15.盗賊

俺たちは今雪降る都市スノータウンに向けて冒険している。スノータウンに行くにはエルグランから北へまっすぐ進むしか無い。


 途中何故か砂漠が存在するらしい、いや存在しやがった。


 「イズモさん疲れました、暑いです」


 「私も右に同じ。喉かわいたわ。水余ってたっけ?」


 水はエルグラン出国前に大量に買っておいた。


 「ほら、水なら沢山あるぞ」


 「ありがとうございますイズモさん。イズモさんが変態ではなく天使に思えますよ」


 「右に同じ、また一緒にお風呂に入ってあげてもいいわよ」


 水をあげたのに、酷い言われようだな。何か棘がある言い方だぞ。大体変態は俺じゃなくラミルだ。


 「ラミルとミリアは水飲まないのか?」


 アフィアやミラと比べてラミルは頼りがいがある。ミリアもどうやら意外と高レベルな気がする。


 「イズモ様頂きます」


 「イズモ私も頂く」


 二人に水を渡し、俺も水分補給をした。


 てか俺も喉は渇くぞ。レベルカンストだが餓死や脱水からの熱中症にはならないんだろうか? まあ病気にはならないので、熱中症はならないと思うが。


 一応マリアに確認とるか。


 「マリア今大丈夫か?」


 「今日は朝からゾンビゲームをプレイしていました。ゾンビとは恐ろしい存在ですよイズモさん」


 今度はゾンビものかよ。ゾンビと言えば有名なゲームがあるな。恐らくマリアがプレイしているゲームは、俺がイメージしているゲームと一致しているだろう。


 てか俺はゾンビより勝手に転生させたマリアや前世のブラック企業のほうがこええよ。ゾンビなんて実在しないんだし。


 「聞きたいことがあるんだが?」


 「はいはい、いいですよ。何ですかイズモさん?」


 「俺ってレベルカンストだが餓死や脱水症状は起きるのか?」


 「一応可能性はありますね。何せ不老不死のアイテムを入手していませんから」


 「病気や怪我とは別物なのか?」


 「はいそうですね。ただ餓死するレベルになるには人間、相当の時間飲まず食わず状態でないと餓死しませんので大丈夫ですよ」


 これは重大な問題だな。俺の唯一の弱点になりそうだな。早く不老不死になれるアイテムを入手しないとな。寿命もあるだろうし。


 テロメアが短くなるのはレベルカンストでも防げないだろうな。問題はどこに不老不死のアイテムがあるかだな。もしかして魔王倒すと手に入ったりだったりして。


 だとしたら魔王討伐しないといけないが。


 「今更ですがイズモさん幸運の種入手おめでとうございます。一つ耳寄りな情報がありますけど聞きますか?」

 

 うん!? 耳寄りな情報だと!? これは聞くしか無い。


 「今砂漠にいますよね。その砂漠で商人がいますのでもし出会えたら宝の地図を貰えますよ。何の宝かは自分の目で確認してくださいね」


 何!? 宝の地図だと!? これは本当に耳寄りな情報だ。是非商人に会おうではないか。


 つうか意外とゲームしたりしてる駄女神なくせに、俺のことちゃんと見ててくれてるんだな。


 お祝いの言葉も貰ったし、駄女神だがいいやつだ。


 「ありがとう、商人探してみせるよ」


 「頑張ってくださいね。ではまた」


 さて商人見つけるか。



 砂漠を横断していると何やら襲われている大きいカバンを背負った女性がいる。


 何に襲われているんだ? 俺はよく観察すると盗賊だった。


 「イズモ様あれは盗賊ですね。襲われているのは商人でしょうか」


 何!? 商人だと!? ラッキー。早速幸運値を上げたことで、幸運が俺に舞い込んできた。


 よし商人を助けよう。盗賊を追い払うか。流石に人殺しは不味いよな。いや悪人なら殺しても仕方ないか。


 「俺が盗賊を退治する。皆は商人を護衛で」


 『はい』


 全員の返事が出揃った。何かパーティー感があっていいな。全員の気持ちがまとまってる気がする。


 

