第7話学生の本分
キーンコーンカーンコーン……
1学期全工程の終了を告げるチャイムが鳴り響き、担任によって夏休み中の学園での注意事項など、もろもろの説明がなされていた。
「それではみんな!夏休みの間、部活に旅行、お祭りとか、いといろと刺激的なことはたくさんあるけど、犯罪だけはダメよ?それ以外なら多少の悪いことは思い出になるからね、部活ばっかりしていたら、寂しい青春になっちゃうかもよ?それでは一学期は終了だ!また2学期に元気に会おうじゃないか!」
「「「「「先生がそれでいいのか」」」」」
クラスメイトの心が2年生になり、クラス替えをしてから、ようやく……初めて一つになった激震の瞬間!
そんな私たちの担任は、
まぁ、ゲーム内ではまだ一度も会ったことはないんだけどね……けど学生は初期ロットに当選しやすいって聞いていたけど先生はどうやって
ざわざわ……ざわざわ……。
放課後、部活に行く生徒、夏休みに思いを馳せてワクワクしている生徒、宿題の多さに打ちのめされている私――いつもの放課後よりもにぎやかな感じがした。
「あー、やっとおわったなー俺らの担任さぁ、まぁ知ってはいたけど、めちゃくちゃゆるっゆるだよな?」
「うん、そうだよねぇ、だいぶおおざ……、じゃなくてフリーダムな人だよね、でも堅苦しくない分話しかけやすいよね」
……
ようやく迎える夏休み!以前から予定を立てていた夏合宿は明日からだ!
ワクワクしないほうがおかしいでしょ!?
先日は
ちなみに
◆
「くあぁ~~!めっちゃくちゃ楽しみだよな~~!
「いや、お金ないから学校のだよ」
「なんだよ、お前も
「いやいや、まだ初任給もらってないからね」
◆
そう、
私は『キッチンメイド』と、
※キッチンメイドはその名の通り、料理に関わるが、基本はコック長やコックさんを手伝う下働き
※レディースメイドはお嬢様のお世話(私はもちろん
足立君は『チェインバーメイド』ということになっているが、なにやら
娘の情報収集には余念がないですねぇ、おじさん?
※チェインバーメイドは寝室整備など設備管理が主なお仕事である
「
「う~ん、お金を節約したいし、学校の(スク水)でもいいかなって……ね」
「「そんなのだめです!」」
あれ?
「「
「私の使用人がそんな恰好じゃはずかしいです」
「「夏合宿&海という属性満載なイベントで、そん恰好はありえません!」」
むぐぐ……なぜフルネーム呼びでハモるのだ?この2人は……。
「
私は、「あ~れ~~~ぇ……」とでも言うかのような姿で、ずるずると2人に引きずられていった……その後姿を継哀れんだ目で男子2匹が眺めていたそうな。
……
そのまま連れてこられたのは、近所の商店街などではなかった、そのような場所ではしたものはないという勢いがあった。
……というか、庶民のお店はお嬢様が許さないようだ、普段では一人では入らないような日本橋にありそうなデパートとかそういう格式高い売り場にドナドナされていきました
「わぁ!これ、すごく可愛い」
「
とか、私をそっちのけにしてキャピキャピと面白そうに水着を選んでいる……楽しそうなのはいいんだけど、出費がなぁ――。
「え?何を言ってるの?ここはウチが経営している系列店だから、お金はいらないよ?」
ふぁ!?いやいやそんなわけにはいかないだろう。
「悪いよ、やっぱり学校の水着でいいよ?」
「「だめです!」」
……だからなんで2人はハモるのさ!
修行というか
◆
いつのまにか、私の水着が購入されていた、有無を言わさずに着せ替え人形にされていたのもあるのだが……それ以前に、なぜかスリーサイズまでもが把握されていたようなのだ……WHY!NISHIKIピーポー!
