。


 パンケーキのような一過性のブームとも考えられるが。


 「是非味のレビューをいつか頼む」


 「はい分かりました。頑張ります」



 さて神聖な神殿に行きますか。綺麗な西洋風の建物が並ぶこの雪降る都市を観光しながら。


 あ、そう言えば宝の地図を見ていなかったな。見てみるか。


 俺はアイテムボックスから宝の地図があることを確認し、宝の地図を使用した。


 まあ使用しても消えることはないんだが……ないよな?


 「宝の地図を使用する」


 『畏まりました。宝の地図を使用ですね、宝の情報を表示します』


 

 ======================



 アイテム名


 不死薬フェニックス


 ※これを使用すると不老不死になれると言われている薬である。


 どこかのダンジョンに存在するがこの宝の地図ではそこまでは記されていない。



 ========================



 は!? それだけだと!? この宝の地図では宝の在処ありかが具体的に分からない。


 考えが甘かった。まあそりゃそうだよな。そんな簡単に不老不死になれるアイテムが手に入るなら、貴重な薬ではないよな。


 『この宝の地図の情報はいつでもステータスボードで確認できます』


 そして宝の地図はアイテムボックスから消失した。


 さて気を取り直して神聖な神殿に行きスノウを救おうではないか。

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