 「おいお前盗賊だろ悪さはやめろ」


 「あ!? 誰だてめえ。ガキが大人に文句言ってんじゃねーぞ」


 うぜえな殺すか。仲間もいそうだしな。早めに対処しよう。


 「俺には仲間が数百人いるんだぜ。ガキはおねんねしてればいいんだよ。ああ、あっちの美少女は性奴隷にし――」


 俺は盗賊の男が喋り終える前に盗賊を鋼の剣で切り裂いた。


 理由は俺の仲間を侮辱したからだ。単純にむかついたからだ。


 「幸運の種を使用したことで物理攻撃も当たるようになったな」


 盗賊の死体は消失していた。そして盗賊からアイテムがドロップしていた。


 何だよゲームと変わらねえな。だったら悪人は殺して構わないし、罪悪感を感じる必要性はないな。



 盗賊団と思われる集団が俺の殺しを見ていたのか、砂漠の奥から一斉に群がり俺に襲いかかる。


 「スキル発動、魔獣使い」


 『畏まりました。どの魔獣を召喚いたしますか?』



 ======================


 ケルベロス


 グリフィン


 アーマーン


 ドゥン


 ウルスラグナ


 …………


 ======================



 「全部呼べるか?」


 『はい召喚できます』


 「なら全部召喚する」


 『畏まりました。全ての魔獣を召喚致します』



 俺は数百体、いやもっといただろうであろう魔獣を全部召喚して盗賊団を壊滅させた。


 いや爽快爽快。悪人は殺しても構わないだろう。


 てか魔獣使いはチートすぎるスキルだな。まあ本来なら魔力消費量が激しいスキルなのだろう。しかし俺はレベルカンストだ、問題ない。


 善人や一般人は殺さない。だが悪人には容赦ない。このスタイルで生きよう。


 仲間を侮辱するやつや俺の目標を妨げるやつは許さない。てか盗賊はあからさまにクズ野郎だったしな。


 「おいマリア人間もモンスター同様死体は残らずドロップするんだな?」


 「はいそうですね。伝え忘れていました。この世界はAIが作った世界ですから、ゲーム世界のようなものです。なので罪悪感は感じなくても大丈夫ですよ」


 いや意外と罪悪感は感じてないぞ。何せアイテムに変わったからな。



 『ハイポーション×200を拾得しますか?』


 一応アイテムを拾得しておこう。ハイポーションってポーションのグレードアップ版だよな。


 


 「大丈夫か?」


 「はい助かりました。盗賊団に襲われて私の商売道具を奪われるところでした。お礼に宝の地図を差し上げます。これは私の父が持っていた物でして私には不要ですから」


 ゲームのイベントみたいだな。まあ何にせよ宝の地図ゲットだ。


 

 ミラと商人の女性が少し雑談をしていた。商人の娘同士気が合うのだろうな。


 その後商人の女性と別れて俺たちは砂漠を見事横断した。


 「ステータスオープン」



 アイテムボックス:ポーション

         :ハイポーション×200

         :ミノタンの鱗

         :ミノタンの肉

         :ゴブリンの肉×10

         :ノコギリ

         :斧

         :光石×5

         :燃料石×15

         :金属石×10

         :魔法石×2

         :宝の地図

         :身分証明書(パスポート)




 ハイポーション多すぎるな。積極的に使っていこう。そして宝の地図は嬉しすぎる。


 それともう一つステータスを確認するか。


 「ステータスオープン」



 レベル:∞

 名前:イズモ・リゼル・アルフォード

 種族:人族

 武器:鋼の剣

 防具:布の服

 職業:チーター


 攻撃力:∞

 防御力:∞

 魔法力:∞

 俊敏性:∞

 幸運 :1000

 


 うんやはり幸運の値が1000でも物理攻撃は当たるようだ。


 一体幸運の値をカンストしたらどんな幸せが訪れるのだろうか、凄く気になる。


 こうして俺たちは砂漠を無事に横断して雪降る都市スノータウンに入国した。



 因みにマリアが最後に伝え忘れていたと俺に連絡してきやがった。


 「ゾンビはいますよ」


 え!? いるのかよ!? この世界ゾンビいるのか。


 「ゾンビは銃でどんどん撃ち殺しましょう」


 発言が女神とは思えないんですがそれは。


 因みに俺はナイフ派です。


 いやグレネードランチャーもありだな。


 どうでもよすぎるな。

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