そんな帰路、2人とも、やたらと満足げに自分の水着の入った袋を抱えているその姿を見ると、これ以上無理に拒否をしなかったのは、正解だったのかな?っと思えてきた。
さてさてそれでは、美少女と微女、爆女の3人の水着はというと……。
私→ピンク主体のパレオ付きビキニ
いやぁ……
私のは当日までのお楽しみだよ。
……
「お嬢様、皆様全員お揃いになったようです」
ペコリとあいさつしているお仕事モードの
その傍に置いている荷物には、バナナボートやビーチボールなど遊具の山である、すでに膨らんだ状態なのが残念なのである。
……
朝7時、ラジオ体操が終わった後、その直後くらいな早い時間に集合することになっていた。
もちろん、全員テンションはMAXになっている、だが朝早く集合ということは、遅刻も付き物なのである。
集合時間からしばらく経過したのち、ようやく揃ったメンバー、その目の前にリムジンが颯爽と登場した……そして、早く乗るように促された仲間たちは、だたひたすらに住む世界の違いを感じ、顔を引きつらせていた……とにかく出発なのだ!
◆ 錦家避暑ビーチ
――ザバーン――ザバーン……
青い海、白い砂浜、南国風な木に隠れてはいるが風通しのよさそうなリゾートがそこにある。
『それ』は別荘からわずか徒歩30秒、だがしかし――
……いや?
ある意味それはそれで楽なのかもしれない……つまり、宿題を協力して消化するということだ!なんだかんだ夏休み中にやっておかなくてはいけないことだ、仕方がないな。
そう
そうなのだ
そうなのである
「宿題が終わるまで、
天真爛漫で、普段であれば、むしろ自分から颯爽と遊びに行くのであろう
……
『きゃっきゃきゃっきゃ♪』
『うふふふふふ』
『やったな~~」
翌々日……私たちは、宿題?なにそれ?といった勢いでビーチ、つまりこの最高のリゾートを堪能している。
堪能しているつもりではあったのだが、私は……なぜか焼きそばを作っていた、もともと料理は好きだし、毎週のように
焼けるような砂浜、その真っ只中にある屋台では、地獄のような環境で鉄板と焼きベラとで熱いバトルを繰り広げている……!
ビーチといえば、ほぼ具無しラーメン、フランクフルト、かき氷や申し訳程度にしか具の無いカレーライスのようなジャンクフードと、数多くの定番があるのだが……今回はそのなかでも人気ナンバー1と名高い定番を、みんなに振舞うことにしていた。
ひそかに料理長にお願いをして、錦邸で練習をさせてもらっていたのさ、我が焼きベラは疾風を纏い、タレをかきまぜつつ麺を躍らせていく!その間は
「皆~~できたよ、『シンフォニア』に集まってー!」
海の家『出張シンフォニア』……定番の畳敷きな広々としたスペースには、ちゃぶ台を並べた情緒のある光景が広がる。
料理担当の私と、すこしお手伝いをしてくれた
「「「「「「「頂きます!」」」」」」」
さぁ皆無言で……すすり始めたぁ!
おおっとぉぉぉ?
さっそく
と促すと、そそくさと洗面所でお口の確認に――だけど、戻ってみるとまだ口の周りにすこしだけ……w
気合を入れすぎ、なぜか7人前でいいところを遥かに多い20人前くらい作ってしまったつもりだったのだが、
……
我々の前には鬼畜な
宿題は成績(内申)に対しては法的には影響力がないということを証明されたのだが、なぜかこの先生は未だに多いタイプの先生だった……授業中面と向かって教えるのがめんどくさいという理由らしい……のだが、我々の目の前にぶら下がっているリゾートという名のニンジンは超最高級なのだ、宿題など速攻で終わらせようぞ。
そんなこんなで私たちは、過去に例がないくらいのチームワークで宿題をこなしていく――宿題の山をさばき続け残り僅かとなったその時には、すでに初日(23日)ではなく、2日目の朝10時頃となってしまっていた……、そこから数時間、遂に宿題を完遂したのだ……だが、そのまま皆は
――次の日からの試練は、宿題よりも恐ろしい物になるだなんて、誰も知る由はなかったのだ。
少し日焼けをしたサングラスの奥の瞳はニヤリと笑っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます